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リゲイン・ロスト・タレント ―才能を奪われた天才たちの異世界再生バトル譚―  作者: 綜目月 梶才
ギルド資格取得編

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この世界について

 部屋を包み込んだ閃光は、やがてゆっくりと機械の中に収束していった。

 光が消えると同時に、仄暗い地下室の現実がふたたび彼らを包んだ。


 視覚的には何も変化がなかったが3人は魂を通じて――確かに何かが変わった事を感じ取った。


「――うん、あの時と同じ感覚! カズヤさん、ウンコさん、多分行けましたよ! 早く外行きましょ!」


 ミカーヤは確かな手応えに笑みを浮かべて、飛び跳ねながら地上への階段を登って行った。


 その勢いに釣られてウンコも外へ駆け出す。

その楽しげな背中を見つめながら、カズヤは心の穴がひとつ埋まった気がした。




――一足遅れて、カズヤが地上に上がるとミカーヤ達は庭に大量の武器や防具を並べて、その場に座り込み熱心に話あっていた。


「おーす、何してんの」


「あ、カズヤさん。遅かったですね。今ちょうどカズヤさんを、待ってたとこです」


 ミカーヤは手に持った武器を地面に置き、カズヤの方へ笑顔で振り返った。


「うん。ウンコが先に出たせいで、真っ暗になったからね」


「……あ、ごめん」


 淡々と言うカズヤにウンコは笑いながら謝罪をした。


 カズヤは地下室でついた埃を払いながら2人の元へ近づき、同じように武器防具の前に座り込んだ。


「今やってるのはですね、旅立ちの為の準備です。ほら、お二人のやりたい事は戦う事だったじゃないですか。そうなってくると武器とか必要ですし、この世界についても話さなきゃなって」


「なるほど、ちなみにこの大量の武器や防具の出所は?」


 カズヤは目の前に置いてある丹念に磨かれ、その刀身に世界を映す剣を手に取った。

 その剣は軽く一振りするだけでも木を切断できる、と迷信できるほどの圧倒的な完成度を誇っていた。


 その剣を手に、カズヤはこの世界の鍛冶技術の高さに驚き、戦争が六千年も続いてきたという現実を確信した。


「全部私が買いました。いつかこうなる日が来るだろう、と準備してたんです。好きなの取っていいですよ、それにします?」


 ミカーヤはカズヤが見惚れる剣を見たのち、地面に転がる本――『世界の武器大百科』と書かれている――を手に取り開いた。

 そして剣の柄を定期的に確認しながら本をペラペラとめくり、カズヤの持つ剣の書かれたページを探した。


「えーっと、その剣は『クレイの(つるぎ)』って言うらしいです。――あ、ダメかもです。なんか、魔剣として登録されてるんですが。いまいち能力がわからない為、ガラクタと評されていますね」


(何かあるのは確かだけど、何かはわからない……か)


その言葉にカズヤは親近感が湧いた。

 未だ判明しない自分自身の目の才能、発覚せず本来の実力を出しきれない剣に似たところを見出したのだ。


「俺これにする」


「え、いいんですか? ガラクタですよ?」


「いいのいいの。物ってのは完璧より、ちょっと欠けた方が愛着が湧くもんなの」


 そう言うとカズヤは近くに置いてある鞘を拾い、クレイの剣を収納して背負った。


「で、2人は何にしたんだ?」


カズヤは2人へ視線を配った。

 カズヤの問いにミカーヤは近くに置いてあった武器を拾い、振ることでアピールをした。


「私はこれです、三節棍!」


「渋いね、何でそれなの」


「4年前『あるヒの、黄昏』って小説にハマってたんですけど〜」


「……小説?」


「はい!その主人公の武器が三節棍なんです。それ見た時から、これだ!ってなって」


(えぇ、理由浅……)


 その答えにカズヤは己の命を預けると言うのに奇天烈な決め方に戸惑いながらも、ある種のミカーヤらしさを感じた。



そして次にウンコへ視線を向ける。

 ぶっちゃけるとカズヤはこっちが本命だった、ウンコという存在がどんな物を選ぶのか気になってしょうがなかったのだ。



しかし――


「なんもないよ」


ウンコは武器を選んですらなかった。

 カズヤは期待外れに落ち込みながらも、ウンコだから武器が持てないという至極当たり前の事を思い納得した。


「まぁそもそもウンコさんは、絶対いらないですしね」


ミカーヤの言葉にカズヤは疑問を抱く。

 待てないなら分かる――だが絶対にいらないとはどういう事なのかと。


 それについて聞こうとしたが、ミカーヤはカズヤの行動を先読みして聞き込む前に続きを話した。


「魔法使いって、魔法補助の媒体しか道具を使わないんですよ。ですがなんかウンコさんは、そのまま打てるタイプなので必要ありません」


「へー、転生者らしい」


 説明が終わるとミカーヤは徐に立ち上がり、選ばれなかった武器を拾い上げ、敷地の奥へと投げ始めた。


「じゃあ、武器の次は防具を選ぶ番ですけど、どうします?」


 ミカーヤは乱雑に置かれた防具を整頓し始め、2人が見やすいように並べ始めた。

 そして現在ある10着全てならば終えると膝立ちして、両手を大きく広げてアピールをした。


「さぁ!選んでください。ちなみに私は要らないので、お好きな物を」


「ん、俺もいらん。身柄の方がいいし」


「俺もウンコだからいらない」


 しかしミカーヤの思いとは裏腹に、防具はあっさりと拒否されてしまった。


「あ、そうですか」


 ミカーヤはせっかく大金を叩いて買った防具が一瞬でガラクタになった事に少し悲しみ、武器同様敷地の奥へと投げ始めた。


「じゃあ、次ですね。旅をする上で、とても重要な事――この世界について、教えていきます」


 カズヤは息を飲み、身を少し乗り出して聞き入る姿勢を見せた。


 転載後何よりも気になっていた事、この世界の情勢。

 6000年続く戦争とは何なのか、そしてゲルニカに言われた予言とは何なのか――





「えーっとですね。沢山言う事あるんですが、とりあえず1番大事な事教えます」


 


「この世界――後一年で滅びます」

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