仕置き
「お前達、いつまでそうしている! もう全員移動したぞ!」
デボラの声が伽藍堂と変わり果てた会場で響く。
その声に気絶していたカズヤは目を覚まし、周りを見渡した。
いつのまにか戦場と化し傷まみれの会場。
そしてその原因の、未だ戦い続けているアホ4人。
――深呼吸。
カズヤはデボラの方へ向き、手のひらを差し向け待つよう頼み込む。
その後カズヤはゆっくりと戦場へと近づき、『幻体術』で握り拳を4つ形成。
そして力一杯4人の頭に叩きつけた。
アンダゴルガを除き、突然の衝撃に3人は地面に叩きつけられた。
4人はカズヤを睨み、「何をする!」と叫んだ。
「何をする!はこっちのセリフじゃあ!」
カズヤは猛り叫ぶ。
そして声がまだこだまする中、会場内を指差した。
「テメェらのせいでな! 第二試験の内容と、ランキングについての話聞けなかっただろうが! なんで1番大事な時に、静まれん!」
カズヤの怒号にザフネが挙手をした。
「はいそこ!」
ザフネは立ち上がり胸に手を当て、なぜか凛々しい顔で語り始める。
「10位殿。数字に縛られるのは、愚者である。そんなもの、無視すればいいのだ。そして内容を知らねば勝てぬのか? 私は違う。どんな時でも勝ち進む、それがギルドというものだ。試験内容など、知ったこっちゃない!」
ザフネの主張にカズヤは貼り付けられた笑顔で頷き、近づいていく。
「おお! 伝わったか」
ザフネはカズヤの様子に好意的な解釈をして、笑みをこぼす。
そして近づいてきたカズヤが手を差し出すと、ザフネはその手を握ろうと手をさしだ――
「イダダダダダ!」
だがカズヤの差し出した手は握手ではなかった。
その手はザフネの顔面へと軌道を変え、アイアンクローを叩き込んだ。
「テメェの信念なんぞ、知ったこっちゃねえよ! 自論があるなら1人でやれ!俺を巻き込むな!」
「やめっ、やめたまえ10位殿!」
「あとお前が1番数字に囚われてるじゃねえか!」
そのままザフネを地面に叩きつけた。
そしてゆっくりと3人を見渡し、剣を引き抜く。
「原因1号は死にました。じゃあアクタ君、ゴルガ君。君達はなんなのかな」
手の上で剣を跳ねさせ、笑顔で迫る。
まるで仕置きの準備をする、調教師のように。
アクタは俯き目を逸らし、震える指でアンダゴルガを指さした。
「……トカゲが、急に襲いかかってきて」
「なっ、てめえ! てめえが煽ったんだろガキ!」
「お、やるかー!」
2人は再び取っ組み合いを始めた。
だがその殴り合いはすぐ終わった。
アクタが突然空中に浮かび始めたのだ。
「お、おお?! 私に何が!?」
「な、なんだお前……」
その異様な風景にアンダゴルガはたじろぐ。
その間にもアクタはどんどんと空中へ浮かび上がっていき、天井にまで届いてしまった。
「凄い事だけは分かる!凄い事だけは分かる!すご――ああああぁぁぁぁぁ」
そして空中で突然頭を抑えて苦しみ始めた。
「反省ぐらいしろ!」
カズヤがそう叫ぶと、ザフネ同様アクタは地面へと叩きつけられた。
そして原因2人の頭を鷲掴み、デボラの方へと歩いていく。
その姿に2人が呆然としていると、カズヤは振り返り地の底から響くような声で一言、「こい」とだけ喋った。
作品備考1
結局なぜザフネが来たのか誰もわかってない。
ザフネ本人も忘れた




