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リゲイン・ロスト・タレント ―才能を奪われた天才たちの異世界再生バトル譚―  作者: 綜目月 梶才
転生の意味

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1日に2度転生する男

「の前に、一旦戻ろうか」


 鏖殺確約丸が先程のようにカズヤに手を光らせながら翳し、今度は体の方は放り投げた。


「…‥なんか、雑い」


「どうだった、魂」


「めっちゃデカかった、俺の3倍ぐらい」


「うん、見えてるね」


鏖殺確約丸は笑顔で頷き、顎を撫でた。


「じゃあ、わかったから説明するね」


 鏖殺確約丸はその場に座り込み、目の前の地面を2度叩いた。

カズヤは指示通りに目の前に座り込んだ。


「答えは単純に、魂が前に出てないからだね。魂と魂の間に、肉体が2つあるから解析に時間かかってるんだと思うよ。だから、時間経てば使えるんじゃない? ちなみにどんな技使おうとしたの?」


「エネルギーコントロールっていう、自分の残存エネルギーを操る技」


「ふむ……」


鏖殺確約丸は突然、手元にけん玉を顕現させた。

ただし、棒と穴が綿棒ほどしかないけん玉を。

 生み出したけん玉をカズヤの目の前に見えるように差し出し、飛行機という技をやってみせた。


「けん玉やったことは?」


「ない」


 鏖殺確約丸はけん玉をカズヤに手渡し、やれという意味を込めて顎で刺した。

 指示通りに見様見真似でやってみると、何と一発で成功してしまった。


「うん、いけるね」


「これ何の意味があんの」


けん玉を鏖殺確約丸に返しながらカズヤが聞く。


「変幻自在のレベル確認」


 鏖殺確約丸は受け取ったけん玉を消滅させながら応えた。


「君の変幻自在の魂は、難易度に応じて変幻に時間がかかるっぽいね。聞いた感じ、エネルギーコントロールは人間の技じゃない。だから変幻に凄い時間かかってるんだと思うよ」


「……ちなみに変幻自在が勘違いで、実は人間以外の技が無理って線は?」


「そこは大丈夫、確定だよ。幻体術って人間の技じゃないから、それを使える時点で生物の壁はないよ。人間の体でも使えるでしょ?」


カズヤの言葉に食い気味に否定する。

 自分の能力でもないのに、間違いが許せないかのような反応を示した。

その反応にカズヤは少し戸惑い引きつつも、幻体術が使えるかの確認を行なった。

どうやらちゃんと使えるようだ。

 そんなカズヤの戸惑いも知らずに、鏖殺確約丸は自慢するかのように説明を続けた。


「まとめると、肉体を持っている時点で変幻が遅くなる、そして人外の技だとさらに遅くなる。この二点のせいで、使えなかったんだと思うよ。ちなみにアドバイスだけど、その技、君は使わない方がいい。」


鏖殺確約丸の言葉にカズヤが「なんで」と聞く。

 カズヤの問いに鏖殺確約丸は立ち上がり、手のひらに金色の丸いオーブを浮かばせて説明を始めた。


「これが、君が1時間で生み出せるエネルギーね。その技を使うなら、これの6倍は欲しい。君のエネルギー生産量だと、もし使い切った時、動けないまま8時間は経過するよ。それに心臓や肺を動かすエネルギーはどうするのって話。どうしても使いたいなら、5秒ってとこだね。それに腕とか足とか、大きい部位に送るんじゃなくて、指先だけみたいな感じで使うべき」


 説明が終わると手のひらのオーブを消して、再度座り込んだ。

 座り込んだ鏖殺確約丸にカズヤは感謝の意を込めて手のひらを差し向け、鏖殺確約丸も同じく手のひらを差し向け返した。


説明を聞き終わったカズヤはまず悩んだ。

 現在の自分の手札では、ミカーヤの世界を生きていけない事を悟った。

 今自分の使える技は幻体術のみ、頼みの綱となったエネルギーコントロールも使えない。

となると復活したところで、また死ぬのみ。

 打開策を練るためカズヤは悩んだ末、鏖殺確約丸に助けを求めた。


「なぁおっくん。あの世界のスキルって、自分が何持ってるのか、確認する方法ある?」


「ない」


カズヤは悩んだ、縋った先すら道がなかった事に。

悩み続けていると一つの案が生まれた。


「なあ、俺の強さ戻すとかって」


「無理。つけるのと外すのじゃ、難易度が違いすぎる」


カズヤは悩んだ、縋った先すら道がなかった事に。

 カズヤが悩みに悩んでいると、みかねた鏖殺確約丸が肩を叩き助け舟を出した。


「スキルっていうのは、厳密には才能を引き出す技じゃない。才能により可能にされた技術って事だよ。多分君は前者で勘違いしてるね。一つの才能からは、一つだけのスキルってわけじゃない。一つの才能から、技術の数だけスキルは生まれる。それを意識して考えてみて、そしたら択は増えるよ」


 鏖殺確約丸のアドバイスを加味して、カズヤは再び悩み始めた、エネルギーコントロールの使い道について、5秒と部位この二つを意識しながら。

すると一つ面白い技を思いついた。

 そしてカズヤは確信した、この技ならあの2人にも並べると。


 自信の満ちた表情で立ち上がったカズヤに、鏖殺確約丸は笑顔を向た。

 カズヤを眺めながら背伸びをすると、鏖殺確約丸は金色に光る指で丸を作り、目に当てて何かを見ながら徐に立ち上がった。


「なんか思いついたみたいだね」


「おう、お陰様で。ありがとな」


カズヤは元気よく親指を立て、笑顔で返した。


「よし、じゃあ、転生する?」


「おう」


「オーケー。でも、その前に」


 転生の意思を示したカズヤに、鏖殺確約丸は先程と同じように金色に光らせた指で丸を作り、今度はカズヤの目に当てた。


「君の死体見てみたら、この子いたんだけど友達?」


 指で作った輪っかの先では、ミカーヤがカズヤの下半身を抱きしめ、その横にウンコが寄りかかっていた。


「うん、仲間」


「じゃあ、急いだ方がいいよ。この森の主が近づいてる」


「……マジか」

(そうだった忘れてた。クソッ、こっちにいると、前世があやふやになる……。せっかくできた仲間なんだ……死なせたくない……!)


 カズヤは先程の自分の思いついた技を思い返して、一縷の不安がよぎった。


「おっくん、俺の才能を全部教えてくれ」


 この先戦うであろうガンラガンラを相手に、勝利を確実にするため、カズヤは鏖殺確約丸に頼み込んだ。


「えー、いいの? 自分で発掘するのが面白いのに」


 鏖殺確約丸は口惜しそうな表情で、自分の頬に手を当てた。

 そして渋々と目を金色に光らせ、カズヤの魂を凝視した。


「君の才能は変幻自在の魂と……目、だね。――なんだこれ、凄いな……。君何者? これは俺の口では説明しようがないな。とりあえず目が凄くいい、人の域を超えて」


 鏖殺確約丸は変幻自在の魂を初めて見た時と同じような反応をした。

 その姿にカズヤは己の才能に畏怖に近い感情と期待を抱いた。


「……そうか、目か。よし、ありがとう。飛ばしてくれ」


 カズヤは自分の目でできる事を軽く考え、鏖殺確約丸に近づいた。

 鏖殺確約丸は応えるように肩に手を置き、全身から金色の光を発して、カズヤをレンベルドへと飛ばした。


2度目の転生が始まった。

しかし今度は1度目とは違い、失敗は許されない。

今度の死はそのまま魂の消滅を意味する。

 期待と覚悟を抱き、カズヤは今一度レンベルドへと降り立った。

鏖殺確約丸の魂がめちゃくちゃデカいのは、半分人間じゃないからです。

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