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リゲイン・ロスト・タレント ―才能を奪われた天才たちの異世界再生バトル譚―  作者: 綜目月 梶才
ギルド資格取得編

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勝利の謎

――第二試験の待機室。

 試験合間の休憩時間、ランカー帯の戦績掲示板の前にザフネ達3人はいた。


 過去4戦の戦績を見て、あまりの戦績にザフネは肩を震わせる。

 そのザフネの横で、アンダゴルガとウンコは呆然とした様子で戦績を見ている。


 ザフネはゆっくりと腕を上げ、自分達の戦績を指差す。

そして片手で目を覆って哄笑した。


「ハハハハハ! 4連勝!4連勝だぞ諸君! 見ろ!」


ザフネがチームザフネの戦績を指差す。


 その行動に2人はうんざりとした様子で、仕方なく見る。


「わかったって。毎試合言う必要ないだろ」

アンダゴルガが片耳を押さえながら文句を垂れる。


「そもそも、俺達は自分で勝ってることわかるっての」

ウンコもそれに続く。


なぜこうなっているのか、答えは簡単。

このくだりはこれで四度目だ。



 だというのにザフネはまるで初見かのように目を輝かせ、掲示板を指差しアピールを続けた。


「何を言っている! 4連勝だぞ4連勝! 第一試合から順にみろ――」


――――

第一試合

    勝利   8分12秒     敗北

  チームザフネ       チームアズール


――――


「フッ、思えばこの第一試合が一番の難関だったな。なんせ、5位9位8位のランカーチーム……。特に5位、あの肥満の男は強かった。」


 語りながら思いに耽るザフネを見て、アンダゴルガが横槍を入れる。


5位(アズール)は俺が倒しただろ。お前がやったのは9位(ビヨン)だ」


「……フッ。そんな昔の事覚えておらぬわ」


ザフネは髪を靡かせ、次に第二試合を指差した。


――――

第二試合

    勝利   14分6秒     敗北

  チームザフネ       チームテッカ


――――


「このチームも強かった。ランキング13位と17位を連れた、4位のチーム。特に4位、第一試験で質問をしていた男は強かったな……。」


 またまた思いに耽るザフネに、今度はウンコが唾を吐く。


「そいつ倒したの俺だよね。てかランキング高いんだから、1番強いのは当たり前じゃない?」


ザフネの次の手は聞こえない振りだった。


「……フッ。次に第三――」


 第三試合を指差そうとするザフネの手を、アンダゴルガが掴む。


 ザフネが顔を向けるとアンダゴルガは子供でも見るかのような、疲れ果てた優しい顔をしていた。


「もういいから、次の作戦練るぞ」


 その言葉にザフネは必死に身を捩り、手から逃れようとする。

 だがパワーの差でアンダゴルガの腕は振り払う事ができなかった。


ずるずると引きずられる中、ザフネは必死に叫ぶ。


「ま、待て! 我らが栄光をしかと、見届けなければ!――なぁ、クソ風情。貴様もそうだよな」


「いらない」


 ウンコは吐き捨てるように喋り、控え室へと向かう。


このままでは戦績に恍惚できない。

その事実にザフネは頭を回し、叫んだ。


「なっ、ならば! 最終試合に備え、10位殿達の戦績を見るのはどうだ!」


2人の足が止まる。

興味を示した2人に、ザフネは笑みを浮かべた。


「どうだ!これは大事であろう! 敵を知るというのは、それすなわち勝利への近道! やらぬ手はないだろう!」


「……それもそうだな」


アンダゴルガが呟く。


(なんと!)


 ザフネは引き摺られた体勢のまま、笑顔でアンダゴルガを見上げる。

そしてすぐ横にいるウンコにも視線をやった。


「……だな」


ウンコも呟く。


(クソ風情!)


 その提案に乗った2人は、ザフネを引きずったまま掲示板まで戻っていく。


 そして掲示板前に到着すると、アンダゴルガはザフネを持ち上げ立たせた。


 立たせてもらったザフネは膝についた埃を叩き、髪を靡かせ一歩前に出た。


「フッ、最初からそうすればいいのだ」


 そして掲示板の中から、チームカズヤの戦績一覧を探す。


「まぁそうはいっても、所詮2人。大した戦績は……――な!?」


突然ザフネが声を張り上げる。

 その姿にウンコは急いでアンダゴルガの肩に飛び乗り、2人してザフネが指差しているチームカズヤの戦績を見た。


そこには――


「2人で4連勝!?」



 そう。カズヤ達はたった2人で、ランカー相手に全勝していた。

 その異様な戦績に3人は固まり、開いた口が塞がらなかった。



――その時、待機室の扉が勢いよく開いた。


「――どないしたんすかぁ?お3人方ー」


「ほんとだねー。カズヤんとわたしの戦績に、何かあったのかなー?」


聞き馴染みのある声に3人が振り向く。


そこには――


 厚いサングラスを掛け、金色(こんじき)に輝く鎖を首に掛け、風船ガムを膨らませるカズヤとアクタが歩いてきていた。


その異様な姿にザフネは恐る恐る指を刺した。


「……その、黒眼鏡はなんだ……?」


(アクタ)が作った」


ガムをクチャクチャと鳴らしながら答える。

次にザフネは鎖を指差す。


「……。その首飾りは……?」


(アクタ)が作った」


首飾りに親指をかけて持ち上げ、ドヤ顔で答える。

最後にザフネが口に含むガムを指す。


「……。その謎の桃色の食べ物は……?」


「噛み菓子。(アクタ)が作った」


 風船ガムを膨らませ、ザフネの目の前で破裂させる。


「…………。そうか……。……して、何用だ……?」


あまりの変化にザフネは頭がうまく回らない。

だがなんとか口を動かした。


 ザフネの問いにアクタはカズヤの肩に身を預け、掲示板の方を指差した。


「私達の戦績さー、なんかあった?」



だが3人は答えない。

いや、答えられなかった。


 戦績云々などとうに吹き飛び、今は2人の変化の処理に一杯一杯だった。



 いつまで経っても答えない2人に、カズヤは口に含んだガムを地面に吐き捨てる。

それに合わせてアクタも吐き捨てた。


「ま、いいわ。次覚悟しとけ。お前ら殺すから。ウケケケケケ」


 そうしてカズヤの高笑いが残り続ける中、2人は待機室を去っていった。

作品備考1

2人は待機室のドアの隙間から、ザフネ達が戦績に気づくの待ってました。

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