いざ、帝都へ!
場面は変わり村のはずれ。
カズヤとウンコはその場で2人黄昏、ミカーヤの帰りを待っていた。
何故2人だけが待っているのかというと――
「お待たせしましたー」
ミカーヤが馬車の御者台に乗って、2人の前に現れた。
――そう、馬車のレンタルの依頼をゲルニカへと頼みにいっていたのだ。
カズヤは腹のトラウマから、ウンコは金を持てないことから、仕方なくミカーヤが向かったのである。
「こんちわー」
「いつもお世話になります」
2人は軽口を叩きながら、馬車の荷台へと乗り込んだ。
2人が荷台で座ったのを確認すると、ミカーヤは手綱を操り馬車を動かした。
――目的地はレンベルド一の大国、ヴァルテリア帝国。
3人は夢を胸に――今旅立つのだ。
「ねえ、ミカーヤさん」
カズヤが荷台に積まれた食料を食べながら、ミカーヤを呼ぶ。
「はい、なんですか」
「さっき言ってた、ギルドって何なの?」
カズヤの問いにミカーヤは収納魔法から一つ、蒼白の細長い結晶を取り出し荷台へと投げた。
結晶は荷台の床にあたりカラカラと気持ちのいい軽い音を立てて、カズヤの前に滑り込む。
カズヤはその結晶を拾い上げ、眼前に持ち上げると見えやすいように陽光に翳した。
「何これ」
「魔力注ぎ込んでみてください」
「魔力の使い方わかんない。――ウンコ」
「あい」
カズヤは結晶をウンコへと差し出して、魔力を注ぎ込んでもらった。
魔力を注ぎ込んだ途端結晶は淡い蒼光を発しだす。
その光を見た瞬間、カズヤの脳内に情報が流れ込んだ。
『ミカーヤ君。試験合格、そして加入おめでとう。ようこそ、ギルドへ』
「うわ、何これ」
カズヤは驚きのあまり結晶を床に落としてしまった。
「そのまま聞いといてください、教えてくれるので」
ミカーヤの言葉にカズヤは戸惑いながらも、ゆっくりと結晶を拾い上げ、続きを見た。
『――が今回の君の点数だ。惜しくも届かなかったという事で、君の階級はDだ。9段階中下から3番目だね』
一度落としてしまったせいか、内容は続きからとなっている。
『さて、最後にギルドに付いて説明をしていこう。――ギルドというのは平たくいうと、戦闘何でも屋だ。知っての通りこの世界は戦争続きだ。それ故に兵隊は忙しく、市民や企業の要望を受け入れる暇があまり無い。それを打開すべくできたのが、我々ギルドというわけだ。ギルドは市民や企業からの依頼を受け、解決していく。そしてそれを経て、己を高めていきヴァルシェラの教えを敬虔する! 素晴らしい職業なのだ!』
情報はそこで終わり、結晶は光を失いただの結晶へと戻った。
「わかりました?」
光がなくなった事を確認したミカーヤは、後ろを振り向きながらカズヤに聞いた。
「うん。――はい、次ウンコ」
「あい」
カズヤはウンコに結晶を渡した後、御者台の方へと寄っていった。
「ミカーヤギルド資格あったんだな」
「はい。父が存命の時帝国に行った事があって、その時とりました。ちなみに昨日言ってた仕事については、ギルドの事言ってたんです」
「へー。じゃあ、ギルドって結構稼げるんだな」
カズヤの呟きにミカーヤは目だけ上を向き、カズヤの言葉の意図を考えた。
「家の事ですか?」
「うん、デカかったし」
ミカーヤは前を向いたまま顔の前で手を振り、笑いながら応える。
「確かに最高ランクの人はそれぐらいいけますけど、私の場合は無理ですよ」
「じゃあ、あの家どうやったの」
「8割仕送りですね」
ミカーヤの回答にカズヤは触れていいのか分からず、押し黙った。
そしてミカーヤと同じよう前方を向き、移り行く景色を楽しんだ。
「――あ、きましたよ」
走りはじめてから30分、ミカーヤが突然甲高い声を上げた。
カズヤとウンコは声に驚き、荷台から顔を出して外を見た。
しかしそこには何の変哲もないただの平原しかなく、2人は何に反応したのか分からないでいた。
「後、1分ほど走れば10キロ地点です」
しかしミカーヤの言葉にすぐさま2人は反応して、顔を見合わせた。
そして互いに笑みを浮かべ――ウンコは簡素な顔を作り――もう一度外を見た。
「600。500。400! 300!!」
距離を語るミカーヤの声はだんだんと活気に満ち溢れ、彼女の高揚を2人に感じさせた。
そしてついに――
「ゼローー!!!!」
「おめでとー!!」
ミカーヤの叫びに2人は同時に拍手をして祝福した。
ミカーヤは笑いながらも目に涙を浮かべる。
「やっと実感できました! 旅が始まるって――」
作品備考
等級はF〜SSS




