5.絵本
キンセンカの咲く停留所【河川敷前】
身体がズキズキ痛む。
頭がクラクラする。
倒れた真くんは、気を失ってた。
居間で、父親が、金をせびって、拒否されたおばあちゃんを、殴ったり、蹴ったり、したことも気がつかず。
目が覚めて、起きたら、居間に、血だらけのおばあちゃんが、顔も、腕も、血だらけで!一目で死んでると思った。
怖くなって逃げた、けど、誰が通報したのか、警察が、団地出たらいて、すぐ捕まった。頭が痛くなって、意識がもうろうとして、真くんは息を引き取った。
「おばあちゃんは、痛い思いをしないで欲しかった。殴られたり、蹴られたら、身体も心も、痛いんだよ。本当に痛いんだ。」
真くんは、泣いた。
真くんの話しに、ヘッドフォンの学生も、
スマホの女も、泣いてた。
大森さんは、
「よく話してくれた。どうして、死ななくていい奴が死ぬんだ」
そう言って泣いてた。
「おばあちゃん、僕の唯一の家族だったのにな、明日おばあちゃんの誕生日だったんだ、新聞配達で、買ったスカーフ。渡せて良かった。
明日も、明後日も、僕が大人になって、おばあちゃんを、支えたかった。貧乏だけど、おばあちゃん…の…こと…嫌いじゃ…なかった……」
項垂れて泣く真くんを、バスの乗客のおばあちゃんが、優しく背中をさすりながら、言った
「おばあちゃんも真くんのこと、大好きだったよ…こんなに、いい子なんだから ………綺麗な花咲かせたね。」
真くんのおばあちゃんが、水をやってた、花壇には、キンセンカが咲いて風に揺れてた。
バスはまた、走り出す。
バン!! 女性の読んでた本が落ちた
それを、小学生が、拾って手渡した。
「ぼくは、付属小学校だね?」
と、女性がきくと
コクンと頷き、小学生は座った。
子どもなのに、落ち着いていて、色が白くて、ずっと、半ズボンの裾をギュッーと握ってた。
「頭いいね~金持ちなんだね~」
女子高生が言った。
「お父様はお医者さん?政治家?弁護士?」
女性が聞くと、小学生は不機嫌な顔になった。
そういえば、楓ちゃんの、絵をぐしゃぐしゃにしてた、この子は、子どもなのに、覇気がなかった。
バスが、すごく揺れる、道が悪いのか、そもそも、これは道なのか?
でこぼこ、砂利道で、所々、穴があるのか、バスは、ガックンと揺れた。
「バス揺れて、酔いそう」
女性が言った。
左右に大きく揺れて、しばらく走ると、穏やかな運転になった。
午前中なのか、お昼なのか、太陽は、ずっと同じ場所にいた。
『二口川 河川敷前…』バスのアナウンスが流れた。
河川敷には、白衣きた男の人がいた。
「さわるなよ、絶対に」
大森さんが、小学生に言った。
小学生が席を立った勢いで、鞄が、勢いおいよく落ち、ノートや、テキストや、筆記用具が、散乱した。
「どうなってもいいんだ!!!」
小学生は、吐き捨てるように言いながら、散乱した筆記用具を拾ってランドセルに入れてる
まるで、水に浸けたように、ブヨブヨふやけてシワシワの落ちた本を拾い、女性が、小学生に手渡した。
長谷川 龍輝 小学生の教科書などに名前が書いてあった。
不機嫌そうに、その本を受け取ると龍輝君は、大森さんをみた。
「お父さんだろ、生きてる、さわるな」
大森さんが言う。
「お父さんなんかじゃない。悪魔だ!!!」
龍輝君は叫ぶ
川から少し離れたところに、遊具がある公園があり
緩やかな流れの川、河川敷には、グランドか
あって橋の下では、バーベキューなど、楽しめそうな、穏やかな場所だった。