1.絆創膏
キンセンカの咲く停留所【幼稚園前】
バスが大きく揺れた、幼稚園児の持ってた水筒か、カラン コロコロと転がって
イライラしてる、男性の足下に転がってぶつかった。
誰もが、小さい女の子が怒鳴られると思って息を飲んだ………
男性は、水筒を掴んで、女の子に近づく
本読んでた女性が、
「相手は子どもよ」
と、イライラした男性に言った。
男は何も言わず、小さい女の子のそばにきて、しゃがみこんだ。
「…ご……め…ん…なさい…」
女の子が、俯いて男性に謝った。
「水筒、空じゃないか…全部飲んだのか」
男は、女の子に、水筒を渡しながら言った
「うん。」
女の子は、水筒を受け取りながら頷いた。
「ありがとう」
とお礼を言った。
「ちゃんと、お礼言えるし、1人なのに、お利口にできてる、どうして?暑かったか?
怖かったか?お母さんに会いたいか?」
男が、女の子に、聞いてくる、
「そんなに、怖い顔で聞いちゃだめよ」
とおばあちゃんが、女の子を、自分の隣に抱き寄せて座らせた。
「チッ!」
キャップの男性が舌打ちした。
「だけど、水筒、凄く熱かったんだぜ!外!外側が!火傷するくらい、そんなことありえるか?」
男が、大きい声で、話す
水筒には、「こまつばら かえで」と、ひらがなで名前が書いてあった。
それを見て、
「楓ちゃん?どうして?あつかったの?」
おばあちゃんが、聞いとき
バスが停まり、降車口が開いた
『なばな幼稚園前…』バスのアナウンスが流れ、バスが停まった。
「ここの幼稚園なの」
女の子は言って、バスを降りた
降りたバスから幼稚園を見上げ、すぐ戻って、バスに乗ってきた。
私は、窓の景色にゾッとした
この幼稚園って、廃墟なの?と思うくらい、遊具は、錆びてるし、建物の窓も壊れてし、朽ちてる。
「楓ちゃんどうしたの?」
おばあちゃんがきく
「もう、降りないのかい?」
男の人がきく
「あそこにに、ママがいる」
楓ちゃんは、そう言うと泣き出した
キャップ男が、チッと舌打ちする
他の乗客も、騒ぎだしてきた。
「ママが帰りを待ってるよ」
そう言ったのは、さっきまで本を、読んでた女だ。
「でも、ママにさわったら、かえで、星になれないから」
楓ちゃんの、言葉に、みんなが
「そうね生きてるし」
「そうだな…」
「生きてる人には触れない…」
と言い始めた。
「なら、ママの手にこれを、そっと置いてくるんだ」
そう言って、男は、ポケットから、財布をだすと、楓ちゃんの水筒と同じキャラクターの絵のついた絆創膏をだした。
「楓ちゃん、ママにいいたいことあるだろ?」
男に言われて楓ちゃんは頷く
「ママにさらわないで、手に置いてくるんだよ、おじさんのなら大丈夫だからね」
楓ちゃんは、うん。と頷きながら、ママの元にいく。
楓ちゃんは、ゆっくりまた、バスを降りた。
門のとこにしゃがみこんで泣いているママの前に。
目の前に楓ちゃんがいるのに、
ママは、楓ちゃんに、気がつかない。
しゃがみこみ、顔を伏せて、泣いてるママの姿は、すすり声は、痛々しいほど、悲しげだった。
しばらく、ママの前で立ってた、楓ちゃんは、白く細いママの指の間に、絆創膏を、挟み込み、走ってバスに戻ってきた。
「ママには、さわってないか?」
男の人がきく
「うん。 かえで、ママには、もうなかないで、わらって、って、いってきた」
楓ちゃんは、バスの窓から、ママをみてる。
ママは、手の絆創膏に、ビックリし、指で大事そうに撫でた。
そして、絆創膏のキャラクターをみて、少し微笑んだ。
「ママ、わらった!!わらったね」
楓ちゃんは、うれしそうに話す
ママの後ろ、門の前の花壇に、黄色の花がたくさん咲いてた。
「あんた。いい人なんだね」
おじいちゃんが言った
「あんたじゃなくて、俺は、大森 通だ」