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三人悪女~男は添え物くらいがちょうどいい?~  作者: 頼爾@11/29「軍人王女の武器商人」発売
第二章 マリン・エジャートン

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いつもお読みいただきありがとうございます!

 セラフィナ主催のお茶会。

 定期的に開かれる情報交換会らしいが。そこにマリンはしっかり招待状を持って参加していた。


 治癒ベッドの情報はエレインの派手な動きとは裏腹になかなか集まらなかった。重要な部分だけ決定的な情報が集まらず、ウワサレベルのものしかない。


 お茶会の日まで情報が少なく、優位に立てないと焦ったセラフィナに散々罵られた。セラフィナだって情報を集められていないのだ。マリンに対して遠慮がなさすぎて二重人格を疑いそうだった。


 情報がないならないで仕方がない。値段は商会が口をつぐんでいるのだろうが、治癒ベッドの効果の情報が錯綜しているのはエレイン側の策略かもしれない。それ以上はマリンの頭では分からない、というかこれは側近の伯爵令息から聞いた推測だ。こうすることで治癒ベッドの宣伝効果を高めるのではないかという話だ。


 セラフィナが治癒ベッドに関するネガティブなウワサを流したと言っていたからそのせいもあるのだろう。


 マリンはギブスが外れて仰々しくなくなった自分の足をちらっと見てから、会場に視線を向ける。さすが公爵家のお茶会だ。庭の花は綺麗に整えられ、見目のいい使用人たちが動き回っている。お菓子も一級品で力の入り様がうかがえる。



 それほど多くない参加者の半数ほどが集まった頃に、エレインはあの二人の男を従えて現れた。セラフィナは知っていたようで後ろの二人も一緒に通している。


 派手好きな女なのかと思っていたら落ち着いた装飾の少ないグリーンのドレスだ。エレインの目の色とよく合っている。帝国の最先端ドレスをこれ見よがしに着てくるかと思っていたのに。マリンは帝国のドレスが拝めるかもしれないとちょっとだけ期待していた。

以前は遠くから眺めただけだったが、近くで見てもムカつく女だとマリンは思う。


 マリンは男爵令嬢なので、セラフィナやエレインと同じテーブルにつくことはない。二人のテーブルを観察しながら見たこともない美味しいお菓子を食べた。


 お茶会開始早々に揉める雰囲気ではない。エレインもセラフィナも一見和やかに会話している。

 エレインの後ろには見目のいい男二人が立っているわけなので、セラフィナの取り巻き令嬢たちもまだ何もしかけない。


「よかったら後ろのお二方も席についたらいかが? 用意をさせるわ。帝国のお話を聞きたいもの」


 セラフィナの言葉に立っていたイライアスとケントの二人は視線を素早くかわすと、イライアスだけが「お言葉に甘えて」とイスに座った。


「彼はいいのかしら」


 セラフィナは一言も喋らないケントの方を気にしている。


「この者はエレイン様の護衛ですから」

「あら、公爵家の護衛を信用してくださらないのかしら」

「公爵家を信用するも何も、彼は皇帝陛下の命令を忠実に守っているだけです。そんな彼が公爵家のご令嬢の願いを聞くはずがありません」


 帝国の皇帝と言われ、さすがのセラフィナも一瞬ひるんでいる。マリンにとってはちょっといい気味だ。そしてイライアスはさりげなく失礼な言葉を巧みに織り交ぜている。


「帝国の皇帝陛下がエレイン様に護衛をつけているということかしら」

「皇帝陛下も治癒ベッドをお使いですので、その開発者であるエレイン様をお守りするのは当たり前のことではないでしょうか」


 マリンは隣のテーブルからイライアスの嘘くさい笑顔を見てしまい、気分が悪くなった。


「帝国のお話はぜひエレイン様に。私は根っからの帝国民でして。この小さな屋敷が公爵邸だというのもまだ信じられません。帝国では当たり前のことがこの国では当たり前ではないようです」


 明け透けな言葉にマリンも聞き耳を同様に立てていた参加者もギョッとしている。セラフィナは表情こそ変えないものの、しばらく一緒にいたマリンにはあれは絶対に気分を害していると分かった。


「申し遅れましたが私はルジェス商会のイライアスと申します。皇帝陛下の命令を受けているわけではないので、追い出していただいてもかまいません」


 マリンに対してだけでなくセラフィナに対しても無礼な男だ。ムカつくが、肩書で態度を変えないのはいい。さらに、ルジェス商会ならマリンでも知っている名前なので追い出せるわけがない。


「帝国は我が国とは比較にならないほど大きな発展した国ですから、我が家が小さく見えるのも仕方がないでしょう。商会の方ということは治癒ベッドのお話を聞けばしてくださるのかしら」

「おや、気になりますか」

「イライアス」


 エレインの声でイライアスは肩をすくめた。あ、セラフィナの目が光った。間違いない。


「画期的な発明とお聞きしているので皆知りたいはずですわ。教えていただけませんの? 重病や難病の方々には朗報でしょう?」

「えぇ、あの治癒ベッドがゾズラン風邪の流行った時にあればきっとたくさん救えたでしょう」


 参加者の中には身内や親戚をゾズラン風邪で亡くした人も多い。アーバスノット公爵家並みに金と権力があれば別だが。

 そんな参加者たちは急に出たゾズラン風邪という言葉に唇を軽くかんだり、俯いたりして反応を見せている。マリンも少し震えてしまった。


「長時間の使用さえしなければ副作用はありません」


 エレインはしばらく治癒ベッドの話をして、参加者たちは聞き耳を立てていた。値段の話はやはり出ない。参加者たちもここで聞いて買えないような値段であればプライドに関わるからか値段の話題は避けた。


 やがて話が一段落するとエレインはそっと立ち上がる。話はイライアスが引き継いでケントはエレインについて行く。


 マリンも立ち上がろうとして、セラフィナからの強い視線を感じた。

 分かってますってば。お花摘みに行ったところを追えばいいんでしょ。すぐに追いかけたらバレバレじゃないの。

 やれやれと思いながらゆっくり立ち上がってエレインの後を令嬢らしい速度で追いかけた。


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