表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リゲイン・ロスト・タレント ―才能を奪われた天才たちの異世界再生バトル譚―  作者: 綜目月 梶才
転生の意味

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/58

転生

第二話は進んでくれたという事は、そういう事ですよね。

よければ感想や評価お願いします。

励みになります

(ん、あれ? 何してたっけ俺)


 目を覚ましたカズヤは、今いる状況を理解するために辺りを見渡した。

 しかし理解するどころか、より一層謎が深まる光景が眼前に広がっていた。

 カズヤは見渡す限り上も下も前も後ろも終わりが分からないほど白い空間にいた。


(んえー、なにこれ。――確か、俺さっきまで戦ってたよな。それで頭打って……)


 カズヤは生前のことを思い出し始め、強打した後頭部の傷の具合を確認するために手を伸ばした。

しかしなぜか腕が動く感覚がなかった。

 カズヤは腕の感覚が何故ないのか、恐る恐る己の体を確認した。


(何これ、キモ。俺の体白い風船みたいになってる。)


 カズヤは変わり果ててしまった自分の体と、見た事もない異様な空間を交互に見比べた。

そして数秒の沈黙の後、一つの結論を導き出した。


(んー、多分俺死んだかな。今の状況が死後の世界なら合点いくし。だからこの体は所謂魂かな。死因の方は後頭部の強打による脳内出血かな。)


 何となく自分の状況を理解して状況を受け止めると、もう一度何かないか辺りを見渡し始めた。

 300m程先に魂達が行列を作っているのを発見した。

 白い世界に白い魂たちの行列、先程は軽く見渡していただけだったため気づかなかったようだ。


(俺も並ぶべきだよな)


 特にする事もないのカズヤは右に倣えの精神で並ぶ事を決めた。


(で、どう動くんだこれ。足ないぞ。……仕方ない、模索するか。暗中模索は昔から得意だしな。――そういえば、何で得意になったんだっけ。いや、今はもういいか)


カズヤは早速、色々試し始めた。

 しかし、跳ぶ、飛ぶ、念じる、下半身を振って反動で進む、転がる、身を捩る、体重を前に預ける、思いつく全てが失敗に終わった。


(マジでどう動くんだこれ。――作戦変更だな、頭使おう、頭。……足が無いから歩けないってのが間違いなのでは。違和感に気づいたのは少し前、恐らく俺の体には目が存在しない。体を動かした時、その場合は体が確実に動いている感覚が存在する。しかし目の場合は感覚が全く無い、乾いた感覚、動いた感覚その全てがだ。つまり機能だけ存在していて、存在はないんじゃ無いか。そして目が可能ならば、それを足にも応用できるはず。その場合、目ができて手足ができない理由はなんだ。――意識か。目の場合は既に機能の確認ができていたから、存在がないと分かった後も、動くものと認識していて意識して動かせたのでは。この仮説が正しければ、あの時腕は実際には機能していた、しかし感覚がなかったため動かない物と認識して、意識できず動かせなかったという事になる。ここから導き出される答えは、手足へ意識を向けれたら動くといく事になる。じゃあ次はその意識をどう向けるかだな、存在しない四肢にどう意識を向けるのか。……あ、そうだ、幻肢だ。幻肢なら存在しない四肢を知覚できる。そして幻肢の感覚は、5.21で指吹っ飛んだ時の感覚から再現できるはず。よし、やるか)


 自論が完成したカズヤは早速、昔の感覚を思い出しながら幻肢をイメージした。


(よし、完璧に足の感覚ができてきた。このままの状態で、歩く)


 イメージで作り出した足を一歩、また一歩と歩を進めると先ほどの停滞が嘘のように前へと進み始めた。


(よし、予想通り歩けたぞ。一度でも歩けたら、もうイメージを解いてもいけるはず。うん、ちゃんと歩けるな。それにしても足が動く感覚がないのに動けるって変な感じだ。初めてバイク2ケツした時みたいな、意志とは反して体が持っていかれる感覚だ)


歩く事6分、列にはすぐついた。

 白い空間のせいで遠近感が分からなかったが、意外と近かったようだ。

 そして列に辿り着いた時、カズヤは一つ周りの魂と自分に大きな違いを見つけた。


(みんな同じなのになんか俺だけでかい)


 列に並んでいる魂達は皆一律に同じ大きさなのに対し、カズヤの魂は他の魂と比べ、数倍ほど大きかったのだ。

 自分だけ他とは違う事に、不安となんとも言えぬ居心地の悪さを覚えたカズヤは、モヤモヤを解消するため、目の前の魂に話しかけた。


「あの、すみません。ちょっといいですか」


10秒。

20秒。

 いくら待っても目の前の魂はカズヤに反応を示さなかった。


(……? 聞こえなかったのか。)


「すみません」


 先程より大きな声で語りかけたが、前の魂は変わらず反応を示さなかった。

カズヤは諦めて一つ前の魂に話しかけた。

しかし前の魂も同じく反応を示さなかった。

 その後手当たり次第に5体ほどの魂に話しかけたが、皆同じく反応はなかった。


(何でみんなピクリとも動かないんだ。)


 カズヤは困惑しながら、ふと列の先へ視線を向けた。


(そういえば、この列の先何があるんだ)


 カズヤは反応を示さない魂達を少し眺めた後もう一度列の先に目をやると、黙って列の最前列に向かって歩き始めた。


 歩く事3時間、ついに肉眼で列の先頭が鮮明に見える距離まで辿り着いた。

 列の先頭ではモーセのような風貌の老人が机に向かい、何かの書類を見た後空を指でなぞり先頭の魂を細切れにしていた。

 細切れにされた魂は、これまた老人が空で指をなぞると煙のように姿を消した。


(なにしてるんだあれ。切り刻む大きさ魂によって違うけど、意味あんのかな)


カズヤは頃合いを見て列に割り込んだ。

 そして待つ事15分、カズヤが先頭になるまで後3体という所までに差し掛かった時、ついに老人の喋ってる内容が明瞭に聞こえ始めた。


「はい、()()はアライグマね。600当分だね。はい、次――」


(なるほど、輪廻転生の手続きって感じか。生物によって、分ける大きさが違うのな。なるほどなるほど。お、そうこうしてるうちに、次は俺だ)


 カズヤは自分の番が来る緊張に無意識に背筋を伸ばし、声がかかるのを待った。


「はい、次のたま――」


 カズヤは呼ばれた瞬間、待ってましたと言わんばかりに、食いつき気味に意気揚々と身を乗り出した。

 そしてその姿を見た老人は顔に最大限の絶望を浮かべ、手から書類を落としてしまった。

 カズヤを眺める事5秒、老人は放心状態からすぐに復帰すると、口に開いた両手を添えて上を向かって叫んだ。


「おっくーん!!! 降りてきて! 」


 老人が叫ぶと呼応するように天から雷が降り注ぎ、煙が晴れると1人の古風な甚平を着た青年が立っていた。


「はい、お呼ばれ! なんしょう!」


 老人は反応をすることも無く、自分の眉間を指で摘みながらカズヤを指差した。


「うわ、でっか。また来たんすね」


 カズヤを見た青年は、驚きとワクワクが混じった目を老人へ向けた。

予想と違う返答に老人は戸惑い顔をあげた。


「え? これ、おっくんでしょ。ここまで来てるし。それに今年だけで既に3()()来てるのに、4人目は流石にないでしょ。」


 反応を見た青年は顎に手を当てしばらく沈黙すると、目を金色に光らせカズヤの全身を隅々まで眺め始めた。


「結合跡なし、神通力なし。うん、俺のミスじゃなく、元からこれですねー。……え! こいつさっきまで、足はやしてた形跡ある! ヤバいっすよ、初じゃないっすか!?」 


 吟味をしていた青年は口元に手を当て興奮し始めた。


「え、まじ?」


 真偽を確かめるため、老人は青年と同じように目を金色に光らせ、青年の横にしゃがみ込みカズヤの下半身を見た。


「マジだ、すご。目とか口は今まであったけど、足は確かに初だね。これで歩いてきたのかぁ。すまんねおっくん、勘違いして」


「いやー、これは仕方ないですよ。で、どうしますか」


「いつものにしたいね、ダルいし」


「ですね」


 話がまとまると老人は立ち上がり机に戻り、青年は立ち上がってカズヤへと一歩近づいた。


(お、やっと終わったか。疎外感凄かったな)


 カズヤは近づいてきた青年に体を向け、次の言葉を待っているのを示唆した。


「うん、自我あるね。君、喋れるよね? 口元にも残滓あったしいけるよね。」


「いけます」


 カズヤの返答に笑顔を返すと、青年は手をカズヤの方に差し出した。


「初めまして、僕の名前は鏖殺確約丸(おうさつかくやくまる)、おっくんと呼んでくれ。とりあえず、お近づきの握手だ。」


「わかりました。ちょっと待ってください、今手作ります」


 カズヤは幻肢で腕を形成して鏖殺確約丸の握手に応じた。


「カズヤです、よろしく」


「んー、優&秀。君、凄いね。無意識で目や口に幻体術(げんたいじゅつ)使ってる人達は結構いたけど、意識して使えてるのは君だけだよ。どうやったの」


「えっと、そうですね――」


「ちょっと待って、自我薄くない? おっくんの名前フル無視だよ」


それまでただ眺めているだけだった老人が突然、カズヤの言葉を遮り会話に割り込んだ。


「まぁ、魂ならこんなもんでしょう。俺もこんなんでしたよ。前々回と前々々回が自我保つバケモンだっただけです」


「そうかあ。とりあえず、自我薄いと会話にならないし、体作ろう」


 そう言うと老人は立ち上がり、開けた空間にカズヤの生前の体を形成した。


「おぉ、結構イケメンだね。裸だとアレだし、服も作ろうか。テキトーに、革ジャンとジーパンで。よし、カズヤ君入りな」


 老人に促されたカズヤは早速自分の肉体へと近づいて胸元に体当たりした。

そして弾かれた。

 想像とは違う結果にカズヤは数秒固まった後、鏖殺確約丸の方へ向いて助けを求めた。


「口から入ればいけるよ」


 言われた通り口の中に体を捩じ込むと、あれ程まで大きかった体が全て吸い込まれていき、肉体と融合されていった。


「うおぉぉぉぉぉ! ふっかーつ! スゲェ!! しかも、右目が見える! 神すげぇぇえぇ!」


 カズヤは数時間ぶりの生身に歓喜して、ガッツポーズを繰り返した。


「ん、自我戻ったね。それじゃ話し続けてね」


そういうと老人はまた机へと戻っていった。


「じゃあ、続き話そうか。どうやって四肢はやしたの」


「ん? あぁ、はやした方法な。幻肢ってあるじゃん、存在しない四肢の感覚を感じる奴。あれを意図的にやったらできた」


「拙い所を見るに、才なしなのに可能にしている。凄いな、変幻自在の魂か。どうやってそんな事を可能にしているんだ。これがあれば1800年前俺は……」


 答えを聞いた鏖殺確約丸は目を輝かせながら、ブツブツと独り言を始めた。


「おっくん、また悪い癖出てるよ」


 老人の呼び掛けでも独り言は止まる事なく、それどころかどんどんと加速を始めていた。

 その姿を見た老人はため息を吐きながら空を指でなぞり始めた。


「変幻自在……これに生物的制限すらないのであ――」


突如稲光が鏖殺確約丸の腹を貫いた。

 貫かれた鏖殺確約丸はそこでようやく正気を取り戻し、崩れた身嗜みを整えてカズヤの方へ顔を向けた。


「いやー、すまないすまない。生前武人だったものでね、戦闘において魅力的な物を見つけるとつい入っちゃうんだ。君もそう言うのない?」


 鏖殺確約丸の問いに、カズヤは生前の幸せな死線を思い出し、笑みを浮かべた。


「あるなあ、やっぱ趣味があるといいよなぁ」


「世間話はいいから、そろそろ本題入ろうよ。おっくん真面目にやって」


 2人のやり取りを眺めていた老人は、机を人差し指で叩き頬杖をつきながら催促をした。


(やべー、そろそろ真面目にしよ)


 態度から苛立ちを感じ取った鏖殺確約丸は、冷や汗を垂らし気を引き締め直した。


「じゃあ本題、の前に少し魂について説明。君の後ろに並ぶ魂達、これ実は色々な魂の複合体なんだよね。その魂達は大体、人間の魂216個でそれぐらいの大きさになる。シャチなら42個かな、クジラなら71個。知ってた? 魂の大きさって肉体の大きさに比例しないんだよ。」


 カズヤは鏖殺確約丸の説明に口を挟む事なく、黙って聞き込んだ。

 今置かれている状況に対応する為、言葉の理解に全力を尽くした。


「それで、なんでそんな事するんだっていうと、自我を完璧に消すためなんだ。自我が残ったまま次の体にいくと、体に定着した瞬間に魂と肉体二つの自我が混ざって、魂が崩壊する。その魂の崩壊は周りにも影響与えるから、絶対避けなきゃだめなんだ。その為に自我を消すの――」


 反応のなさに鏖殺確約丸は不安を覚えながら、カズヤの方を一瞥する。

その視線にカズヤは頷く事で理解を示した。

 カズヤの相槌に鏖殺確約丸は安心して、説明を続けた。


「その消す方法が、融合ってわけだ。魂と魂2個混ぜるだけでも、自我はグチャグチャになるんだけど、それだけだと一応グチャグチャの自我が残る。だから完璧に消すために、いろんな魂を複数ごちゃ混ぜにしてるんだ。ちなみに大きさは、あれが1番使い勝手がいいから、自我完全に消えた後も混ぜてあの大きさにしてる。」


「え、俺あれになんの?」


そこで初めてカズヤが反応を示した。

 頭の中で整理していると、どうにも自分があの状態として自我が消される事に行き着いたのだった。


 カズヤは焦り始め、目の前の鏖殺確約丸に対して警戒を示した。

 その反応に鏖殺確約丸は笑いながら、手を縦にして大きく横に振った。


「大丈夫だって、あれには()()()()


 鏖殺確約丸の言動にカズヤは安堵を覚え、警戒を解いた。


「――話戻すよ? で、ここで問題になってくるのが、人間によく見られる個体差なんだ。所謂才能だね。よく才能って、天賦の才とか言われてるけど、あれ神ちゃん全く関係ないんだよね。肉体と魂が結びついた時、魂は反応して形変える、そうして生まれるのが才能」


 説明の中鏖殺確約丸は手のひらの上で、金色のオーラで人形劇をしながら、わかりやすく説明をした。


「この才能が厄介でね、素晴らしい才能を持つ魂ってデカいの。このデカいの何が厄介かっていうと、デカければデカいほど自我消えにくいんだよね。そんなの沢山魂混ぜれば解決じゃんって思うでしょ? 実際それで解決できる魂もあるんだけど、ごく僅か何体かは、それをすると自我が無くなるまでに、でかくなりすぎるんだ。それの何が問題なのかっていうのは、さっき言った使い勝手がいいに繋がる」


そう言いながら長蛇の列を作る魂を指差す。


(え、じゃあ俺才能やばくね? 俺すげえ)


 カズヤは自分の体と長蛇の列を交互に見ながら、自画自賛をした。


 顔から笑顔が滲み出て期待を露わにするカズヤに、鏖殺確約丸は説明に調子が出てきて、声のトーンを上げながらさらに続けた。


「で、実は魂って刻める回数が決まってるんだ。制限以上刻むと魂に傷がいって、それに費やした魂が全部崩壊するんだよね。それは勿体無いし、なにより故意に壊す事自体不可能だし。じゃあ制限ギリギリまで刻めばいいんじゃって思った?」


 鏖殺確約丸の突然の問いかけに、カズヤはゆっくりと頷く。

 期待通りの反応に鏖殺確約丸は笑みを浮かべ、人差し指を左右に振った。


「それしても他の問題が出てきて、次は魂一つ一つがデカすぎるって事になる。魂のデカさ=個体の強さだから、そんなデカい魂を入れちゃったら、生態系とか壊れちゃうんだよね。だからデカすぎる魂が現れると、八方塞がりで困っちゃうんだよね。君なんかその最たる例。後ろの魂の8倍ぐらいデカいでしょ、そんなのお手上げだー。」


 鏖殺確約丸は両手をあげて、頭を下げながら左右に振った。

 テンションが上がりすぎたのか、ジェスチャーが大きすぎる様子に、カズヤは戸惑いながらも問いかけた。


「じゃあ、俺はどうなるんだ? どうにもできなくない?」


 カズヤの質問に鏖殺確約丸はまさに求めていたと言わんばかりに、勢いよく指を刺した。


「そう! そこで本題、君が輪廻転生すると、世界に影響与えすぎちゃうから、ここに残って俺みたいに神ちゃんの手伝いをするか、迷惑かからない異界に転生させて、厄介払いしたいんだ。君はどっちがいい?」



――カズヤの心が揺れた。

 死後の世界という事実に諦め達観していたカズヤ。しかし今、もう一度自分の人生を生きれると、手を差し伸べられたのだ。


「――ちなみに、その異界ってのはどんな場所?」


「そうだね……。君が生きた世界に比べたら、治安が悪いかな」


 『()()()()()』そのワンフレーズに、カズヤは目を輝かせた。


「というと?」


「戦争だよ。その世界、かれこれ二つの宗教が反発しあって6000年は戦争してる」


 カズヤは目を一層輝かせ、子供のような無邪気な笑みを浮かべた。


「武器は?」


「剣や弓と……、あまり馴染みがないと思うけど、魔法だね」


 カズヤにとって最高の答え、初めて里親が見つかった報告以上に嬉しい回答が返ってきた。


(やった……もう一度生きられるんだ! 次こそは、俺は幸せに生きたい……! 楽しみ方もわかったんだ!)


 動悸を感じる程の凄まじい胸の高鳴りに背中を押されるように、カズヤは満面の笑みで答えた。


「転生させてくれ。今度こそ、俺は自分の人生を生きてみたい」


「よっしゃ! 厄介払い!」


 カズヤの答えに神は机を叩いてガッツポーズをした。


「仕事残ってるし早くしよう!」


 神は早速カズヤに近づいて肩に手を当て、黄金の光を纏い始めた。


「ちなみに時間軸は現代がいいの? それとも過去?」


「なにそれ、過去行ったら現代ぐちゃぐちゃになるくない?」


「そこは大丈夫、現代までの事象は約束されてるから。」


「というと?」


「例えば現代で王になっている人物を過去で殺しても、その王に匹敵する人物が台頭して、全く同じ行動をして穴を埋めるんだ。そして過去でどれだけ偉業を残そうと、子を産もうと、その偉業も子も必ず世の中に影響は与えない。しかし、現代の時間軸に合流すると、偉業は世に放たれ、子や孫も影響を与えれるようになる。ちなみに、何か偉業を果たす家系で子を産んだなら、その子供は歴史通り偉業は成し遂げれるが、才能や強さは遺伝せず、歴史通りの強さのまま。ここで面白いのがな! 一度介入された偉業や才能や強さは、何世代跨いででも必ず現代へ合流するんだ。つまり世界を変える偉業なら、現代で必ず発見され、500年前で500人子を産んだなら、現代に合流できる末裔500人に才能と強さがバトン渡しされる。しかしその才能と力を持つ末裔は、現代に合流してからやっと世に影響を与えれるようになるんだ。どう? 面白いだろ」


「いや全然。魅力がない。現代で頼む」


「そうか……。じゃあいくぞ!」


「あ、ちょっとまち」


 カズヤは肩に置かれた手を持ち上げ、神の胸元に戻した。


「ん、なに」


「魂ってデカければデカいほど、強いんだよな」


「うん」


「それさ、神の力か何かで弱くできない?」


思いもよらぬ提案に神は困惑した。


「その提案、君で5人目だけどなんか流行ってるの?」


「あ、そなん。いやー、強いと接戦できる相手って限られるじゃん。それ嫌なんだよね。」


「あー、おっくんみたいなバトジャンか。いいよ。どれぐらい弱くすんの」


「どれぐらいか……」


 悩むカズヤを無視して神は目に金色の光を纏い、カズヤの肉体を吟味した。


「今の君があっちの世界いったら、多分最初から全生命の6割より強いかな。ワシの力で、かっくんの生前全盛期ぐらいまでに抑えれるけど、どうする? 多分それでも2割ぐらいより強いけど」


「弱くできるならそれで」


「おけ、ちなみに種族は人間でいいの?」


「人間で頼む」


「おけ、じゃあ気を取り直して」


 神は今一度カズヤの肩に手を置くと、黄金の光を纏い始めた。


「よし! 行くぞ! の前に、かっくんに一つ、伝えておく事がある! かっくんの魂の状態的に、後もう一回までなら死んでも輪廻転生ができる! それ以上は魂が崩壊して消滅する! 後たった2回の人生、異界で楽しんでこい!」


「おっけー! 了解! じゃあなおっくんと神!」


 けたたましい轟音と脳まで貫くような閃光に包まれ、カズヤは死後の世界から姿を消した。




――轟音と閃光が止み、目を開けると、カズヤは森林に立っていた。

 その森林はどれも図鑑ですら見た事もない植物だけで形成されていた、つまりカズヤの知っている世界の森ではなかった。


「すげえ……ガチの異界だ」


 カズヤは自分の体を触り、生きている事を実感した。


(――幸運だ……。次こそは、幸せに生きてやる。絶対に、奪われた人生を取り戻すんだ……! ――よし、まずは……)


 カズヤはとりあえず革ジャンとジーパンを脱ぎ、パンイチになって辺りを歩き始めた。


(よし、まずは蔦を探さなきゃだな。毒の有無はどう見分けようかな。いや、見分ける必要ないのか)


 森を探索する事数分、大木に絡みついた大きな蔦を発見した。

 カズヤは急いで蔦を手に取り噛みちぎると、120cmの長さに噛んで整形した。

 蔦で上手く20cmほどの輪を作ると、近くの枝に巻きつけた。


「よし! 首吊るか!」

作品備考


カズヤは後もう一回だけなら輪廻転生できるってなってましたよね。

これ輪廻転生0回の新品の魂なら何回できるかというと、13回できるんですね。

実際は古い魂と混ぜられたり、新品の魂と混ぜられたりで、15回生まれ変われる魂もいれば4回で消滅する魂もあります。

ちなみになぜ回数制限があるのかというと、死は魂に甚大なるダメージを与えてしまうんですよ。

その傷は治す事はできないので、限界までいくと消滅するんですよね。

直す方法があるとすれば、新品と混ぜるぐらいですかね。


作品備考2


過去に戻ってもし他人の偉業を横取りするとどうなるか。

その転生者が歴史に残り、本来の人間は闇に消えます。

全てではなく一部を横取りにしたら、本来の人間か、はたまたま別の人間が残りの偉業を埋めます。


作品備考3

おっくんの名前は生前の16歳の頃に自分で名付けてます。


作品備考4


肉体と魂二つの自我の融合による崩壊は、なぜ周りにも影響が及ぶのか。

制御を失った魂は、神通力が暴発します。

その爆発が他の魂に大ダメージを与えます。


作品備考5

カズヤの仮説は 4割正解 6割外れ


作品備考6

おっくんと神は、お互いがお互いの喋り方に影響されてて、定期的に口調が変わる。


作品備考7

魂は肉体から才能を得て大きくなり、肉体は魂の大小で体の強さが変わる。

肉体と魂は相互作用しているんです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
とてもよく考えられた輪廻転生のシステムですが、もうちょっとさくさく進んで欲しいなと思いました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ