表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リゲイン・ロスト・タレント ―才能を奪われた天才たちの異世界再生バトル譚―  作者: 綜目月 梶才
ギルド資格取得編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/58

我、最高射精致。嗚呼、幸也。

(ここまで全部、作戦通りだ。後は……どうあの状況に運ぶか。どうやって、3対1でするかだ!)


カズヤは後ろに飛び跳ねながら距離をとる。

 しかし3人は囲い込むように回り込み、カズヤを円の中央に陣取った。



「覚悟しろ!」


裏切り男が飛び込む。

それに続き、半裸の男が火球を放った。



――上等……! そんなの、俺にとっちゃ無意味だ!


『幻体術』。


カズヤは後頭部に一つ、小さな目を作り出した。

 それにより死角をカバー、敵の動きが手にとるようにわかる。



――まずは裏切り男からだ。


 カズヤは切り込んでくる男の剣を鍔で受け、斜めに受け流し刀身を滑らせる事で、男の体勢を前のめりにさせた。


 すぐ横に回り込み、隙まみれの横腹に蹴りを叩き込む。

男は怯み苦痛の表情を浮かべる。



 その隙を逃さずケツを蹴り飛ばし、飛んでくる火球と激突させた。


後頭部で見えている為、タイミングは完璧。

裏切り男は火球で顔を焼かれた。


「アグッ! あぢぃぃ!」



――よし。もう1人の男の方――わっ!


視界の端で一瞬見えた、弓を構える女。

 カズヤは急いで体を逸らし、ギリギリで回避した。


――ッッぶね! あいつは危険だ! 食らったら即アウトだぞ。

でも、今はあっちだ



 カズヤは体勢を立て直し、魔法を放った半裸の男に突撃する。

 仲間に魔法を当てた事で大きく隙が生まれている、そこを狙ったのだ。


「ッッ! 来たぞ! お前ら援護しろ!」



男の叫びに女は弓を放つ。

しかし――


「見えないのに?!」


カズヤは当然躱す。

後頭部に作られた、幻体の目である。


――急増チームだな。チームワークがバラバラだ。まずは1人目……!――?



カズヤが切り掛かる直前、体が揺れた。

そして背中から激痛が走る。


 カズヤが振り返ると、顔を焼かれた男が背中を刺していた。



「終わりだ6位!」


剥き出しの顔の筋肉。

男の顔は悪魔のように見えた。


 カズヤは激痛に白目を剥き、()()()()()()()()て突っ伏した。



「倒した……。6位を倒したぞ……! お前ら、やったんだ! 俺が誘ってよかっただろ!」


男は飛び跳ね喜んでいる。

 顔の痛みすら忘れてしまうほど、倒した事が嬉しいようだ。




「ねえ、一応とどめ刺さない?」


駆け寄ってきた弓使いの女が一つ提案をする。


その言葉に2人は顔を見合わせ、頷いた。


「それもそうだな。お前ら、下がってろ。俺がやる」




裏切り男の言葉に2人は距離を取る。

そして裏切り男は息を整え、カズヤに剣を――


ヒュパン。


突如男の後方から風切り音が鳴る。


「え……?」



 その音に驚き男が振り返ると、そこには先程まで元気だった仲間2人が、()()()()()状態で立ち尽くしていた。


「なっ。ひっ。」


地面に転がる2人の頭を見て男は腰を抜かす。

 衝撃の光景に思わず距離を取ろうと後退りをする、しかし何か壁に当たってしまった。


 恐る恐る振り返ると、そこにはピンピンとしたカズヤが立っていた。



「あ゛゜〜、気持ちいいんです〜。」


 カズヤは昇天するような溶けた笑顔で、立ち尽くしている。


「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 そんな異様な光景に男は飛び跳ねながら、逃げていった。


「あらら、行っちゃった。でもま、()()()()! 完璧すぎて気持ちいい!」



カズヤの作戦は以下の通りである。


――――


まず、死の恐怖に怯えた受験者を探す。


 説明時には辞退者は1人もいなかった。しかし、それはまだ口頭説明の時の話だ。



 いくら説明しようが、口頭では死の恐怖など分かるはずがない。

 それに第二試験まで勝ち抜いた者達なら、「自分なら勝てる」など思っている者は多数いるはず。


 いざ死を目の前にした時、必ず怯える者がいるはずだ。


俺はそう考え、怯えた受験者を探した。




そして発見後すぐには襲わず、あえて懐柔する。


懐柔自体は簡単だ。


 死に怯える者は全てが疑心暗鬼、だがそれと同時に救いを常に求めている。

そして死の恐怖で頭など回るはずがない。


それを利用する為、俺は武器を投げたんだ。


 だがそれだけでは到底信じないはず。そう思って他にも用意していたが、見つけた男はハッキリ言って馬鹿だった。


嬉しい誤算により、簡単に懐柔できた。





そしてその後、チームの提案を持ち出す。


当然これは真っ赤な嘘。


 そもそもがこの試験は、チーム戦は向いていない。

男が言った通りに、最終的にはソロ攻略となる。

 そしてまたは、チームメンバーが最後の2人となり、殺し合う最悪の結末がオチである。



 だが俺はその考えに至らせぬよう、ある一つの言葉を用いた。


デボラの「合計」という言葉である。


恐らくこの合計というのは、試験官達の罠。


 ソロ前提の試験に対し出したチーム可という罠に対し、嘘だと見抜けるかの洞察力チェック。

そして馬鹿を炙り出す罠だ。


俺はそれを利用した。





 先程も言ったように、死の恐怖に怯える者は常に救いを求めている。

 海上に浮かぶ浮板、そんな心許ない物にすら縋る存在。


 「試験官が言っていた」なんて言葉は、女神に見えて仕方なかっただろう。


当然受け入れる。

 これによりチームは当然のもの、疑う必要はない。

死に怯える奴はそう盲信する。





だがここで受け入れてはいけない。


 俺の目的はチームを組む事ではなく、チームの案を与える事。

 そして――()()()()()()()()()


殺しやすく、しかも殺せば報酬が美味い。

 そんな存在ですと、食べてくださいと、アピールを行う。




そしてチームを突然断られた時、仕込みは完了だ。


 後は待つだけ、断った奴が他の奴らにチームの件を持ちかけ、極上の餌(俺の存在)を伝え実る事を。


まぁ、ぶっちゃけここは運ゲーだな。

 チームの違和感にバレた時点で終わり、それかそいつが他で殺されたら終わり。


10回以内に成功できたらいい方だろう。

そう思っていたら、なんと一発合格!




男が仲間を連れてやってきた!


ここからが大変な作業だ。

 俺は真面目に戦いながらも、力及ばずあと一歩の所で敗北。



これを演じなければいけない。

 ここから先は完璧な実力勝負、でも俺には自信しか無かった。


だって俺が第二試験で戦ってきた奴らは誰だ……?

ランカー達だろ。


 そいつらに比べたら、ランカー以下なんて余裕だからだ。




当然俺は、完璧に成功した。


不意打ちで腹を刺された……?

 何を言ってるんだい、俺は『幻体術』で後ろが見えてるからね?

わざとだよ。



さて、ここで想像してみてほしい。



死の恐怖の中、灯された一筋の光。

その光を手に、他の者にこの光の魅力を説明する。


するとどうだ、皆乗っかってきたではないか。

 その結果光はより強く輝き、太陽のように辺りを照らす。


 暗かった世界は光で満ち、希望は現実へと変わっていく。


 そしてできた仲間達と最後の一仕事、魔王の討伐だ。


魔王は強く、恐ろしい。

 その力は強大で、不意打ちをしたにも関わらず、こちら側も手痛い攻撃を喰らってしまった。


しかし仲間達の力により生まれた魔王の隙を突く。

その結果魔王は武器を落とし、倒れていった。


魔王は腹から血を流し、ピクリとも動かない。


 俺達は倒した事を実感して、仲間達と歓声を上げた。




今――油断したよね?


その油断が俺は欲しかった。


 俺が気絶したのを確認したら、誰かが提案をするだろう。


「トドメを誰が刺すか」


しかしその相談は、無防備だ。

 倒したと、死の恐怖からはこれで救われたと、そう思い込んでいる奴らの相談は、無防備なのだ。


俺はその瞬間を『幻体術』で回収した落とした武器で突き、勝利を手にする。





でも、まぁ。

最後ミスりましたね。


なんか、簡単にトドメ刺す役決まったじゃん。


 普通勝利条件を考慮して、誰が殺すか話し合うくね?


殺しに来られたら困るんですよ。

 殺そうとしてる奴が、油断なんかするわけないので。


 という事で俺は咄嗟に、トドメ刺さない2人狙いました。

油断してて隙まみれだったので。



――――



「――という事です、聞こえましたかアクタくん! ついてきてるのは分かってる!」


カズヤの声が平原を駆け抜ける。

この説明は全てアクタに向けていたのだ。


 カズヤがアクタに呼びかけて2秒後、突然近くの地面が盛り上がり、その中からアクタが飛び出してきた。


「んべあ! よく分かったね、カズヤん。」


「うん。だって俺殺したの、魔法使いの1人だけだからね」


カズヤが転がっている死体を指差す。


「後、魔法受けた時もおかしかったからね。あんなの左手だけで受け止めきれないし。アクタがやったんだろ?」


「さすがカズヤん! 大正解!」


カズヤの考察にアクタは満面の笑みで拍手をした。


「――じゃあ、俺らはこれで終わりだな。さてと、帰りますか」


「うん!」



――第三試験。カズヤ、アクタ、突破。


「ちなみに、左腕治せない?」


「火傷は無理!」






――場面は変わり、ザフネとウンコ。


 2人は受験者を探し続けているが、未だ1人として出会わない。


 ハオス平原が広いというのもある。

 だがだとしても、各地で起こるはずの戦闘の音すら聞こえないのはおかしい。


その不気味な現状に、ザフネが口を開いた。


「何か……違和感が――」






――その時はまだカズヤも、アクタも、ザフネも、ウンコも、誰も異常が起こっていることに気づいていなかった。


だがすぐに気づくことになる――


「こっちから、強え奴の匂いがすんな」


 地を駆ける悪魔がすぐそこまで、近づいてきているのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ