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リゲイン・ロスト・タレント ―才能を奪われた天才たちの異世界再生バトル譚―  作者: 綜目月 梶才
転生の意味

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21/58

手術開始

 ミカーヤは村の最奥に聳える自分の大邸宅まで急いだ。

 そして家の中に入り、大事な物を窓ガラスを破りながら庭に投げ捨てていった。

 一通り投げ終えると、ミカーヤは台所から一つ魔晶石を手に取り、玄関前まで走った。


「ごめんなさい! 『ケトラ』!」


 解除魔法をかけられた魔晶石はみるみるうちに、豪炎へと変わり、ミカーヤの袖を燃やし始める。

 ミカーヤは急いで魔晶石を家の中に投げ、火が燃え移らないよう袖を破り捨てた。


「お願い、これで来て」


 ミカーヤは祈りながら門の方へ視線を送ると、村一番の大邸宅が炎に包まれる状況に、家に引き篭もっていた住民達は1人、また1人と野次馬に門前に集まり始めた。


そして燃え続ける事8分。

 ついに館全てが炎に包まれ、門前は昼前のような明かりに包まれ始めた。

 ミカーヤは門の上に飛び乗り、野次馬達へ視線を向けた。


「ヒャアッ!バケモンだ! やっぱり滅びの時が始まったんだ!」


 村人達は燃え上がる館を背に、突如現れたミカーヤを見て悲鳴を上げ始めた。

 ある物は腰を抜かし、ある物は逃げ惑い、ある物は石を投げつけ。


村人達はミカーヤを拒絶し始めた。


 そんな村人達を無視して、ミカーヤは野次馬に集まる物達の中からウンコを探す。

 必死に目を動かし続け、大衆の中から小さな小さなウンコを探し続けた。


(いた!)


 ミカーヤはついにウンコを見つけ、門から飛び降りた。

 ミカーヤの行動に村人達は蜘蛛の子を散らしたように逃げ惑い、道を開ける。


 ミカーヤは図らずしも訪れた好機を利用して、ウンコまでの最短距離を突っ切った。

 そしてウンコがこちらに反応するよりも早く鷲掴み、治療所へと走った。


「ちょっ、ミカーヤ。燃えてたけど、あれ無視でいいの!」


「自宅です! 大丈夫なのでお構いなく!」


戸惑うウンコに構わずミカーヤは走り続けた。

そして治療所へと到着して、中へと入っていく。


「ここどこ! そういえば、カズヤは?!」


「治療所です、この中にいます。聞きたいこと後で教えるので、今は流れに身を任せてください」


 ミカーヤは端的に説明すると、治療室のドアを開いた。


「連れてきました! 魔力量多い人です」


 ミカーヤは鷲掴むウンコをゲルニカの目の前に突き出した。


「おお! きたか――アホか!便じゃないか!汚いもん持ってくるな!」


 ゲルニカはウンコを見るや否やミカーヤの頭を叩いた。


「これ生き物です! 魔力で保護してます!」


しかしミカーヤは怯まずウンコの説明をする。

 その気迫にゲルニカはミカーヤの言葉に半信半疑になりながらも、ウンコの方へ向いた。


「どうも」


「……!! …………よし、連れてきたんじゃな。じゃあ手術をすぐに始める、手伝え」


 ゲルニカは込み上げる思いを飲み込み、手術の準備を始める。


 まずは桶で手を洗い清潔にしたのち、ミカーヤ同様手を魔力で覆った。


 そして棚から棘のある大きな植物の茎を取り出して茎を折り、茎から垂れ出した粘性の液と、いつのまにか抽出していたカズヤの血を混ぜ始めた。


「マギザムの花の液に対して、人間族は拒絶反応が起きにくい。血も混ぜればほぼゼロといえる。これを手に塗れば、腹の中を触れるって訳じゃ」


 ゲルニカは血を纏った手をゆっくりとカズヤの腹の中に入れた。


「……ここじゃな」


 ゲルニカはゆっくりと断裂した血管と血管を繋げ合わせ、治療魔法で修復し始めた。

 一つ一つ丁寧に血管を修復し、続けて神経も修復していった。


「よし、あとは……」


 ゲルニカは魔晶石を一つ手に取り血を塗りたくると、カズヤのお腹の中へと入れた。


「手伝え、こい」


「はい」


ゲルニカに呼ばれミカーヤがすぐさま近寄る。

 ミカーヤを一瞥した後、カズヤの腹部を指差した。


「この辺りじゃ、ここにケトラ」


「はい、『ケトラ』!」


「よし。これを3時間、絶やすことなく続けるんじゃ」


「魔力の注入お願いします、ウンコさん」


「わかった」


 ウンコが魔力を注ぎ続けると、みるみるうちにカズヤの顔に血色が戻り始めた。

 それを見てゲルニカは安堵のため息を吐き、手についた血を洗い始めた。


「繊細な細部はワシが直した、あとはその魔晶石に大雑把な所は任せる。3時間もすればそいつも回復してきて、自前の魔力で魔晶石を継続させれるじゃろ」

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