表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

君が居なきゃ、壊れてた

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

この子、性格悪いって思います?

私は思わないんですよ。死ぬ気で頑張って、善性に縋る子を、誰が糾弾出来ると言うのでしょう?

朝起きた時、物凄い気だるさを覚えた。指の一つを動かすのが億劫になる程、しんどい。けれども何でもない顔でテンカウントを行い、出社した。


――カシャンっ。

隣で物が落ちた音がした。其れは鼓膜を劈き、精神を掻き乱す。

あああああ!! 五月蝿ないなぁ!! なんで物が落ちるんだよ!! なんでこのタイミングで落ちるんだよ!!

私らしいからぬ暴言。私らしくない心情。こんなの私じゃない。黙って消されろ。そんな思いを胸に抱いたまま、そっと卓上にペンを置く。

隣の彼が拾おうとしていたけれども、それより先に。何より先に。緩慢にも私の目的は遂行された。これで良い。これで良いんだ。

「……有難う」

「気を付けてね。剃刀なら、危ないから」

ただ鏡文字のような言葉を掛けて笑う。そうすると、嵐が一時止んだ気がして、元の、皆が好きな私で居られた気がして、胸がすく。

そんなこんなで一日が終わった。気が荒れる度に何かしらの善行を施して、何でもない顔で笑う。真反対の言葉を掛けて、本性を相殺した。

そうして家に着く頃には心も体も大分弱り果てていて、玄関の扉が開くまでずっと蹲る。

玄関の扉が開いた時、思わず叫びそうになった。『何でもっと早く開かないんだよ!!』と言いそうになった。其れをぐっと堪えて、草臥れた笑顔を浮かべる。

「貴方、今日幸せだった?」

「其れよりどうした!?」

「良いから……良いから答えて……」

「……幸せだったよ」

そうね。そうね。そうね。貴方は男の人。一生かけて、私の苦しみなんか分からない。でも分からなくて良い。絶対分からなくて良い。

だから鞄の中から高カロリーなチョコバーを取り出して、彼の胸にぐっと押し付ける。

「幸せな君の明日が……もっともっと良くなるように。……間違っても、私のようにならないように……。これ、お守り……!! あげるっ。食べるの我慢してた、精神安定剤!!」

其れを皮切りに、私はぐったりと玄関に倒れ込んだ。もう指の一本も動かせない。気持ち悪いよりも怠い。腹痛より頭痛。そんな嵐が体を蝕んで内側から壊していく。

「はぁ……悪いね。……君の好きな私じゃなくて。圧倒的善性で、正論で、強い私じゃなくて……!! でも……一つだけ我儘聞いて欲しい。鞄……部屋まで持ってって……。此処の電気消しといて……。暫くここで、休むから!! 間違ってもベッドまで運んだりしないで!!」

言いたいことは全部言った。やって欲しい事も言った。その反動が来たらしい。私は重たいまぶたを閉ざして、眠りに着いた。

次に目が覚めると、硬い床の上に寝そべっていた。体の上に何かふわふわした物が被さっていた。這い上がって電気を付けると、彼が体育座りのまま、寄り添って眠っていた。

私が起きた事に気が付くと、髪を撫でる。

「……今日も良く頑張りました。こんな状態だって事は、きっと僕の好きな君でいたんだろう?」

「当たり前じゃん。なんで君と付き合ったと思ってんだよ」

私は善性が好きだ。理不尽が大嫌いだ。だから私が理不尽を言ったら引っぱたいて叱ってくれる人がいい。『巫山戯んな』って。そうして自分の錨になる様な君と付き合った。

君が居なきゃ、もうとっくに壊れてた。

人間誰しも苛立つ事はあります。

でも感情のままに、理不尽に振るったら、味方がいなくなります。

だからせめて言葉を放つなら、良い言葉であろうと気をつけてるんですよ。


内心と外面との差が凄まじいですが、彼女が我慢してる証拠です。

これで『性格悪い』なんて言ったら、この子は泣いてしまいます。

ヒステリックにならないだけ、マシじゃん!!

苦しくて思ってしまう事が、そんなに悪いことなの!!

と帰って来ると思います。


そんな彼女が、彼女が言った我儘。

『鞄を片付けて』『電気消して』

これを我儘としている時点で、あんまり頼りたくないと想像できます。


こういう子が好きなんですよ。

本能のままに我儘言わず、善性に縋って意地張る子が。


甘やかしたくなりません?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ