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3話:あなたとの対面

殿下とシェードは幼馴染設定。

たぶん仲がいいと思う。


3話:あなたとの対面


シュードについていく。連れていかれるのは殿下がいる部屋。あの時は、すぐに是非と答えたが、よく考えれば、なぜ殿下が私を呼びつけたのでしょうか。

疑問が晴れることはなく、思い切って、


「用事とは何ですか?」

事前に何か聞くことはできるのだろうか?と聞いてみることにしてみた。

恐る恐る訊ねてみると、


「そんなに怖がらないで。大丈夫です。あなたが想像しているようなことは起こりません。-ただ、少しお話をしていただくだけです。」


そうにっこり答えるシュード。

私は彼が苦手だ。いつも明るい表情が崩れなく、朗らか故に、逆に何を考えているかわからない。

こう言った一見穏やかな人物なほど腹では何を考えている分からない。そう考えているから、私の彼に対する印象は気に食えない奴というものだ。


扉が開かれ、殿下との対面。

殿下を見た瞬間。光を反射する銀髪の美しさは、日が暮れてもなお変わることはない。そう思った。


「連れてきたか。」


そういう殿下は全く表情が動かない。シュードとは対照的だが、どちらも読めないという点では一緒だ。


「お初にお目にかかります。ラル・ロシアンテ・シュメメールでございます。殿下におかれましては、、「挨拶はいい。今はただの学園の生徒同士だろう。」」


王族の対する最大の敬意を示そうとすると途中で止められてた。はやく要件を済ませたいのだろう。


「寛大なご対応ありがとうございます。今回、どのような件で呼ばれたのでしょうか?」


「ああ、今回呼んだのは次の実践魔法試験のことについてだ。」


来週の魔法試験か。今回の試験は確か防衛魔法だ。それがどうしたのだろう。


「来週の試験は防衛魔法だということは、公女も把握しているだろう。しかし困ったことに、実際に防衛魔法を展開するためには、かなりの実施的な状況が必要であり、今回の試験には多くの生徒が苦労している。―であるから特別に有志を募って王宮にある実践魔法魔法の練習場で防衛魔法をしようと考えているんだ。公女にも参加してほしんだが、どうだろうか?」


なるほど。確かに王宮にはそんな設備も備わっていたな。参加すること自体は全く構わないが、わざわざ陛下が催すということは、周りの声がよほど大きかったのだろう。

こんな私にも声をかけているのだから、相当大規模なものになるのだろうか。



「ぜひ参加したいのですが、殿下自らが私にも声をかけたのですから、相当な規模になるのではないでしょうか?私が参加したことできちんとした練習できない方が出てきてしまうのではないかと思われるのですが、余計な心配でしょうか?」


「、、すまない。説明が足りていなかったな。公女には練習ではなく、教える側に立ってほしいんだ。公女が思っている通り、かなりの数が集まってしまった。魔法士を王宮でも揃えるが場合によっては足りない場合もある。そこで魔法が優秀な公女には王宮魔法士の補佐をしてほしいんだ。」


そういう事だったのか。補佐なら任せてほしい。こっちはほとんど毎日図書館で補佐をしている。となれば答えは一つだ。


「そういうことでしたか。私に何か力になることができるのならぜひ。」


―快諾した。王宮に行くこと自体私のためにもなりそうだし、なにより殿下自らのお願いを断ること自体不敬になる場合もある。


「そうか。よかった。話はこれで終わりだ。詳細については追って連絡する。時間をとらせてすまないな。」


どうやらほんとに話はこれで終わりらしい。すると、私の後ろから身長の男がすっと姿を現す。


「ラル様が引き受けてくれてほっといたしました。ところで、ラル様はもうすでにランチをお済ませになりましたか?まだでしたら、ぜひご一緒にどうでしょう?」


話に引き続き、ランチをご一緒する機会も来るなんて!この好機を逃すことなんてありえない。


「ぜひ!」

と満面の笑みで答える。

殿下はどうしてかシュード様を睨んでいたけれど、シェフを呼び出すためにシュードは部屋を出てしまった。


殿下とシュードはランチをこの執行室の別室で済ませる。この前のランチタイムの時に知ったことだ。

本来この執行室には執行委員会に入らないと原則としてその他の生徒が入ることは禁止されている。今回は殿下の許可あって私は入室が可能となっている状態だ。


今日はもしかするとすごく運がいい日なのかもしれない。とのんきなことを思っていたが、

はたと、今は陛下と二人きりということに気づく。

こんなことは、一日中追いかけていてもできなかったことだ。

私はすかさず、殿下に話しかけようと試みる。

人に気に入られるために必要なことは私だって分かっている。

そう、それは〈とにかくその人を褒めること〉だ。


「、、殿下は、生徒のお声をよくお聞きになられるんですね。さすが執行委員の会長です。その寛大なお心に皆殿下を尊敬しておられますわ。もちろん私も。」


にっこりと、殿下に対する尊敬の心が隠し切れないと言わんばかりに賞賛の言葉を言う。

だがしかし、


「、、、、そうか。」

と、そっけない一言でこの会話を終わらせる。


この反応は、私にとっては想定外だ。普通人はおだてられると嬉しくなってついつい自分から自分のことを話したがるはずだ。

なんといっても私がそうだからだ。

でも待てよ? 殿下はこの程度の称賛の声など日常的に聞いているのかもしれない。いつも周りに人がいるし。なんて羨ましい、、ではなくって!

じゃあどう褒めればいいのか?と真剣に考える。すると今後は殿下から、


「公女は魔法を得意といているが防衛魔法も問題ないだろうか?」


どうやら私の技量を心配しているようだ。でもこれはチャンスだ。ここでいかに私が魔法が得意のか殿下に示すことができれば、私が役に立つ人材であることが分かってもらえるはずだ。


「もちろんでございます。特に私は魔法の中でも防衛魔法を得意としておりまして、きっと殿下の期待にも答えられると思います。」

と自信満々に答えると


「そうか、それは安心だな。」


そこからは私は自分がどれほど魔法に真剣に取り組んでいるのかを嬉々として殿下に話し続けた。そうこうしているうちに、話をしている途中でシュードがシェフと料理を持ってきてくれた。


「ラル様、なんだかとても嬉しそうですね?殿下と良い話ができていたようで何よりです。」


そう微笑ましそうな顔で言うシュードに、はっとした。

-私がおだてられてどうするんだ!!!


自身の有用性を示すあまりに少し長く話過ぎた。これではただの自慢話に付き合せただけだ。とんでもない失態をしでかしてしまった私は、恥ずかしくなって顔を付してしまう。

普段、人に良く思われたいと思って行動したことがほとんどないから、どうすればいいかが分からない。


結局ランチの最中殿下とシュードの来週王宮で行われる魔法試験対策練習についてばかりで私はただただおいしいランチを食べているだけだった。

――――――――――――――――――――――――――――


「良かったですね、殿下。これできっかけができました。」


「ランチの誘いは余計だ。急な誘いに驚いていただろう。あとその変な顔をやめろ。」


ハロルドはシュードのにやついた顔を指摘する。それに、よかったも何もない。勝手にシュードが呼び出しから何まで仕組んだことだ。勝手にお前がしたことになぜ私が喜ばないといけないんだ。


「困りましたねえ。僕の顔はいつでもこんな顔です。それに、あれのどこが驚いていたんですか?快諾してくれていたじゃないですか。

うーん、、。陛下の目は節穴だったんですね。それともただ臆病なだけですか?もっと陛下からぐいぐいいかないといっこうに仲良くなれませんよ!」


「だから何度も言わせるな!仲良くなろうとしているわけではない!」


「じゃあなんであんなに嬉しそうにラル様の話を聞いていたのですか?」


「ふ、どうやら節穴はお前のほうだったようだなシュード。俺は嬉しそうにしていない。」


ああいえば、こういう。この二人の話は幼い頃よりいつもこうだ。ハロルドは全くシェードの指摘に気にも留めていないように思えるが、この反発的な返しはもはや癖のようなもので、ちゃんと聞いているには聞いていることをシェード知っている。


―でも今回は、少々厄介だ。なんせことが恋愛だから。そしてそれにさらに厄介なことは、ハロルドは、シェードの指摘に恥ずかしがって否定しているのではなく、たぶん本当に気づいていないのだ、自分の気持ちに。


しかし、確実にハロルドはラルに惹かれている。今回でそれを確信した。

ハロルドは普段全く表情が変わらず、冷たい人間だと誤解されがちだが、あんな顔してラルの話を聞いていたのに、嬉しそうじゃなかったはないだろう。

それに、〈もう意味のない〉図書館への訪問はラルに会うため以外に考えられない。


そのことにいつ気づくのか。そしてそれに気づいた時、ハロルドはどうするのか。ハロルドの答えはまだ出ていなくても、シェードのほうではもう決まっている。



「来週が楽しみですね。殿下」

といつもの笑顔でそういうのであった。























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