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リゲイン・ロスト・タレント ―才能を奪われた天才たちの異世界再生バトル譚―  作者: 綜目月 梶才
ギルド資格取得編

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5連勝……?

「じゃあいくぞ、アクタ。勝負は一瞬。大変だが、

またお前にかかってる」


「任せろカズヤん」


「よし。じゃあ棍になってくれ」


「あい」


 カズヤは棍の姿になったアクタを拾い上げ、投擲の構えを取る。

確実に角度を見定め、『血迅』を発動。


ありったけの力を込めてアクタを放った。


そして『血迅』解除後、追うように林へと走った。





――場面は変わり、チームザフネ集合地点。


「この先どうすんだ。ザフネがやられた今、指揮官なしだぞ。しかも俺、武器も置いてきてんぞ」


 アンダゴルガが胡座に頬杖をつき、ウンコに問いかける。



「どうするって、これもう無理じゃね……? だって俺は、『幻体術』で簡単に無力化されるし。ゴルガも……アクタには武器なしじゃ勝てないだろ」


 泣き言をいうウンコにアンダゴルガは明らかにイラつきを見せ始め、尻尾で地面を叩き始めた。


「だから、それをどうするか話してんだろ。俺がカズヤをやって、お前がクソガキを倒す。この状況をどう作るんだよ。」


「だから無理じゃねって言ってんじゃん! 俺昔から、こう……考えるの無理なんだよ! それにもし浮かんだとしても、カズヤの策を超えるとか無理だろ!」



追い詰められた焦燥により、ウンコがついに爆発。

 この状況にアンダゴルガは舌打ちを鳴らし、頭を掻きむしった。




「――ッ。悪かったよ、ウンコ。当たっちまった」


 ウンコが爆発した事により、逆に冷静さを取り戻したアンダゴルガは頭を下げる。

 その行動に意外性を感じながらも、ウンコも身体を折り曲げ謝った。


「……俺も悪かったよ。指揮官いないとダメな俺が悪いのに、当たって」


アンダゴルガの頬が緩む……。


「あぁ、2人で頑張ろうぜ。もう一度話し合おう、どうや――」




――その時、向かい合う2人の間に一本の棍が飛んできた。


咄嗟の出来事にも関わらず、2人は反応。


だが時既に遅く――


「んば!」


 アクタの声と共に棍が突然網のように広がり、アンダゴルガを包み込んだ。


「な、なんだ! ――テメェ、クソガキ! 放せゴラ!」


アンダゴルガが網の中でもがく。

 しかしこの網はただの網ではなく、アクタの体そのもの。


当然耐久力もアクタの肉体と同じ。

簡単には引き剥がせなかった。




「任せろ!」


だが今は1人ではない。

ウンコが炎魔法を作り出し、アクタに射出。



――『幻体術』


しかし魔法は空中で霧散。

 それと同時に、ウンコの体が突然浮かび上がった。


「こんにちわ〜」


「カ、カズヤ!」


魔王の登場である。


「さて、裏切り者のウンコくん。何か言う事は? 試験中は極力協力しないとは約束したが、これは違うだろう。そのせいで、俺は苦労したぞ」


 カズヤは捕まえたウンコを引き寄せ、顔の前でぶら下げる。



「わ、悪かった! でも、これは俺の夢のため、負けたくなかったんだ! それにカズヤ言ってくれたじゃん! 俺の夢叶えたいって」



ウンコの必死な弁明。

 だがカズヤの心には届かず、カズヤは突然投球のポーズを構えた。



「言ったけどさ、俺にも夢があるんですよ。夢が潰えかけたら、そっち優先するのは仕方ない――だろ!」


カズヤの投球。

球はもちろんウンコである。


 投げられたウンコはそのまま近くの木に叩きつけられ、気絶してしまった。


「さてさて。あとはゴルガ、お前を倒せば俺達の勝ちだ」


カズヤが剣をアンダゴルガに向ける。

 それにもがいていたアンダゴルガは止まり、固唾を呑みこんだ。


「このまま、無抵抗のお前を――って言いたいところだけど」


カズヤが突然剣をしまう。

 それと同時にアクタは身体を元に戻し、アンダゴルガを解放する。


「アクタがお前とやりたいらしいので、それで決着とします。アクタには世話になったからな、要求は飲まなきゃ」



「そうだ、かかってこいトカゲ! 腹の傷を治してやったのに、裏切りやがって!」


 アクタがゆっくりと身体を元に戻しながら、文句を叫ぶ。


 次第に身体を戻していくアクタを目の前に、アンダゴルガは拳を握り構える。


――何かわからんが、タイマンになった。

俺達勝てるかも知れねえ。

だが問題は……俺が、このクソガキに勝てるかどうかだ。

説明会で殴り合ってわかったが、こいつの強さは尋常じゃねえ。

俺も勝てるか自信が……いや、勝つ!

ザフネもウンコも最後まで戦おうとした!

俺もやるしかねえ!


アンダゴルガの握る拳に力が入る。

己を奮い立たせた目にはもう、迷いなどなく。

ただ勝つ事だけを見据えていた。



静寂が続く中、ついにアクタが身体を元に戻す。

 その姿は先程より小さく、110cm程まで縮んでいた。


「――は? ちっさ」


あまりの小ささにアンダゴルガが声を漏らす。


「はぁー? 舐めるなー!トカゲ! 泣きを見ても、知らんぜよー!」


 その行動が逆鱗に触れたのか、アクタがアンダゴルガに飛びかかった。




(さてと、これで5連勝ですね。大変だったー)


 カズヤは近くの木に凭れかかり、勝負の行方を観戦した。

 だがその姿は妙に落ち着いており、アクタの勝ちを確信しているようだった。


それそのはず――



――速え!小さくなっても、スピードはそのままかよ!

クソッ、もう懐まで……。

殴り、間に合うのか……?

いや、無理だ……やられる……!



 アクタの右ストレートがアンダゴルガの鳩尾にめり込んだ。


 小さくなれどアクタはアクタ、身体能力に変わりはない。

それがカズヤの余裕の理由だった。



――しかし。


「……? 効かねえぞ」


 変わりがないのはスピードだけ、パワーは体が小さくなればなるほど著しく落ちていく。


「は……?」


 当然その事をアクタから聞いていないカズヤの脳は停止する。


 そして本人自身もその事を忘れており、伝え忘れと同時にその事を発覚。

冷や汗を垂らしながら、アンダゴルガを見上げる。

そして引き攣った笑顔を見せた。


「……トカゲー。これで許してやるから、大人しく負けてくれ」


「馬鹿?」


「ですよねー」


アンダゴルガの右拳がアクタの顔を殴り抜く。


 殴り飛ばされたアクタはカズヤの横を通り抜け、木々にバウンドしながら彼方へ消えていった。


「は……?」


カズヤの脳はまだ停止している。


「――さてカズヤ。これで、形成逆転だ」


 アンダゴルガは胸の前で拳をかちあわせ、カズヤの方へ振り向く。


「は……?」


カズヤの脳はまだ停止している。

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