7.しおり
キンセンカの咲く停留所【継父】
バスの中は、すすり泣きや、ため息が漏れてる。
痛々しい、龍輝君を直視できなかった。
「でも、なんでお父さん、悪魔なの?」
女性が聞いた。
「お父さんは、僕の本当のお父さんじゃないから、いつだって、弟しか可愛がらなかった」
強い眼差しだった。
「この本は?、お父さんから」
女性は、シワシワの龍輝君の本を指差してきいた
「本当のお父さんのだから!だから、あの人はお父さんじゃない」
龍輝君は叫びながら、バスの外の白衣の男性を指差した。
「龍輝君、お父さんは、真実が、知りたくて、総合病院を、やめて、必死に、目撃者や証拠集め、加害者を突き止めたんだよ。頑張ったんだぞ 今は、小さな診療所で細々と働いてる」
大森さんが、言うけど、龍輝君は無反応だった。
「君、ちょっと、これを」
タブレットを、見てた男性が、龍輝君に、ネットニュースを見せた。
長谷川 龍輝君は、小さな身体で、この遊具で、振り落とされないよう必死でしがみつき、全身傷だらけになり、更に川に上級生から、本を投げられ、弱った身体で川に入って亡くなりました。
上級生に対して、損害賠償支払いの判決が下されました。
遊具を、設置した、市には損害賠償は、棄却されましたが、遊具の撤去が決まりました。
お父様が、涙ながらに語りました。
「小学生でも、高学年では、体格が違います、束になって、低学年をいじめたこと、
更に、助けず去ったこと、彼らは、意思をもって息子を殺した。龍輝を返してください。」泣き崩れた両親の姿。
「……うわぁーん……うわぁーん…」
龍輝君が大声で、泣く、楓ちゃんが、よしよしと頭を撫でた。
もう、子どもが、泣くのは、辛いよ、なんでこんなにも、酷いことがあるの。
「さっ、いくんだ 絶対にさわったらだめだよ」
大森さんが言う。
龍輝君が、涙を拭きながら、頷いた。
「待って、これを」
女性が、本の間からしおりをだした
それを、受け取ると、龍輝君は驚いた
そのしおりは、龍輝君の絵本と同じ絵が書いてた」
バスの降りて、お父さんの前に走ってく、勢いよすぎて、つまづき、危なくお父さんに。ぶつかりそうになる。
「おっと、危ね~な」
大森さんが、言う。
龍輝君に、お父さんは、気がつかない。
風がすこし吹いて、お父さんの白衣が揺れる
龍輝君は、しおりを、白衣のポケットに忍ばせて戻ってきた。
「大丈夫か? 」
大森さんが聞くと
「お父さん、ありがとうって言ってきた。白髪になってた…お母さんをお願しますって言えたよ」
龍輝君は、笑顔になった。
お父さんの後ろ河川敷の土手に、キンセンカが一面に咲いてた。
バスは、また走り出す、きた道とは、違い、街の中に入ってく、繁華街に、向かう。
外の景色が、ネオンが光り、夜になってきた。