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リゲイン・ロスト・タレント ―才能を奪われた天才たちの異世界再生バトル譚―  作者: 綜目月 梶才
ギルド資格取得編

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第二試験

「――てな感じだったなー。あれは凄かった、舞台演劇一本見た感じだったよ」


「…………いいな」


 称賛、祝福、歓迎、あらゆる想いが込み上げる中、最初に出た言葉は嫉妬だった。


「……ん?」


予想外の反応に、アクタは首を傾げる。


(あっちはもう、歩き始めてるんだ。俺も早く……殺し合いしたいな)


 一足先に我が道を歩むウンコに、カズヤは嫉妬していたのだった。


 カズヤは意気込んだ世界最高の殺し合いを夢見て幸せを手にするために、最高の殺し合いが待つであろう終戦の戦に飛び込んだ身。


 つまり常に歩めるウンコとは違い、1年間のお預けがあったのだ。


だが――


(――この試験を突破すれば、合法で寄り道ができる!)


 そう。試験を突破すれば資格を得て、終戦までの寄り道殺し合いが可能なのである。

 その為にもカズヤは負けるわけにはいかない、幸せの為に落ちるわけにはいかない。


 嫉妬で始まった心は試験突破への熱へと変わり、カズヤを焚きつけ立ち上がらせた。


「んお。どしたの、カズヤん」


「こうしちゃおれんのですよ! アクタ! 第二試験まで時間はあるか!? あるなら、その合間に特訓だ!」


「おお! カズヤん、やるか!」


アクタも立ち上がる。

2人は両拳を天高く上げ、雄叫びを始めた。


「その事だが」


燃え上がった2人は、突然後方から水を差される。

 2人が振り向くと、そこには初戦で戦ったリザードマンが立っていた。


 第二試験について何か知っていそうな口ぶりに、カズヤが「なに?」と聞き返す。


 それに対してリザードマンは言葉ではなく、指を自分側に倒してついてくるようジェスチャーで伝え、廊下の奥へと歩いていった。


その行為に2人は渋々リザードマンの後を追った。


「なんすか、アニキー」


「そうだよトカゲー、説明しなよー。カズヤんに負けたんだから、指揮るのはこっちだろー」


 好き勝手言いまくる2人を無視して、リザードマンは背を向けたまま人差し指を立てた。


「さっき、医務室に通達が来てた。第二試験の説明場所についてだ。もう準備は整っているらしい、後は俺達3人を待つだけだってよ」



丁寧な説明。

だがその説明にカズヤは眉を顰める。


「俺達……?3人?」


「おやおやー、カズヤん。こいつは重症だぜえ。負けたくせに、自分は一回戦突破だと思い込んでる」


 アクタはカズヤと肩を組むと、頭をやれやれと左右に振った。


その言葉にリザードマンは軽く拳を握る。


「…………。――俺は免除されたんだよ、実力が高ければ負けても突破らしい」


 だがすぐに深呼吸で冷静を取り戻し、淡々と説明を続けた。


「へー、良かったな。頑張ろうぜ」


カズヤが回り込み拳を差し出す。

それにリザードマンも差し出し合わせた。


「あぁ。――お、ついたぞ」


 リザードマンの言葉に振り返ると、カズヤの後ろには2mほどの大きな扉があった。




その扉を開けて中に入る。


 そこは最初の試験会場とは打って変わって、室内だった。

 体育館ほどの広さの部屋の最奥で、試験官達が何かが書かれた掲示板を持ち、暇そうに立ち尽くしていた。


「きました!!」


 当然リザードマンが大きな声を上げる、その言葉に会場内の全ての視線はカズヤ達に集中した。


「来たか!!! どこでもいい!!座れ!!!!」


 リザードマンの大声に、何を張り合っているのかデボラはリザードマンに負けぬ声量で叫んだ。




 カズヤは室内で反響するデボラの声に耳を痛くしながら、ウンコを探す。

 そして扉から入って左側最後列の長椅子に、ウンコがいる事を発見した。


「よっウンコ! 一回戦突破おめでとう」


「おう! カズヤはどうだった」


 カズヤが陽気に声をかけると、ウンコは座りやすいように席を開ける。

 その空いた先にカズヤ、そしてアクタとリザードマンも座っていった。


「勝ったぜ! 対戦相手はこの人」


ウンコがカズヤが指差したリザードマンを見る。

 目が合ったリザードマンは手を軽く上げ、挨拶をした。


「……強そう。よく勝てたな」


ウンコが嫉妬混じりな声を出す。


「いや、あんたらには負けるよ。今回の中じゃ、アンタと対戦相手がぶっち切りだろ」


 強そうという言葉に対してリザードマンは謙遜した。


その言葉にカズヤは少し驚いた。


(戦いの興奮でああなってただけかな? この人やっぱ結構いい人なんだな)


 リザードマンの謙遜と称賛にウンコは少し喜び、「あざす」と一言礼をした。


 そして次にカズヤとリザードマンに挟まれる、女の子に目をつけた。


「そっちの子は?」


「ん、ああ。こいつはアクタ、試験会場内で仲良くなった」


「どもー、アクタです。」


 アクタは身を乗り出し人差し指と中指を額に当て、前方に振ってアピールした。

 アクタのアピールをじっと見つめた後、ウンコはカズヤの顔を凝視した。


「……なに?」


「いや、お前会うたびに、女の子連れてんなって」


「なにぃ! カズヤん浮気か!」


ウンコの言葉にアクタが思わず立ち上がる。


「はい、座りましょ」


 その行為にカズヤは慣れたようにスルーをして、肩に手を置き無理やり座らせた。




――「これより!第二試験を始める!! の前に、伝えておくものがある」


会場内にデボラの声が鳴り響く。

どうやら準備が整ったようだ。


 4人は声のする方、試験官達のいる台の方は向いた。

 そこには先程見た大きな掲示板があり、端の方で紙が少しめくれていた。


「これより、現時点での1〜10位までの評価を発表する! 1〜10位のものは、最終試験を突破した時点で合格確約となる! そしてそれだけではない! 1〜10位のものは、終戦の戦のメイン部隊入隊試験挑戦権を得られるのだ! つまり、大変名誉ある存在になれる!!」


 終戦の戦、そのワンフレーズに会場中から歓声が湧き上がる。

 その狂気的とも言える歓声を見て、カズヤは納得が行ったように頷いた。


(へー終戦の戦ってやっぱ、名誉あるとかそういう感じなんだ)


そしてウンコのほうに顔を寄せ、耳打ちをした。


「予言の勇者だからメイン部隊確定っぽいけど、一応1〜10位内入ってた方が良さそうだぜ」


その言葉にウンコは目を見合わせ、頷いた。



「それでは発表する! 現時点での1〜10位はこいつらだ!」


 デボラが叫び掲示板に貼られていた紙を引っ剥がす。

 カズヤとウンコは急いで姿勢を直し、そのランキングとやらに胸を躍らせ凝視した。


――――


1位 ウンコ 第一試験 勝利 戦闘時間 17分21秒


2位 ザフネ・ゼネギアス 第一試験 敗北 戦闘時間 17分21秒


3位 名無しあらため アクタ  第一試験 勝利 戦闘時間 1秒


4位 テッカ 第一試験 勝利 戦闘時間 2分6秒


5位 アズール 第一試験 勝利 戦闘時間 5分30秒


6位 セイカ 第一試験 勝利 戦闘時間 9分50秒


7位 アンダゴルガ 第一試験 敗北 戦闘時間 37秒


8位 サンザン 第一試験 勝利 戦闘時間 7分


9位 ビヨン 第一試験 敗北 戦闘時間 7分


10位 カズヤ 第一試験 勝利 戦闘時間 37秒


――――


「――おぉ!」


カズヤとウンコが同時に声を上げ、顔を見合わす。

2人ともランクインに成功したのだ。


「やりましたね、ウンコの兄貴! 1位ですよ! さすが最強!」


カズヤが細かく拍手をし始める。


「ほんとです!」


それにアクタも謎に便乗して拍手を始めた。


「流石だ」


リザードマンも流され拍手。


「いやー、それ程でもー!」


3人の称賛にウンコは上機嫌になり、身を捩った。



――だがその身を捩っていたウンコは、3人の目の前で突如天井へと蹴飛ばされていった。


突然の事に固まる3人。


 静寂が訪れた中、ベシャリと音を立ててウンコが落ちてくる。

そしてすぐさま体制を立て直し叫んだ。


「てめ! 何すんだ!槍女!」


 そう第一試験でウンコが戦った、槍使いの女が立っていた。

 女は怒鳴られているにも関わらず、すました顔をで髪を靡かせた。


「クソ風情は文字すら読めぬのか。掲示板を見ろ。槍女ではない、ザフネ・ゼネギアスと書いてあるだろう」


「は?……あれお前かよ。なんのようだよ、ザフネ」


「貴様如きが我が名を呼ぶなぁ!」


 ザフネは突如理不尽に怒り、再度ウンコを蹴り上げる。

だが二度目は通じず、躱されてしまう。


 そして行き場を失った右足は、最も近い壁へと当たり止まった。


――最も近い壁とは、ウンコの隣に座っていたカズヤであった。

 当然不意の攻撃に反応などできるはずがなく、ザフネの蹴りは気持ちいいほどカズヤの顎を蹴り抜いた。


「てっめぇー! カズヤんに何を!」


当然そうなれば立ち上がるのはこの女。


アクタがザフネに飛び掛かり胸ぐらを掴む。

だがザフネはまた悪びれもなく、髪を靡かせる。


「おおすまん、3()()殿()1()0()()殿()は君の仲間だったか」


「てんめー! おい7位、お前が行くんだ! 我ら四銃士最弱トカゲ!」


 アクタはザフネを突き飛ばし、指を刺しながらリザードマンあらためアンダゴルガに呼びかける。


 だがアクタの無礼な態度の連続に、アンダゴルガは握り拳を震わせて叫んだ。


「テメェ! さっきから聞いてれば、好き勝手言いやがって! 殺すぞガキが!」


「お、やるかー! 泣きを見ても知らんぜよ!」


 今度はアンダゴルガとアクタが取っ組み合い始める。

 そしてそれを尻目にウンコとザフネも殴り合いを始めた。




――「…………。」


 その最後列で行われる大乱闘を眺め、会場内の受験者や試験官は呆然とした。

 そして気づけば5人の周りには人っこ1人いなくなっていた。


「試験官、なんとかしてくれよ」


1人の男が泣きつくように試験官に懇願する。

だがデボラは首を振った。


「無理だ、手に負えん! あの5人は無視して、説明を続ける!」

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