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三人悪女~男は添え物くらいがちょうどいい?~  作者: 頼爾@11/29「軍人王女の武器商人」発売
第二章 マリン・エジャートン

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いつもお読みいただきありがとうございます!

「うちは商会とつながりが多いから探ってみたよ」


 側近の一人が王太子のいない間に教えてくれる。どうせ王太子殿下は命じるだけなのだから、情報を集めて来る者に聞けば早い。まだ足が痛いから断然こっちの方がマリンにとっては楽だ。ニコニコ嬉しそうに笑いながらマリンは伯爵令息の隣に腰掛ける。


「数年前からこの国では商会を作る手続きが煩雑になったから、既存の商会と契約を結ぼうと動いているようだ」

「一時期商会が乱立したから?」


 この側近は気安く喋る方が距離が近いと思っているのか嬉しそうにするので、マリンは合わせてあげて二人きりの時はこんな話し方をしている。


「あぁ。今から商会を作ろうとすると最低三年はかかる。大手からあたっているようだ。思ったよりパンデミリオン嬢は準備してなかったみたいだな」

「へぇぇ。準備って他国にいてもできるものなの?」

「パンデミリオン侯爵や嫡男に頼んで商会を作ることをやってもらうこともできたはずだ。もしかして、研究が予定よりも早く終わって準備が間に合わなかったんだろうか」


 なるほどと思ってふんふんとマリンは頷く。


「治癒ベッドってどんなものなの? 商会の方は見たの?」

「さすがにベッドを運び込んではいなかったからな。お試しとして治癒マットだったらしい」

「マット? どのくらいの大きさ?」

「丸めて持ち運べるくらいの大きさだ」

「そっちの方がベッドよりも便利じゃない?」

「ベッドが最も効果があるんだと。マットじゃあ腰痛くらいしか効果がないって。商会長は腰痛が良くなって喜んでいたが」


 腰痛が良くなるだけでもすごいと思うが。

 マリンは現在進行形で腰痛に苦しんでいる男爵を思い出す。あの男の場合は絶対、肥満が原因だが。


「お値段って分かる?」

「さすがにそこまでは教えてもらえない。ペラペラ喋ったら信用問題だ」

「残念。ああいうベッドがあったらお母様みたいな人もきっと助かるのになって」


 悲しそうに目を伏せると、伯爵令息は言いづらそうだが教えてくれる。


「なかなか……高いらしいぞ」

「その商会は契約しなかったの? そんなに良さそうなものなのに」

「他との兼ね合いがな。ほとんどの大手が薬草や薬も取り扱ってる」

「えっと、どういうこと? 分からないから教えて?」


 分からないので教えて欲しいとマリンは首をかしげる。側近である伯爵令息は呆れた顔をしながらも、優越感をほんの少し滲ませてマリンにさらに説明してくれた。結局、男ってこうなのよね。自分の凄さを見せたいっていえばいいのか。

 これは、セラフィナや高位貴族の令嬢たちが絶対に使わない手だ。


「治癒ベッドが出回って病気が治ったら薬が売れなくなるだろ。そうなったら治療施設が儲からなくなって困る。だからどこの大手の商会も治療施設経営者の顔色をうかがってるんだ」

「でも、治癒ベッドが高いなら大丈夫なんじゃない? 平民は絶対手が出せないから」

「契約内容にもよるが……もし治癒ベッドを誰かが買ってそれで治療を始めたらどうするんだ?」

「ベッドを使ってお金を取って人を治療するってこと?」

「そういうこと。そうしたら巡り巡って治療施設が困るだろ。そこで働く職員だって減らされるだろうし。薬も売れなくなったらそれはそれで」


 マリンは治癒ベッドはすごいのだと勝手に思っていた。セラフィナだってあれほど警戒していたのだ。でも、実際は利権が絡んでいて導入は大変そうだ。ちょっとバカみたいである。


 マリンはまだまだ下級貴族だから、いいものはさっさと導入すればいいのにと思ってしまう。そんな利権なんて難しいことは考えていられない。自分でも分かっている。もっと考えられないところがダメなのだと。でも、母のような人が助かるなら……どうしてダメと言えるのだろう。


「副作用ってあるの? 何でも治るの?」

「難病や重病が治ったという話は聞いた」

「それは……たくさんの人の役に立ちそうね」


 エレインへの妬みを完全に脇に置いていいならば、マリンは本当に感心した。よくそんなものを開発できるものだ。


「それにしても……不思議だ。まだ大々的に宣伝も打っていないようだし。もしかして、パンデミリオン侯爵令嬢は治癒ベッドをこの国に売る気がないのか?」

「え? どうして? わざわざ帰国までして商会を回っているのに?」


 人の役に立てて感謝されて、しかもお金持ちになれるチャンスじゃない。正直、マリンがそれを開発したなら王太子の婚約者になれるほどのレベルで凄いだろう。エレインの場合は世界相手なのでもっと凄いのだろうが。


「これは定かな情報ではないのかもしれないが……まだ確証はないし」

「え?」


 なんだか重大な情報が得られそうだ。マリンは上目遣いをここぞとばかりに発揮した。思わせぶりに瞬きをする。


「パンデミリオン侯爵夫人、本当はゾズラン風邪の薬が手に入るはずだったんだ。どうやらそれを横取りした者がいるようなんだ。それで夫人は亡くなった」


 思ってもみない方向の情報で今度は本気で、打算でもなんでもなく瞬きした。意味が分からないが、徐々に頭に意味が浸透してきた。


「それって……横取りできるって……」


 侯爵家から横取りできるならば、侯爵家よりも権力が上の家。


「王太子殿下もゾズラン風邪に時期はズレたが、かかってるんだ。王妃が横取りした薬で殿下は治ったという本当かどうかわからない話を聞いた」

「え、でも。普通王家は余分に薬を持っているんじゃない?」


 マリンはそのくらいのことは知っている。ゾズラン風邪に関することだからと言うべきか。だから側室を目指しているのだ。民衆に足りない薬でも王家にはある。マリンみたいな下が困っていても王家は困らない。


「だから真偽が分からないんだ。王族だって結構あの風邪に罹ってたからな。王妃殿下が慈善事業に熱心でゾズラン風邪が流行する前にもいろいろ出歩かれていたから」

「もしそれが本当だとしたら、パンデミリオン様はそれを知っていて治癒ベッドをこの国で売る気がないということ? わざわざ帰国までして?」

「……やっぱり考えすぎだよな。帝国からここまで帰ってくるのだって大変なのに。売らないなら売らないときっぱり言えばいいんだから」


 マリンは落ち着いて会話をしているように見えただろうが、心臓はバクバクしていた。

 どういうこと? 一体、私は何を見せられて聞かされているの? 何が本当なの?


「さっきの話は内緒だぞ」


 エレイン様はこれを知っているの? 王太子は? セラフィナは?

 マリンの頭ではよく分からなかった。


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