結果
目を覚ますとカズヤは知らない部屋でベッドに転んでいた。
(んあ、どこここ。――医務室……?)
カズヤが情報を得ようと周りを見渡すと、大量のベッドに伏せる受験者がいた。
その中にはカズヤが戦ったあのリザードマンもいた。
(えっと、確か……。あの後試験官がきて――)
――「お前凄いな! 完全な格上相手だったのに、よく勝てた! その頭は確実に武器になる、この後も頑張れ」
ハルハはよろけるカズヤの背中を叩きながら、賞賛をした。
その後カズヤの目の前に回り込み、切り裂かれた喉元を確認し始めた。
「……傷はあるのに、出血もないし喋れてる。いいスキルだ……。原理はなんな――」
「――あの。そろそろスキル疲労で、限界になってきたんで治療頼みます……。気絶したら傷口開いて、死ぬんすよ」
カズヤは前後に揺れ虚な目をして懇願した。
そして懇願してすぐ、カズヤは地面へと倒れ込んでいった――
(――だったよな……)
カズヤは切り裂かれた喉と、自分で貫いた腹を弄った。
(すげえな、今回は完璧に塞がってる。さすが帝国)
カズヤは完治した腹を摩りながら、ゆっくりとベッドから降りた。
(ふぅ。なんか俺、戦った後毎回これだな)
カズヤが出入り口であろうドアに向かおうとした時、後ろから「おい」と呼びかけられた。
なんのようかと後ろを振り返ると、そこには対戦相手が立っていた。
――まさか……お礼参り……?
一抹の不安を持ちながら、恐る恐るリザードマンの元に近寄り見上げると、意外にもリザードマンは笑顔を見せた。
「お前すげえな、負けたよ。すまんな、チビザコとかいって。」
「……あぁ。あんたも、パワー凄かったよ」
カズヤも笑顔で返す。
「世辞はいい。あんたと戦ってわかった、パワーだけじゃどうにもならないってな。――引き止めて悪かったな、それだけだ」
そういうとリザードマンは自分のベッドへと戻っていった。
(割といい人)
カズヤは胸が温かくなり、微笑みながらドアを開け、医務室の外にでた。
「かずやーーーん!!!」
医務室を出るなり、ドアの目の前でずっと座っていたアクタが抱きついてきた。
「なんすかぁ!」
カズヤは衝撃と驚愕に発狂。
思わずアクタを張り倒し、距離を取る。
しかしアクタは一瞬で体勢を立て直しカズヤの背後に回り込み、傷口を触り始めた。
「ふんふん、治ってらっしゃる。さすが私」
「え、これアクタが治したの?」
カズヤは振り向きながら自分の傷口を再度触り、アクタを見る。
アクタは人差し指をクルクルと回しながら、自慢げな顔をしていた。
「私の力です」
「マジ、ありがとう」
カズヤは軽く会釈した。
「――あ、そういえばアクタ第一試験突破できた? 俺は行けたよ」
カズヤは近くにある廊下備え付けの椅子に座りながら問いかける。
アクタはそれに続いてカズヤの横に座ると、ピースサインを胸の前で振った。
「余裕! 私の相手なー、なんか変な人だった――」
――「君、すまないが僕は女性とは戦わない。手荒な真似はしたくないんだ、降参してくれ」
おかっぱヘアーの男はそういうとアクタに向かって手を払い、棄権を促す。
「えー、じゃあ男だったら戦うの?」
「あぁ、そうだ」
「おっけー」
男が答えると、突然アクタは自分の胸を鷲掴み、押し始めた。
そしてみるみるうちにCカップはあった胸は、男のような絶壁へと変わってしまった。
そして次にズボンの中に手を突っ込み、モゾモゾと蠢いた。
「……ん、よし! 男になったよー」
そういうとアクタは服とズボンを捲り、男に見せつけた。
アクタの行為に男は咄嗟に両手で目を覆い、顔を背ける。
「何をする!」
「えー? ちんこできたから、男だよって。ほら見て」
アクタは一瞬で男の元に回り込み、ズボンの中を見せつけた。
「――なっ! ……ある」
男はアクタの下部に確かな陰部を発見。
あまりの衝撃に開いた口が塞がらなかった。
そんな男の気も知らずアクタは鼻歌混じりに初期位置に戻り、ファイティングポーズをとった。
「男だよ、やろう!」
「ちょっと待って、君男だったの? さっきの胸は」
男の問いにアクタは首を傾げる。
「何言ってんの、いま変えたじゃん。アクタは女だよ」
「……そう……か」
当たり前かのように話すアクタに男は混乱しつつも、自分をなんとか納得させ腰にかけた剣を引き抜いた。
「よし、いくよ」
アクタが笑顔で拳を握りしめる。
その言葉に男はゆっくりと頷き、剣を握る両手に力を込めた。
「あぁ、こ――」
「ドーン!」
男が返事をするや否や。アクタは一瞬で距離を詰め、握り拳を顔面に叩きつけた。
殴られた男は顔面が陥没し、そのまま吹き飛んで島の外へと落ちていってしまった――
「てな感じ!」
(アクタナチュラルに化け物だな……)
アクタの話にカズヤは引き攣った笑顔を浮かべ、頷く。
そして話の中で一つ違和感を覚えた。
「落としたらダメじゃね? 殺人で失格でしょ」
「そこは大丈夫! 落とした後、魔法使いの試験官が拾ってくれた。なんか、『場外も戦闘不能扱いだから、君の勝ちだ』だって」
「へー、よかったな」
カズヤの言葉にアクタは笑顔を浮かべ、激しく頷いた。
「ちなみに、ウンコって見なかった? 仲間なんだ」
カズヤはずっと気になっていた事を恐る恐る聞いた。
その言葉にアクタは顎に手を当て、考え始める。
その考える時間がそのまま、カズヤの不安を大きくしていった。
「――あ! いたね。あれはやばかった」
「どうだった?」
カズヤは眉間をひそめ、小さくつぶやいた。
「槍使いの鎧着込んだ、髪の長い女の人が相手だったんだけどね」




