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リゲイン・ロスト・タレント ―才能を奪われた天才たちの異世界再生バトル譚―  作者: 綜目月 梶才
転生の意味

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魔法とスキルとはなんぞや?

カズヤは、悩んでいた。


「ミコスプシュロロロロ! ミコスプシュロロロロ!」


「違う! もっと裏声を籠らせる感じです!」


 それは奇声をあげながら、パンイチで樹木を揺らし続けている現状にではなかった。


「これ、本当に意味あるの」


「あります、後2分!」


「ミコスプシュロロロロ! ミコスプシュロロロロ!」


 では何に悩んでいるのか、それは彼の嗜好についてだった。

 転生直後の首吊りにより、カズヤの嗜好は判明したかに思えた。

 しかし実際はカズヤの想像とは違い、彼の行動には矛盾が生まれた為、更に頭を抱える事になっていた。


「あ、出てきました! 後20秒やって、もう少し怯えさせましょう」


「これマジで疲れるんだけど! ミカーヤがやってよ、力俺より強いだろ!」


「私は、捕まえる役です。カズヤさんの脚力で、7m跳べますか?」


「無理!」


「じゃあやりましょう! 役割分担です」


「あー、クソ。 ミコス! プシュロロロロ! ミコス! プシュロロロロ!」


 ところで彼らは一体何をしているのか、それは数分前に遡る。

 ミカーヤが仲間になり少し経った頃、カズヤのお腹が鳴った。

 そしてそれを聞いたミカーヤが、簡単な食料調達を提案したのだ。


「来ました、4匹です」


 ミカーヤは少し開けた所で目一杯しゃがみ込み、垂直跳びの構えをした。

 体制に入った途端、ミカーヤの全身を青白い雷光がうねり始めた。


「《エネルギーコントロール》!」


 青白い雷光が足に収束した瞬間、ミカーヤは跳び上がった。

 そして遥か頭上7mの地点にある枝に飛び乗り、その場にいた12cm程のカニ4匹を捕まえて飛び降りた。


(すげえ……)


 圧倒的な身体能力を前に、カズヤは思わず息を呑んだ。


「よし、ご飯にしましょう」


 ミカーヤはまたもや何処からか鍋を取り出すと、油をなみなみと注いだ。


「カズヤさん、いい感じの石を集めて、鍋を置く土台作ってください」


「うい」


 カズヤは言われた通り土台に適した石を14個ほど集め、安定した土台を作り上げた。

 ミカーヤはその土台に鍋を置き、またまた何処からか炎の絵が描かれた、細長い菱形の青い半透明な石を取り出した。


「なにそれ」


「魔晶石です。魔法の術式が刻まれた石で、これに魔力を注ぎ込むと、石に描かれた魔法が使えるんです」


「へー、便利」


 説明が終わるとミカーヤは指先を青く光らせ、少しずつ魔晶石に魔力を注ぎ込んだ。


「ん、これぐらいですかね。これを鍋の下に潜らせて、解除魔法を使うだけです。見ててくださいね、《ケトラ》」


 ミカーヤが呪文を叫んだ瞬間、魔晶石はメラメラと燃え上がった。


「今回は素揚げにします、木屑(モクズ)ガニは素揚げが1番ですからね。……そろそろいいですかね」


 ミカーヤは指先を青く光らせ、指を油に差し込み温度確認をした。

 その姿を見て絶句しているカズヤに気づいたミカーヤは、指を見せて何ともない事をアピールした。


「ちゃんと魔力で守ってるので、火傷は大丈夫ですよ。今のは指先を魔力で覆って、熱さが貫通するかどうかで、温度を測ってたんです」


 説明をしてカズヤを安心させた後、ミカーヤは懐からナイフを取り出して4匹のカニを〆めて、油に投下した。


「しばらく熱していると、木屑ガニから大きな破裂音がなります。デグデグの実が熟れて、弾けた時みたいな――って言っても分からないですよね。」


(パキッて感じかな)


「オノマトペで表すと、『ヂジュッ』ですかね」


(違うんだ)


 そうこうしているうちに、ちょうどミカーヤの言っていた音が木屑ガニから聞こえてきた。

 ミカーヤは急いで手を魔力で覆うと、カニ4匹を油から救出して、何処からか取り出した串に2匹ずつ刺した。


「ん、ありがと」


「殻はそんなに硬くないので、そのまま丸齧りでいいですよ」


カズヤは早速、木屑ガニの大きな腕に齧り付いた。

 気になるカニのお味はというと、バリバリとした食感の中から、とろけるようなカニの旨味と甘味が飛び出てくる、何とも形容し難い美味しさだった。

カズヤは夢中でカニ1匹を丸々平らげた。

そして2匹目に取り掛かる時、ふと串を見た。


「ミカーヤ、ちょっといい?」


「ふぁい」


 ミカーヤは頬一杯にカニを頬張りながら顔をあげた。


「さっきから、串とか鍋とかレーダーとか、何もない所から取り出してるけど、あれって何?」


「|ひゅうのうまふぉうえふ《収納魔法です》」


「は?」


 よく分からない言葉を発した後、ミカーヤは急いでカニを咀嚼して飲み込んでもう一度言い直した。


「収納魔法です」


「へー、あれが魔法なんだ。――俺も頑張れば、それ使えたりする?」


「魔法なので魔力があれば誰でもできますが、魔法を使うには、魔力操作と術式構築を覚えなきゃいけないので、大変ですよ。それに収納魔法は複合魔法っていう、結構な高等技術なので、使う事は難しいとおもいます。私は6年かかりました」


ミカーヤは串を地面に刺して、鍋に近づいた。


「実践してみますね。まず、空間魔法を展開します。」


 ミカーヤが何もない空間に手を翳して魔力を手先に込めると、空中に突然紫色の穴が空いた。

ミカーヤはその穴に鍋を放り投げた。


「次に接続魔法。これで、今までの空間魔法とリンクさせます。そして次に、結界魔法。魔力を停止させる結界魔法です、これで空間魔法を維持させます。最後に遮断魔法。これで外界との繋がりを断ちます。」


 最後の魔法を発動し終えると、紫の空間は煙のように消えて、いつもの空間に戻った。


「そして最後に、解除呪文を使って、今までの魔法を全部消します。」


「え、何で? 意味なくない」


「消さなきゃそこら中、魔法の残滓まみれになっちゃいますからね。既に母体となる空間と、リンクさせてるのでこれは消してもいいんです。《ケトラ》。はい、今のが収納魔法のやり方です。まぁ、実際は母体が既にあるなら、結界魔法は必要ないんですけどね」


「ふーん。ちなみに、魔法発動させる時に、何か言ったり、言わなかったらするのは何なの」


 ミカーヤは恥ずかしそうに、頭を掻きながら答えた。


「ルーティンです。私、攻撃魔法苦手なので、イメージを強くして成功率を高める為に、攻撃魔法の時だけは、ルーティンとして魔法の名前を唱えるんです。ちなみにこの魔法の名前を唱えるのって、結構いろんな人がしてるんですよ」


 ミカーヤは元に位置に戻り、またカニを食べ始めた。

それに続くようにカズヤもカニを食べ勧めた。


「なるほどなぁ。――ん? でもさっき、ジャンプする時もいってなかったか? あれは攻撃魔法じゃねえだろ」


「あぁ。あれは魔法じゃなくて、スキルですよ。スキルと魔法はまた別なんです。」


「スキルか。確か、ミカーヤが生まれた時の話でも出てきてたな」


「ですです。スキルというのは、()()()()に刻まれた才能を引き出す技です。まず肉体に刻まれたスキルについてですが、例えば私の《エネルギーコントロール》は肉体エネルギーを自由自在に操る技なんですが、ロボットという肉体刻まれた現存エネルギーの可視化を応用した技です。このように、身体的才能を引き出す技が、肉体に刻まれたスキルです。ちなみにこのスキルと言うのは、誰でも使える魔法とは違い、一人一人持っている能力が違います。例えば同じ人間だとしても、筋肉の操作に慣れている人、目がとてもいい人、柔軟性に優れている人、のように個体差があるから、同じ能力を持っている事は稀なんです。ちなみに才能なので、スキルを持ってない人もいます。次に魂に刻まれた才能です。これはその種族特有の才能、または個人の技術的や第六感的才能の事です。例えば私のスキルの《サーチ》。このスキルは、私の環境情報の細部まで拾える才能を利用したものです。このように、肉体とは関係ない才能を引き出す技が、魂に刻まれたスキルです。後、魂と肉体のスキルには大きな違いがあって、魂のスキルは鍛錬で伸びにくいのに対して、肉体のスキルは鍛錬でグングンと、性能が伸びるんです」


 カズヤは食べ終わった串を地面に刺して、そのままのポーズで2時間前のことを思い出し始めた。


(ふむ、つまり転生者の俺にも、何かスキルが備わっているのか。魂の方のスキルは恐らく、おっくんが言っていた、変幻自在の魂だな。とりあえず今気になるのは、肉体のスキルが俺に備わっているかどうかだな。聞く限り、スキルの有無は戦闘において、大きなアドバンテージになる。そのスキルでも特に重要な方は、肉体の方っぽいしな。鍛錬で伸びやすいのがでけえ。……どうにかスキルを、探す方法はないのか。――確か神が俺の強さを視覚化してたよな。あれを応用すれば、俺の待ってるスキルにまで辿り着けるんじゃないか? 俺の才は変幻自在の魂、やってみる価値はあ――)


「あ、もう二つスキルについて、説明する事がありました」


 その時、更に深く1人の世界に入り込もうとしていたカズヤの意識が、ミカーヤの声により現実に引き戻された。


 顔を上げてミカーヤの方を見ると、どうやらミカーヤもカニを食べ終えたようで、串を回収する為にカズヤに手を差し出してきていた。

 串を渡すとミカーヤは先程の収納魔法に串を投げ込み、話を続けた。


(後でにするか、今は聞こう)


「その2つと言うのが、スキル魔法と絶技です。」


「なんか全く新しいのが出てきたな」


「えっとですね、スキル魔法が魔法とスキルを組み合わせた物で、絶技が魔力を伴うスキルですね。それでですね、このスキル魔法と言うのが、凄いんですよ。普通のスキルや絶技とは違って、生来技として刻まれてないので、自分で何か魔法と組み合わせて作らなきゃいけないんですけど。魔法が混ざっているので、その分他のスキルとは違って、とても強力なんです。絶技の方はですね。魔力が消費されるのと、その消費魔力によってのみ性能が上がる、ぐらいですかね。スキルと殆ど大差ないです。」


「なるほど、ありがとな」


(またスキルゲーが加速したな。――いや、当たり前か。才能持ったもん勝ちとか、普通の事だもんな)


 話を聞き終わったカズヤは徐に立ち上がり、腰を伸ばした。

 それに続くようにミカーヤも立ち上がり、今まで作った収納魔法の痕跡を消し始めた。


「よし。飯も食った事だし、早速ミカーヤを束縛する何かを、解決したいんだけどさ。それって、もう解決してたりする? まだなら聞きたいんだけど、それはこの場でできる奴? それとも準備必要?」


 魔法を消していたミカーヤは立ち止まり、は目線を上に上げ、カズヤに出会ってからの事を思い返した。


「……私言いましたっけ、束縛されてるの」


「言ってないけど、分かるだろ。泣いちゃうほど旅に出たがってるのに、わざわざ転生者探す必要ないし」


「あー、なるほど、確かに。」


ミカーヤは合点がいったように小さく頷いた。


「えっとですね、解決するには、一度私の家に帰らないといけないですね」


「ここじゃ無理なのね。――それさ、まだ無理なら少し遅らせてもいい?」


「いいですけど、どうしたんですか」


「レーダーにさ、俺とは別の転生者が映ってたんだよ。それがどんな奴なのか気になる。一応同じ境遇の奴だから、顔合わせしときたい」


 カズヤは空を四角の形でなぞり、ジェスチャーで説明をした。

 ミカーヤはそれを聞いて何かを思い出し、少し訝しげな顔をした。


「それ私も何回か見に行ったんですけど、誰もいませんでしたよ。多分故障かなんかだと思います」


「いや、そうとは限らん。俺ら転生者は、人間以外の姿にも転生できる。もしかしたら、そいつが人間以外に転生した、物好きって事もありうる」


「なるほど、じゃあ行く価値ありですね」


カズヤ達は次なる目的を定め、歩を進めた。

目的地は南東に4キロ、セプトの森最深部。

作品備考1

キャラクタープロフィール


カズヤ


好きな物 ゲーム 5.21の思い出


魔法

なし


スキル

変幻自在の魂

???


スキル魔法

なし


絶技

???


備考

ミカーヤが人生で初めての仲間。


ミカーヤ


好きな物 小説 ランちゃん(ラン・ファンデッド)のライブを見る メイド服 カズヤ(New)


魔法

解除魔法

収納魔法

???


スキル

エネルギーコントロール

サーチ


スキル魔法

???


絶技

???


備考

エネルギーコントロールを使いすぎると、バテて動けなくなる。


作品備考2

レンベルドの世界では、スキルの存在に気づかず、人生を終える者が多数存在する。

最高記録は、18個ものスキルの存在に気づかず亡くなった、秘境探検家兼画家のガリベラ・ファンデッドさん。

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