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37.盗賊、戦力強化する②

 プシュパカから異星由来アノマリー装備を受け取った俺は、この際だからちゃんと自分の装備を整えることにした。

 自宅の展示部屋にやってきた俺は、【錬金術師(アルケミスト)驚異の部屋(ヴンダーカンマー)】の中身の整理も兼ねて餞別を始めた。


「え~っと、強化服の【アヴァロン・レイヤー】を着用して、実際はその上からズボンとシャツでも着て、更にその上から【常闇の外套】を羽織って…A.R.K.兵から奪った【マギ・ガントレット】は着けるか?…いや、アグニのシールドがあるから不要か。武器は【プラズマカッター】…う~ん、俺の戦闘スタイルだと、武器は幾つか持ちたいな。」


「…あ、アリババ先輩何やってるんスか?」


 開いていた入口の前を一度通り過ぎた湯取が、わざわざ戻って来て話しかけてきた。

 その手には湯気をたてるコーヒーの入ったカップとソーサー。

 …さてはお前、暇だな?


「アノマリーが大量になってきたから、整理も兼ねて装備の見直ししてるんだよ。」


「…なんか楽しそうっスね。手伝いますよ。」


 楽しそうって…あ、湯取の視線が俺の服装に注がれている。

 今の格好はSF風全身スーツ【アヴァロン・レイヤー】の上に、RPG、はたまた大正ロマンのような装いの【常闇の外套】を羽織っている。

 …うん、中二病のコスプレファッションショーだわコレ。


 …まぁいいや、この際だから割り切っていこう。


「そのスーツ、近未来ぽくって超カッコイイっスね。宇宙人と戦うマンガみたいっス。」


「…な!実際、強化服だから似たようなモンなんだけどな。…で、知っての通り俺は戦闘用スキルを持っていないから、できるだけ多くのアノマリーを持ってそれを補いたいんだよな。」


「なるほど…ああ、そういえば先輩は異世界アノマリーと異星アノマリーの混合装備で行くんスね。」


 特に意識していたワケでは無いが、そういえば湯取の装備は現状、異世界産アノマリーのみだ。

 アグニやプシュパカは自身が異星のアノマリーだし、そう考えると混合なのは俺だけだな。

 まぁ別にいいんだ、使えるものは何でも使う。それが俺のジャスティスだ!


「そうなると武器っスね。状況に応じて武器を持ち替えるスタイル、なんか先輩ぽくって良いと思うっス!


「そうだな。とりあえず一つは【プラズマカッター】…ナイフか片手剣みたいな感覚で使えるんで具合がいい感じなんだ。あとは…『双蛇の霊廟』で手に入れたアノマリーから選ぶか。」


 展示室に並べられたアノマリー、そして【錬金術師(アルケミスト)驚異の部屋(ヴンダーカンマー)】に入れてあるアノマリーを取り出し、無造作に部屋に並べてみる。


「大型の武器じゃない方が良いんスか?」


「そうだな、強化服のおかげで重量的な問題は解決したけれど、俺の職業は盗賊だからな。ナイフやダガー、ショートソードなんかが職業適性の武器だ。」


「…その職業適性って何スか?」


「ああ、職業によって十全に使える武器ってのがあってな。適正以外の武器を使うと取り扱いや攻撃スキルの効果にマイナス補正が入るんだ。スキルの恩恵を受ける代償みたいなもんだと言われている。」


「…なんか、面倒くさいんスね。アリババ先輩は攻撃スキル使えないのに、代償だけ払わなくちゃいけないなんて、なんか不公平っス…!」


 …コイツ、ナチュラルに良いヤツなんだよな…モテるチャラ男の秘訣はそういう所か?


 …ん?…代償?


「…あ、そうか。俺、そもそも攻撃スキル持ってないんだからマイナス補正とか関係無いわ。取り扱いの件だって、非力な盗賊が大型の武器を扱うのは難しいってカンジの話だし。」


「あ~、強化服着てれば関係無い話っスね、ソレ。…え、じゃあ職業適性とか関係無くないっスか?」


 …湯取の言う通り、関係無いわ。

 あっちの世界の常識に囚われていたもんだから、今まで気が付かなかった。

 

「そうか…攻撃スキルが無いってのは、俺にとって結構なコンプレックスだったんだが…逆に職業に囚われずに装備を選べるってメリットになるなんてな。…なんだか不思議な感じだ。」


 そうなってくると、選択肢は大幅に変わってくる。

 大型の武器は不慣れではあるが、使えるとなれば練習してでも慣れる価値がある。

 …やっべ、なんかオラ、ワクワクしてきたぞ!


 さて、『双蛇の霊廟』の報酬部屋で手に入れた武器・防具は約40点。

 その内、武器は19点。以下の通りだ。


 【輝水晶鋼のマクアフティル】ランク:C

 【漆黒のスコーピオン・テイル】ランク:B

 【呪毒のタバルジン】ランク:B

 【黒翳金のダーク】ランク:B

 【虚鉱のジャンビーヤ】ランク:A

 【紅鋼のバトル・アックス】ランク:B

 【幽鉄のグレイブ】ランク:B

 【重魂鉛のバスタードソード】ランク:C

 【妖刀・危丸】ランク:A

 【秘儀のテポストピリー】ランク:B


 【紋章印のボロック・ナイフ】ランク:C

 【食道楽のペティーナイフ】ランク:B

 【隕鉄のランス】ランク:A

 【異形のポールアックス】ランク:C

 【魔銀のレイピア】ランク:C

 【魔銀のマン・ゴーシュ】ランク:C

 【白銀の魔弓】ランク:C

 【オリハルコン・スコップ】ランク:A

 【崩界鋼のクレイモア】ランク:B


 …と、こんな感じのラインナップだ。

 なんかあんまり馴染みの無い武器も多々あるんだが、どれもCランク以上の逸品ばかり。

 職業適性の縛りが無くなったとはいえ、メイン武器として使うのは慣れたナイフか短剣がいいな。

 …そうすると…コレなんてどうだろう?


虚鉱(ホロウナイト)のジャンビーヤ】ランク:A

 存在が非常に不安定な鉱石、「虚鉱(ホロウナイト)」で作られた、反りのある両刃の短剣。

 虚鉱(ホロウナイト)は消失と出現を繰り返す魔鉱石で、加工難度が非常に高い。

 この鉱石で作られた武器は元の性質を引き継いでおり、所持者の意志で自在に消失、出現する。


 …いいな、こういうトリッキーな武器は俺向きだろう。

 あとは…遠距離攻撃が欲しいなぁ。

 一応、プシュパカ謹製の【シャンカラの瞳】はまた作ってもらって持ってるけど、相変わらず一発限定だし、何か普段使いできる遠距離武器が欲しい。


 …お、コレなんてどうだ?


【隕鉄のランス】ランク:A

 流星「ゲオギルス」から作られた騎槍。

 自らが流星だった頃の記憶を有しており、実体を持った虚像を飛ばす魔法スキル【メテオランス】が使用可能。(このスキルは職業に関係無く使用可能。)


 うん、取り回しは難しそうだけど、遠距離から固定砲台みたいに運用するのには良いかもな。

 魔術師で無くても使えるスキルは有難い。


 あとは何点か特殊なスキルが付いた武器をピックアップして、【錬金術師(アルケミスト)驚異の部屋(ヴンダーカンマー)】に入れておこう。残りの武具は展示用ってコトで。


 …とりあえず、現状はこんな感じかな。


馬場(ばば) 有人(あると)】24歳

 職業:盗賊 レベル:99

 職業スキル:【スナッチ】【解錠】【直感】【侵入】【鑑定】【換金】

       【財宝検知】【盗賊の鼻】【罠感知】【危険察知】…

 E:偽装の眼鏡(ランク:C)

 E:アヴァロン・レイヤー(ランク:A)

 E:常闇の外套(ランク:B)

 E:プラズマカッター(ランク:A)

 E:虚鉱(ホロウナイト)のジャンビーヤ(ランク:A)

 E:錬金術師(アルケミスト)驚異の部屋(ヴンダーカンマー)(ランク:S)


 うむ、一気に装備が充実したな。

 これならまたダンジョンに潜らなきゃいけなくなっても、十分に戦える筈だ。

 





「…あとは【土偶戦士の甲冑】を着たら最強っスね!」


「着ねえよあんなクソダサ鎧。」

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