おまけ 説明や補足など
♛魔導具のご説明 ※順不同
【魔導車】
火山や魔犬から採れる魔導石などを組み合わせたクリーンエネルギーで走る車。
行き先はボタンひとつでセッティングできるハイテク仕様なものも。
運転手は不要だけど、万が一のためインパネに手動ブレーキボタンや緊急通報ボタンなど付いてる、安易な近未来イメージだがゾディアークには一台もない。
【呪いの魔導具】
「禁忌の~、封印されし~、悪魔の~」など頭に付く言葉は違えど大体何か良くないことがあって使えないものの総称。
使用者及び対象者、周囲など場合によって被害の大きさや効果が変わる。
触らぬ神に祟りなし。
【鳥女の鈴】
エリースが肌身離さず所持している鈴の形の精神干渉系の魔導具。
妖精の棲む地のくさび石を使用することで所有者をより魅力的に魅せる力があり、特定した人物を魅了し、意のままに操ることが可能とされている。
対象者は思考力を奪われていき最終的には廃人になるため、所有しているだけでもダメなやつ。
小さな鈴の形に研磨されているが、元々は大きな鐘ほどの大きさのくさび石の中に鳥女の魔導石と喉の鳴管など諸々(怨念込み)が埋め込まれている。
本来の大きなものを使用する際は、命じたい側が石に触れて念を込め布を巻いた棒などで軽く叩き鳴らして音を響かせるだけで良い。対象者が自身の見える範囲にいなければ効果はない。
作る過程で媒体となるくさび石を美しい者の体内に埋め込み嫉妬を集めないといけないとか、くさび石を飲み込んだ鳥女で作らねばならないとかいちいち怪奇伝承じみている(作らせないためにレオンが流した噂に尾ひれがついた)
現存しているのはエリースが持っていた鈴を含めて三個あると言われているが、実物として見られるのはゾディアーク王宮のギャラリーに過去展示されていたレプリカの振りしてた本物だけ(レプリカだと思われていたし、ケースに入れられていた)。
隙間から欠片が落ちてエリースが見つけてしまったことは果たして偶然なのか必然なのか。
【反射の魔導具】
鳥女の魅了を跳ね返すために作られた。
作成するための材料は保存されていたこれまでの失敗作(女子供の骨や鈴の残骸)と鳥女の瞳などではないかと思われる。
作成方法も材料も何もかもサーペント家の門外不出の秘術と言われており、一族の間では日常的に持つことが当たり前。
反射と呼ばれるだけあって鏡面仕上げになっていて、ポケットにも入れやすい四角い手のひらサイズ。
【囚人の首枷】
ムスカが心中時に使った魔導具。
悪魔によって魂を現世に永遠に結びつけておくと言われている(レオンが流した噂に尾ひれpartⅡ)。
悪魔を見た者がいないので伝聞の多い眉唾物扱いだが、おそらく囚人の刑罰用の制約の魔導具をアレンジしたのではないかと言われているが真偽不明。
武器として使われ、無念を感じた人の血を吸っていることは紛れもない事実なので、本物の呪いが後天的に付与されていると考えた方がいい代物だろうというのが現在の見解。
実際は片想いを拗らせた男が作り出した執着心と粘着力の塊のような鎌。
見た目は草刈り鎌程度の大きさであり、柄の部分に鎖状の石のようなものが付いている。
その鎖部分には蝸牛の魔物に溶かされた人物の骨、蝸牛の魔導石と器官などが使われている。
使用者は限定されているが、鎌としてであれば誰でも使用可能。後継者に選ばれし者が使用することで、切られた側の魂を「魂の牢獄」と呼ばれる異空間に幽閉する。
永久氷山と呼ばれる場所に封印された。
【妖精のハープ】
ハープと呼ばれているが、実際には竪琴に近い小さな楽器様の幻覚作用系魔導具。
悪戯好きの妖精から素手で千切った羽根で弦を作り、鱗粉と血と魔導石を共鳴箱に、彼らの棲息する地の樹齢千年越えの大木をボディに使ったとされている。
奏でても音色は聞こえない。代わりに妖精たちが飛び出して人に幻を見せて惑わす。その姿は本来の妖精とはかけ離れた小鬼のような醜い姿であるらしい。
作成するには妖精の大虐殺が必須であり、見目麗しい十二歳以下の純粋な少年十三人の命を道連れにし、彼らの首を妖精の血肉と――(レオンが流した噂に尾ひれpartⅢ)。
使用者は限定されており、サジテリアス家に生まれる白目のない輝く緑の瞳を持つ、背中に妖精の羽の名残のある女児のみ。
【変装の魔導具】
瞳の色を変更したり認識阻害する眼鏡タイプ、髪色を変えるカツラタイプなど色々ある中で、まだまだ実用段階にない体型を変える風船型の魔導具と、見た目を変えることのできる粘液タイプの魔導具をトーラスが試作し使用した。
なお余談だが、後日副作用で身体中にイボガエルのような出来物や、頭痛と吐き気が治まらず大変な目に遭っているがそれも嬉々として受け入れている。
【コンパス・護符・虫かご】
トーラスがリブラに渡した『鳥女』捕獲三点セット。
リブラは察せられる大人なのでスコルピオに気を使って言わなかったが、鳥女がついでなのではなく、花の方がついでだった。
* * * * *
♕補足事項やその後など
【ゾディアーク独立国をざっくり】
大陸内において国としての重要度はかなり低い。
平民の間での識字率も低く、スイツ国と比べて百年ほどの文化差があるものの、他国との交流や輸出入を細々としているので、何とか観光に力を入れたりと近代化している最中。
文化水準が低めなので、子供=働き手や家の道具という考え方が基本。そのため飲酒や喫煙、若い年齢での結婚や性行為などの規制は他国よりかなり緩め。
政治は王家中心の議会制。
王権の占める割合がかなり大きく、議会としてそれはどうなのかという疑問は残るものの、現在の王と側近らの努力で何とかなっている。
過去他国に何度も侵略されているが、その度王家の「ふしぎなちから」で何とかしてきた歴史がある。
そのせいでゾディアーク王家に逆らってはいけない、魔物の軍勢に襲われる、呪われるなど他国では様々な伝承が生まれた。
そのおかげでこれまで攻められてきたとも無事独立できたともいえる。
【血の契約の禁止事項ざっくり】
・王を背後から切ったり、敵国に売ったり、裏切らないでね、絶対。
・魔物との合の子はゾディアークから出ちゃダメ!
・呪物(魔導具)の作り方を知らない人に教えちゃダメ! 持って外に出るのもダメ!
・いつか魔物の能力を持った軍団を作りたいから、合の子がの血を増やすためにも後継者に据えてね。
(実際は一家にひとりしか能力は出ず、その人が死なないと能力は次代に引き継がれなかった)
・守らなかったら、一族全員この世から消えるよ。
【呪い解除の専門家・解呪師】
ショコラータ国の研究所に勤めていた魔導具研究家の元研究員ノワール。トーラスの友人。
現在は独立し、同じ研究所職員と結婚したらしい。
正式な解呪師ではなく、得意分野が呪物と呼ばれる魔導具の解析や、作成方法の予想と再構築などである。解呪はあくまでも魔導具オタクとして行き着いた先であり決してそれが本職ではない。
リブラに頼まれ、魂の牢獄(囚人の首枷)に囚われていた幾つかの魂を抜き出し解放したのはこの人。
余談として、ゾディアークの血の契約と四家の約束の無効と解除にも手を貸したが、魔物がどうこうなどの過去は全く知らないまま。
※当物語には存在をほのめかすだけで直接出ていませんが、シリーズリンク先の一作目にいます。
【トーラス・ゾディアーク】
現在は「ガナシュ・ホロロジウム」を名乗っている。
ゾディアーク王家第一王子。三十八歳。独身。
白い髪に空色の瞳というよりも銀の髪に青い瞳。
子供を作らないという誓約を勝手に立てており、普段から髪と瞳の色変えの魔導具を使用している。
ホロロジウム家の遠縁であり、養子に入ったという形を取っている。
魔導具狂いと呼ばれるオタクというかマニアのひとりであり、魔導具のことしか興味がなく、魔導具に関してのみ饒舌になり突っ走る。
人見知りで寡黙だが家族思いであり、自身の懐に入れた人に対しては性格ががらりと変わる。
筋肉を鍛えることは趣味のひとつ。王家の教育の賜物で体術もそこそこ嗜む。
リブラの――ひいてはゾディアークの秘密には全く気付いていない(気付いてしまえば大興奮で大騒動になることは間違いない)。
ショコラータ国の研究所にいたが、現在は独立(シフォンに名前を貸している状態)。
【サジテリアス家の呪い】
悪戯好きな妖精により、ピクシス以降子供は女しか生まれない。女系であり、妖精に魅入られるせいで男性は養子であろうと婿入りであろうと短命。
長い期間サジテリアス家に取り憑き(各ライラの意思次第とはいえ)好き放題悪戯出来たたためか、妖精の恨み辛みは最初の頃から見れば殆ど浄化されている。
けれども結局のところ妖精は魔物の一種であり、人の気持ちなど彼らには知ったことではなく、自分たちが楽しいことと美しい少年などにしか興味はないため分かり合えることはない。
当の妖精たちは現在の在り方に不満はないが満足もしていない。しばらく後にハープを解呪後解体されることも反発せず受け入れた。
かつて妖精だったものもサジテリアスの血の呪いも同時に消えた。
【ハイドラ家のその後】
ムスカは被害者であると分かったものの、これまでの状況が状況だったため、残された当主を始め一族は自分たちの処刑と家の断絶を望んだ。
血の契約上それは許されず、長く社交から遠ざかった。
レオニーは王家としてハイドラに非はないとし、後に彼らの養子を要職に就けることで互いに思うところはないのだと内外に示すことで手打ちとなる。
呪いについては、元々が本能だけで生きていて群れることのない蝸牛様の魔物だったため、他家のように意思をもって取り憑く呪いというよりは魔導石のせいでうっかり混じってしまった状態。
後継者となる赤子が産まれる際には透明な粘液に包まれていて、成長すると失うが伸び縮みする触覚を持つ者であることだった。
だがムスカに触覚はなく、透明な粘液に包まれて産まれてきていたものの、ハイドラはすっかりその辺の歴史が埋もれてしまっていたため全く気付かれなかった。
彼が鈴の影響を大いに受けつつ囚人の首枷を正しく使用できたのはそういう理由による。
【サーペント家の呪い】
呪いは外れてはいないが、反射の魔導具のおかげで鳥女との繋がりが長く消えていた影響で薄まっている上、使役する能力も失われている可能性がある。
サーペントもハイドラと同じく初代レオンの書き直した過去の歴史が消えてしまった部分もあるが、サーペント自体が家の歴史を曲げているので、王家や他家と擦り合わせれば齟齬がありまくるはず。
但し、国を護る役割などは魔物の交配などを隠して説明する上で使い勝手が良いと思ったリブラが、各家の歴史書などにそれを加えるといった小細工をしている。
余談として、スコルピオを襲いリブラが捕獲した鳥女は、初代ドラクの生まれるきっかけとなった個体である(そのずいぶん後に赤子ドラクを拐って乳を飲ませたのもこの個体)。
当の鳥女はスコルピオを襲ったつもりはなく、偶然遭遇した餌の中に我が子がいると認識し、他者から守るため側に行ったのだが、それが運の尽きだった。
【ホロロジウム家の色々】
これまでの数百年間はライラの惜しみない協力により、大人なのに子供に見えるとか、若いのに年寄りに見えるとか周囲に信じ込ませてきた。
仮面を被ることもある。そのためホロロジウム当主は仮面卿とも呼ばれる。
ハープの効果は一生続くが、当初から数世代まではそれを知らなかったので、かなり慌ただしくライラとハープに頼っていた(妖精が面白がって、相手が脳内で勝手にリブラの成長する幻を見ているということを知らせなかった)。
ここ数世代間はそれに加えて遠縁から養子を迎え(自身の実子のこともある)、養子が成長して青年になれば自身の父親に仕立て上げるというやり方をしている。
スコルピオたちは王宮で働いているリブラの父親と会っているが、厳密には彼の養子である。
リブラは結婚は当初の一回きりで、その後はしていない。ただ、ちょいちょい実子がいるということはまあそういうこと。
魔導具狂いのトーラスに助け船を出し養子に迎えたのは、姿を変える魔導具を手に入れたいという下心から。
結局のところ、そういった魔導具は使わなくても済みそう。
【その他答え合わせ的な】
ヴァルゴは自分の苦痛の記憶を防御反応から書き換えているが、本来は命を落としそうなほどエリースとその周囲から色々やられている。
ヴァルゴは教育を受けてはいたが、エリースの邪魔によりしっかりとした王族教育は受けていない。リブラが教師代わりに色々教えていた時期もある。
自身が正しい後継者だったと知るのは、妊娠中。夏休みの課題をまとめてやる子供のように王が知る歴史だの何だのあれこれを詰めこんでいた時。
エリースも王となるための歴史だとか血の契約についてだとか大事なことは教えられておらず知らないまま。
エリースは鈴の力で両親に言うことを聞かせていたが、鈴の大きさが小さかったこともあり、最初の頃は王位などについては両親も魅了に抗っていた。重ね掛けのせいでぼろぼろになった。
ヴァルゴの歴代ろくでもない婚約は、元々はエリースの元に来たもの。
裏でリブラがトーラスや家人を上手く使って一生懸命調べたり潰せないかと動いていた。
ちなみにエリースの死後、ヴァルゴの婚約を潰していたのはスコルピオ。
ヴァルゴとスコルピオの結婚に関して、リブラに頼まれたライラが元彼の幸せためにこっそりハープをスコルピオの両親に駆使してあげて無事成婚となった。
反射の魔導具はリブラが上手く取り上げている。
ライラの呪いのひとつに少年愛があるが、今世ライラに対しての呪いが弱まっていたため、少年たちと一晩の恋は楽しむものの、本当に愛した人は歳上の渋好みという相反するものを抱えることになる。
夫となった人は分家出身ではあるが当然呪いのことは全く知らない(リブラはライラが呪いのことを話したんだろうなと思っているが、婿入りした男性は短命の呪いがあるので見逃してあげた)。
彼は元々病気で余命宣告されており、ライラと短い間だけでも一緒にいたいと結婚するに至った。
ピクシスはハープを使って少年たちを襲ったことになっていますが、実際はそれを見せて触らせてあげるなどと餌に釣っていただけで使用はしていません。ハープに入っている妖精(思念)たちは中で狂喜乱舞していた。
【マレフィック】
ホロスコープ的には凶星。
マレフィックの天秤→災厄、不運に対し、自身の家族とも言える仲間たちのために根気よくバランスを取り続けた天秤の意。
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補足には本来物語中に入れる予定で削った部分も一部含まれています。
お付き合いくださり、ありがとうございました。




