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第6話 未来へとつなぐ手紙

〔メンテナンス中でもあきらめずに何度も“更新”を押せば意外とつながります。〕この物語はフィクションです、それはそれはこわい都市伝説風恋愛ストーリーです。けっして現実ではありません。だから訂正も修正も削除も受け付けません。フィクションです。真に受けないでください。とくに年配の方。この物語の登場キャラクターは実在の人物・団体等とは一切関係ありません。リアリティーを追求した描写が売りなだけです。フィクションです。特に既婚女性を意識して書きました、細かい描写も注意してお読みください。著作権法上の権利者である私が原文のままのコピーに関してのみ許可します。1文でも付け足したコピーは違法です。ご注意を お金に興味はありません、心の充足が大事です。同じ物語を彼女側から書いたものも構想中ですが、女性心理がわからず苦戦しています。アクセスができなくなる前にぜひ感想をおよせください


  (この物語はフィクションです登場キャラクターは実在の人物・団体等とは一切関係ありません。)


 第5話「未来」は制作保留のまま第6話に入ろうと思います。


 

 君はTVなどあまり見ないと言ったが昨日「奇跡体験アンビリーバボー」を見ていて話したくなった。

 関西で正しい内部告発をしたのに壮絶な業界排除に遭い倒産の憂目を見たにもかかわらず、自らの信念と社会の良心を信じて世間に訴え続けて奇跡の復活をとげた社長の話。正確にはまだ復活といえる状況ではなくかなり厳しい状況らしいけど、社長の「一度死んだ身だから何も怖くない」は何だか来る物があります。

 最初は冷遇した世間の冷たさ、けど頑張り続けると変わる世間の風、冷たさの温度がプラスへ変わってくる。そうだよな世間ってこうでなくちゃと思いました。

 幻冬舎という出版社の社長はある大物作家が何か文章を発表したら必ず読んで感想を書き送ったそうです。相手にされない事はは百も承知で、毎回毎回ちゃんとした感想を書くのは大変だったと思います。返事が来ずとも毎回手を抜かずやったそうです。

 数ヶ月たち、本人ではなく代筆で短い礼状が来たそうです。さらに続けたそうです。そして、その大物作家の新作を発表する権利を得たそうです。

 人と違う事をやる人間は何か違うもんだなーと思いました。

 あきらめなければ何かが変わるのかも知れません、それは君かもしれないし、僕かもしれない。他の誰かかもしれない。唯一自分の経験則を付け加えるなら、自分が壊れない範囲で頑張らないとペースが乱れて継続が難しくなるから、ペースを守って、ペースを作って、毎日継続するのが大切なのではと考えます。

 僕が何が言いたいのか…察していただければ幸いです。あきらめなければ何とかなったり意外とするもんなんです、きっと。常識も大切ですけど、常識的になる=あきらめる、では心の光を失ってしまいます。そう思います。



 手紙、久しぶりに読み返しました。ピンクのレターセットで大きなにんじんと3人のウサギの親子が描かれている。シャープペンでつづられた君の直筆が愛らしい、封筒と手紙が4枚。保存状態は17年物にしてはすこぶるいい。まるで1~2年前もらったみたい、なぜこんなに状態がいいかというと3ヶ月前まで完全に見たくないので衣装ケースの奥に封印してあって、ほぼ17年ぶりに封印を解いた状態だからなのだ。かつての僕にとっては捨てられない古傷で、今は大切な思い出の品です。さすがに封筒は若干傷んでいるけど中身はほぼ当時のまま。

 手紙のなかで手術を受けると書いてあった、けど僕の知る限り君に手術痕はない、その時は目立たないとこにあるのか気がつかないだけだろうと思っていた。違う意味だったのだろうか…、当時は内視鏡手術はあまり一般的じゃなかったと記憶している。

「手紙に手術の事書いてあったでしょ」

 と少し経ってから君は言った、あえてそこを強調する。僕が君の意図を理解してない様子をみて黙りこくってしまったのが印象的な記憶だ。

 研修とかなのだろうか?そういえばこの手紙はあの夏祭りの日、車に見られたあの日以降にもらったものだ。本で読んだ、異端者を寺で修行のような事をさせて考えを矯正するというくだりを 手術といっても妙に日数が短期だし、君が体を悪くしてるなんて1度も聞いた事なかったし、第一入院したら手紙が出せなくなるって書いてあったけど、そんな事ないと思うし、それに、いくら何の手術だったか聞いてもはぐらかすし。君が話をはぐらかすという事やはりそういう事なのだろうかとついつい考えてしまいます。僕の妄想であって欲しい…。今現在まさかそんな目に遭ってない事を祈ります。どんな形であれ君の事を支持します。

 東京をはなれる最後の日、頼りにしていた人に君の実在を証明しようと手紙の封筒を見せた。この人は僕の知るがぎり社会的ステータスがもっとも高く、人脈も影響力も凄い。“彼ら”に通じる人脈があってもおかしくないくらいの人だ。封筒を見て1言。

「お前、そんなのもらってたの!?」と驚く

 あまりの新しさに最近もらったものと勘違いされたみたい。そのくらいいい保存状態、ちなみにその人のそのリアクションから僕はこう思った、手紙をもらう可能性を考慮に入れても不自然じゃない状況なんだなと、不自然なら「何それ?」というリアクションのはずだし、何も知らないならやはり同様のリアクションだとその時思った。

 ちなみに、この人は東京にいた時ぼくが残した書類を実家に郵送しといたと話したが僕は実家でそれを受け取っていない。この人との電話がやばい内容になると急にプツンと切れる事も3度あった、切れる時のプラグを抜くような音が印象的です。君が仮に手紙をくれていたとしても現在の僕も当時の僕も受け取れていないのかもしれないと考えるのは何も根拠なく言ってる訳ではない。けど、工夫次第では不可能でないはず。

 それから、君が当時くれたこの封筒たぶん自分で組み立てるタイプの封筒でしょ?底の部分のりが甘かったみたいではがれてる、けどそれはそれでうれしい。君がこれを組み立てたであろう姿を想像するという楽しみができた、今のぼくにはそんな些細な事も大切な君との思い出になってる。


 26日お祭りに行って…と書かれている、僕は忘れていたけどあれは26日だったのかと考えてしまいます。僕の記憶と若干かみ合わない、ウィキペディアによれば「紅の豚」は7月18日が映画公開日とある、8月ではない。公開日数日後に行ったと記憶しているからあれは1992年7月26日の出来事だったんだね、書かれている以上事実であり正確な記録、間違いは無い。思い出してきた、本当は最初1人で公開日に行くつもりだった、だから前売り券も1枚しか買わなかった、けどカレンダーか何か見て思いついた、数日後に夏祭りがある、これにかこつけて君を誘ってみようと。ダメ元で聞いてみたらokしてくれた。神社以外で会う密会。映画自体は2度目のデート、すごくウキウキしたのを覚えている。当日か前日か電話で約束を再確認したように覚えている、あの電話はどちらがかけたものだっけ?当日僕は自室のカーペットをごみに出すため裁断するという作業を午前中していた、約束は午後だ。楽しみにしながらカーペットを切っていたのを覚えている。当時殴り書きでもいから日記を書いておけばと後悔しています。一応書く試みはしていた、けど君への心の整理が上手く処理できず何度も挫折したのを覚えている、今なら何考えてたのはわかるんだけど当時は解らなくて混乱して文章にできなかった。僕に文才が無いのも理由だったけど。

 文章はこう続く、僕のこと試していたのかもしれませんと、覚えてる?君が書いたものだけど…。


 あれが26日だとしたらその数日前がぼくの誕生日だ、その日神社で僕らは会っているはず。誕生日なのになかなか帰ってこない僕を家族が心配したのを言いつくろった記憶がある。誕生日の日、僕はあの写真と額を貰った、そうだ思い出してきた。神社で君はプレゼントの入った箱を取り出し僕にくれた。

「中に写真がはいっているから」

と君は言った。

「ほしいって言ってたでしょ?」

と付け加えた。

 春、1年のとき撮ったものだと聞かされていた。どこかの垣根(学校だったかな?)の前で制服姿で微笑む写真。横長で腰から上だけ移ってる、カメラを横にすれば全身入るし左右の無駄な空間がなくて済むのだけど、そうはしていない。それでも憧れの彼女の写真、夢のアイテムだった。でも本当は以前見たもう一枚の写真の方がかわいかったから本当はそっちが欲しかった。今はじめて言います。当時は恥ずかしくて言えなかった。その場でプレゼントを開ければいいのに僕は開けずに持ち帰った。君が包んでくれたものを野外で乱暴に扱うのは何かの冒涜のように感じた。それにせっかく本物の君がとなりに居るのだ、写真は後で眺めればいい、そう思った。

 そうだ、本物の君で思い出した。この少しまえくらいかな、神社ではなく造成地に2人並んで座っていたとき君はこんな事を言った。

「今は本物がいるから?」

 僕が以前と違い女の子のグラビアなど最近見ない話をしたとき、くすぐったくなるような目をして僕にささやいた。笑顔で。そのあまりの図星ぶりにぐうの音も出なくなってしまう僕、そう、まったくその通りだった。固まっている僕をみて楽しげな君。幸せな光景だった。固まった状態からなんとか声を絞り出して答えた。僕のドギマギしたリアクションに楽しくなる君、笑顔で返してくれた、あのなんと形容したらわからない独特のかわいい笑みと笑い声で。その後しばらくして僕はその手のグラビアの載ってる本を大量に処分した。本当に要らないと感じたからだ。その事を君に話した時、驚いていたと記憶している。どうも記憶がハッキリしない、「男の人は…」とか言ってなにか言ったのは覚えているけど、詳しく思い出せない。そのうち思い出したら書きます。少し思い出してきた、君は僕の「捨てた」という単語に反応して、そうして堂々と捨てられるのは男の人だからできるのよねみたいな事言った。そして僕が持ってるのそういうの?と訊くと、僕以前につきあった男から何冊かもらったという話をした。そんな話をしたような気がする。複雑な気持ちになった、けどそんな事堂々と語り合える関係になれたのが幸せだった。


 話は戻って写真の件、今思えばその場で開けて中身について君と色々話したかった、そうすべきだった、思い出してきた。君も当時そう思ったのか僕が家に帰った後電話してきてくれたんじゃなかっただろうか?そこでプレゼントについて2人で語ったような気がする、記憶違いかな…、僕は箱を開けてびっくりした。予想以上に豪華な額だった事に恐縮しまくっていたと思う、てっきり500円くらいの物と思っていたからだ、やはり、プレゼントはその場で開けないとだめだね。その電話で(もしかしたら違う場面で)今度行く夏祭りについても語り合ったと思う。君は浴衣を着て行くねとここで言ったんじゃなかっただろうか?どうも記憶があいまいで、話した事だけは間違いないけど電話かどうか確信がもてない、会う事があったら確認したいと思う。とにかく君とそんな話をした、この当時僕は何もかも順調すぎて怖いくらいだと思っていた。まったく状況を理解していない僕は写真を額に入れて飾り見入っていた、完全に油断しきっていた。


 ちなみにだけど、君が着てきた浴衣の色は白だったと記憶してるけど、もしかしたら青かったような気がする。どっちだっけ?白かったような気がするけど…。ま、どっちも似合うけどね、というか何来ても似合うけど。あ、でも髪は下ろさない方がかわいい。と、個人的には思います。



 手紙はこう続く…

「付き合おうとと思える男の人にはいろいろ条件があるの。理想のタイプというのはないけれど、細かいことで…」

 この状況ではこうしてほしい、あの状況ではこうしてほしいと、この先手紙は僕にとって意味の通じないヒントがいくつか続いていて、17年前の僕を混乱させた。どうしてそうして欲しいのかが書いてない。けど今はその内容が理解できる。

 “彼ら”の存在を前提にすればなるほどそうかとすべての文章が意味が通じるものになる。こういうときこうしてほしいと言ったら僕がどういう態度をとるか試していたと書いてあるね、今はわかる。どうしてほしかったのか。こういう事だったのだろうか?

 気づいて、理解して、それでいて事を荒げることなく君の事を想い、その時の関係を維持する。ばれなければチャンスはある。ばれないように2人が協力するには僕が気づく事がまずクリアしなければならない最低条件だった。そういう事だったのだろうか?

 手紙の内容1部抜粋させてください、安心してほしい前文書く気はないから。ただ、どうしても伝えたいというか、返答しなければいけない想いがどうしてもある。もし、再会したらこの手紙を持参して当時できなかった返事をするつもりでいた、17年の時間にけりをつけるためにも。もし仮に夢がかない再会できたらこの手紙持って行きます。これを見た時の君の顔をどうしても見たい。君の文章はこう続く。


「他人に見られたくないって気持ちを■■くんがどうとらえるか期待してたけど、私の気持ちわかってなかったみたいね。逆に私のそういう行動が気に入らなかったんでしょ、はっきり言って頭にきたよ。」


 かわいい字でつづられた中にこうある、当時はまったく意味が理解できなかった。なぜ他人に見られたくないのか?僕がブサイクだからか?変な噂立てられたくないのか?それとも遊ばれているのか?何が気に食わないのかさっぱりわからなかった。なぜそれほどのリスクをしょってまで僕に会うのかも理解できなかった。だけどこの時君は見えない“それ”と戦い2人だけの秘密を守ろうとしていた。僕は自分が守られてるだなんてまったく思わなかった。対等な関係で、心が通じ合っていると思っていた。いや、事実通じていたとは思うのだが、想像を超える前提条件に僕は気づきさえもしなかった。君はそれと必死に戦ったいたというのに。君が悪いのではなく気づけなかった僕が悪い。どうしようもない罪悪感というか、責任を果たせなかった無念というか、そういったもろもろのものが押し寄せてくる。僕はどうしたらいい?本当に僕は君に償いきれないほどの貸しを作ってしまった。何かしたい、そう思う。


 ともかく当時君は僕の誤解と無理解をそこまで理解した上で僕に賭けていてくれた、その想いの重さ、その凄さに当時きづけなくて、いや、踏みにじったに等しい行為をしてしまったわけで。そこまで思ってくれた嬉しさと悲しさで、ごめん、きづけなくて。今きがついた。やっと理解したあの時の状況。


「私がどれほどうわさをきにしてるか知ってる?」


 意味が判らなかった。噂ってなんだ?噂って言うのは真実でないネガティブな評判という意味で、僕との関係をそう思っているのか?それにしては親しくしてくれるのは何故だ?そういう性格と割り切れない何かが君にはあった。自虐的?いや何かかみ合わない。臆病?いや違う。他に好きな人がいるのか?そんな事ずーっと考えているとますます解らなくなる、そして会うといつも優しい君がいた。頭の中でシュミレートした結果と現実の君の違いに明らかに混乱した。君が見せてくれる好意は今まで見た事がない本物の好意だった。だったらなぜそんな事をいう…。

 人は自分の枠組みの中でしか相手を推し量れないという、広い視野を持つには経験や勉強が必要だ。実際経験し、それを理解できるスキルをもってようやくあの時の状況が理解できるようになった。人生は面白いとしか表現できない。

 僕は君のおかげで人の好意というものが理解できるようになったと思う。

 数ヶ月前、真実に気づきようやく理解したとき、本物の好意をはじめて理解できた。本気で泣いた、生まれて初めてだった。僕は感情が希薄で芝居がかった所がある、こういう時はこういう感情でいなければと自分に言い聞かせるような所がある。なのにこの時はなにも考えず涙があふれてきた。これだけで僕がどれだけ救われたか君はわかるだろうか?今まで悪意を持つ人の心は容易に読む事ができた、そういう人ばかり周りにいたから経験が豊富なのだ。訓練期間が長い分容易に読める。けど。好意に対してはそうではない、このとげを君が抜いてくれたことになる。そして僕はその事に17年かかって気づいた、ぼくはどうやって君に報いたらいいのだろうか?


 ともかくこの謎を解くには何かパズルのピースが欠けていた。


 この時に限らず君は僕に欠けていたパズルのピースのヒントをいくつも出していた。そうしたときいつもあのさぐる様な目で見る。気づくかしら?と思ってくれていたんだろうか?当たらずしもそれに近い感覚があったように記憶している。自分の悪い評判についてもいろいろ話してくれた、こんな事言われてるのよ!見たいな感じで、僕は聞いた事なかった、当時から1人だったせいかあるいは僕が君が好きなのが周知の事実だったせいか聞こえてこなかった。そんな事言われているの?と僕は驚いた。そして、君の忍耐強さに畏敬の念を感じた

「よく学校これたね。いやにならなかった?」

 思わずこう言ってしまった。あれは部活でパート練習中、2人きりの時なんとなくそんな話題になり、君が話した事だと思う。トロンボーンの金色の反射と楽譜たてと楽譜、誰もいない2人きりの教室というイメージで記憶している。外は青空が白くなっていて曇り空の夕刻だったように覚えている。君が声を荒げるのは珍しかった。学校内でテンションの上がった君はめったに見ない、その分本当に嫌だったんだなというのが伝わる。

 君の忍耐強さに対するほめ言葉のつもりだが、今思うとほめ言葉になってない。当時の君はやはり誤解し、僕の追加の説明を聞いてようやく納得してくれた。けど、なにか不満を感じているのがわかった、そしてその時は僕は言葉使いのせいかと思った。けどあれは今思うと違う事を君は期待していたのじゃないだろうか?あの時のあの不満顔、当時は解らなかったけど今思うと「そうじゃないのよ」と言わんがばかりのようだった。あれはヒントだったのだろうか?気づかない僕に不満を感じつつ君はまた立ち直って無理していつものように振舞った。あの話の後パート練習が終わり、音楽室で部員全員の合同練習に向かった。なんとなく何かがすれ違っているのを感じた、こういう事だったのだろうか?確かめたいです。当時の僕はと言えば、こんな事話せるほど仲良くなったと若干浮かれていた。アホだった。自分だけは味方でい続けると言ってあげればいいのにできなかった。

 

 そういえばこんな事もあった、やはり同じようにパート練習で誰もいない教室で2人きりで入ると、下級生の部員がこちらを見てはしゃぎ去ってゆく、いつも別にこうしているのになぜ今日に限ってと思った。悪意は感じない、冷やかされて悪い気はしない。でも君は沈んでいた。こないで欲しい見ないで欲しいと、それはわかったけど、なぜそう感じるのかが解らなかった。試しに話しかける、若干気持ちが沈んでいるけど君はいつものように振舞った、けなげに。確かに周りを気にしてた。噂を気にしてた、でも逃げなかった。いやなら僕を教室に残してどこかへ逃げてしまえばよかったのにしなかった。あ、思い出した、たまにいなくなって、どこ行ったんだろうとか思ってるとしばらくして戻って来るって事あったね!あれはそういう事だったのか…。今思い出した、戻ってきた君はいつもほっとした顔だったような気がするのは僕の記憶違いだろうか?

 

「つきあってもない男の人と2人きりで出かけるなんて非常識なんだよ。私、そんなことがばれたら他の女の子に軽蔑されちゃうもの」


 君の文章はこう続く。ここの文が一番僕を迷わせた。この手紙を17年も封印した由縁たる部分だ。意味が解らなかった、会う度優しい君がなぜこんな事言うのか解らなかった。なぜなら、ぼくは「つきあってもない…」の部分が君の言いたい論点だと当時思ったからだ。だったら来なきゃいいのにと思った。けど君は来てくれたし楽しそうだった。混乱した。当時の僕の能力では解釈できなかった。

 言っている事と行動がかみ合わない場合、通常主張したい論点が違う所にある場合が多い。この場合、もしかしたら君が一番強調したかったのはこの文章においてなら後半の「そんなことがばれたら…」の部分だったのではないだろうか?

 君はなにより“ばれる”事を恐れていた、その様な環境下にいたのだ、そう解釈するとこういう解釈が成り立つ。そうした環境下であれば僕との関係は“非常識”であり、公式には“つきあってもない男の人”と表現せざる得ない。“他の女の子”は同じ環境下の子と解釈できる。「ばれたら大変なことになるのよ、他の女の子の手前どれだけ貴方の為に私が苦労してるかわかってる?」と、こう言いたかったのだろうか?この解釈なら君の行動とまったく矛盾しなくなる。


 17年経ち、ようやく僕はこういう事がわかる人間になりました。

 こんな事思い出した、神社で2人きりの時。君はイヤホンをすると片側の耳が痛くなってしまってしていられなくなる。と、その言葉に対しちゃんと会話で返せばいいのに僕は君の言葉尻をとって「そうそう僕もそう…」と自分も同じであることをアピールした。今思うとこの対応は完全に間違っている。

 君はあの時あまえていた、私の思い受け止めてよ見たいな感じで、だから、それを受け止めてあげればよかったのに、僕は受け止めず横に流してしまい、あろう事があまえ返すという行動をとってしまった。自分もそうなんだよ、この感じ受け止めてよてな感じに、あまえようとしたらあまえ返された君はしらけてしまった。たびたびそんな事あったと思う。

 人の想いは受け流すくせに自分の想いは遠慮なくぶつける、そんな欠点というか、属性を僕はもっている。当時は気づけなかった僕のむかつかれる理由であり、欠点だ。なのに君は優しかった、本当に君は凄い人だと思います。

 僕はこの欠点を自覚した、だから、以前よりはコントロールできていると思う。けど、この欠点完全否定はしない、この欠点悪意者には有効だから、悪意を受け流す分にはこの能力欠点ではなく長所になる。だから、否定せずコントロール下に置くよう心がけることにしている。

 以前より少しは大人になれたと思うけどどう思う?何が言いたいかというと僕が君を理解しようと17年頑張って身につけたスキルとはこうしたもの、考え方の事なのです。基本的に僕の性格は変わっていないけどプラスこうした経験から学んだ事が加わり、以前より随分ましになっていると思っています。それを言いたかった。


 余談になるけど僕らの高校が廃校になるという知らせを受けたとき、僕は想像以上に動揺した。意味が解らなかった。なぜそれほど愛校精神があるわけでもないのにこんなに動揺するのか自分でもわからなかった。あれはきっと高校がなくなれば君とのつながりが1つなくなってしまう事に対する恐怖だったんだと思う。僕はおそらくこの先もずっと同窓会に呼ばれることはないでしょう。特に君と同じクラスだった高2の同窓会は。真実にきづいた今、なぜ自分が動揺したのか理由がわかって安心しました。理由が解れば心をコントロールできる。

 事故の遺族が事故原因究明を訴える気持ちが今はよく解ります。理由がわかれば心が落ちつくもの。


 これも余談になるけど当時、高校生の僕は本当に変な人物に見えたと思う、今以上に。こんな事思い出した。ある日僕はこんな事言った。「僕は人を利用している」と、事実ではない。

 非常に誤解を招く言い様、発言の正確な意図は「僕は他の人に何一つしてあげられないけど、他の人から、いろいろ良くしてもらっている幸運な男だ」という趣旨での発言だ。真意を捻じ曲げてでもセンセーショナルな言葉を発して注目されたかったのかもしれない。ぼう政治家の「友達の友達はアルカイダ」と似ている。

 自分の幸運を誇っているつもりなわけだけど、真意がわかる人はしらけるし、言葉どおり受け取る人は僕がふざけて言っているととらえる。完全に意思疎通がすれ違っている状態。こんな事を平気で言う所があった。

 これは部室にいた時の発言だ、この時数名の男子部員とそして君がいた。次の練習の準備をしていたと記憶している。この発言で周りは戸惑った、ギャグなのか?マジで言ってるのか?という空気の中君だけ反応する。君は僕がギャグを言ってるととらえてこう言った「じゃあ私も利用されてるの?」肯定的なもののものすごくテンションが高いリアクション。一瞬周囲が驚く。君のそんな姿他の男子はめったに見ないからだ。僕は見慣れているので冷静に「そうだよ」とギャグで返した。発言の意図はともかくセンセーショナルに発言した以上オチはギャグで落とさないわけにはいかない、そのくらいの分別は当時も持っていた。この時の僕と君のやり取りは、周囲から見ればコントの様に見えたかもしれない、仲良く映る。

 君は周囲の空気に気づき、普段見せない姿を人前でさらした自分にあせって固まってしまった。ここはさらにギャグで落とさないと空気が悪くなる、そのくらいの判断も当時の僕には出来た、だから間髪いれずに「気がつかなかった?」とたたみ掛けた。周囲の空気は解け、なんだギャグかみたいな空気になる。

 ただ僕と君が予想以上に仲がいいことが知られてしまった、後になって君はこの時の件を持ち出した、いかに自分が困ったかと言いたかったのだと思う、だけど上手くそれを表現できない、僕も君が何を言いたいかなんとなく感じるものの、真実に気づいてない事も手伝ってうまく君に返せなかった。君も口下手だったけど僕も鈍感だった、けど不思議と君は軽蔑も不振も示さず、あたたかで優しかった。


 君の文はこう続く

「それがわかってなかったの?それに思うように私に話しかけられなかったことを、私がよそよそしい態度とるせいだって言ってたじゃん。はっきり言ってそれを聞いたとき心の中でずうずうしいのもいいかげんにしてよって思った。もうがまんできないくらい怒ってたんだよ。そのくらいわかってほしかったな。」

 これは手紙の2枚目の最後にあたる部分、前半のピークと言える箇所。この手紙は1度目の破局の時、もう会うのやめようと言われる寸前にもらったものだ、だから君はこの時点では2人の関係をもう終わりにしようとしていた。もう一度復活するとは考えてなかったのだろうか?何にせよ君はここまで怒っていたにもかかわらずもう一度僕と会うようになる。更なる危険を冒してまで、僕はその凄さというか勇気というか、そう、想い…、人に対する想いの純粋さに圧倒される。それもただ圧倒されるだけではない、その想いの対象が自分であるという信じがたい事実を今でも受け入れがたい思い、信じられない思いがする。けど、君は来てくれたしその思いは本物だった。ぼくはそんな君の貴重で純粋な思いの何分の一しか受け止めてあげられなかった事を悔いています。今なら…そんな想いでいっぱいです。

 手紙のこの箇所は僕への不満を表明した中でももっともピークに来るところ、君が当時僕にもっとも伝えたかった部分だと想う。他の文章は削れてもここだけは残さざる得ない、そんな箇所だ。おそらくだけど「そのくらいわかってほしかったな。」の部分こそ君が僕に伝えたかった部分なんだと思う。君は理解されない事を何より嫌がっていた。君は僕が秘密に気がついていない事を承知で付き合ってくれた、けど、怒っているという気持ちすら汲めない僕を諭してくれた。鈍感さにあきれていた、あきれていたけど、軽蔑も嫌悪もしなかった。それでも、最低限このくらいは解って欲しい、そうでなければ君が期待した“秘密に気づく”という行為にはとうていたどりつけない…。ある意味当たっていた。何しろ17年かかったんだもの。

 この手紙、実は第一話を書いた時点ではまだ封印したままで読んでない、内容も忘れていた。だから、読み返してあまりにも第1話と内容が符号するのに驚いた。僕の記憶は確かなもので、妄想でも自分の都合で書き換えた記憶でもない事が証明された気分になった。鳥肌がたち身震いし、読みながら“ごめんやっとわかった”と何度もつぶやいた。多少の美化があるやも知れないけど、君は僕のあこがれの人なんだからそれは許容範囲だと思う、けど、手紙を読むと確かに君はこう考えていたし、そういう思いだったと確信する。泣けてきた、あれは本物の好意だったのかと、こんなこと書くと君はあきれてこう思うかもしれない、「今頃きづいたの?おそいわよ」笑顔で。

 想い…、人に対する想いの純粋さ、僕も持っているだろうか?それを知るのは君だけではないかと思います、だから会って確かめたいです。さらなる危険を冒してまで僕に会いに来てくれた君のためにも、これを書き続けたいんです、危険は承知ですが、君がおかしたリスクに比べればこんなもの…。


 こんな事思い出した、僕は時々不可能とも思える事に無謀にも挑戦する。勇気があるわけではない、無謀なだけだ。君への告白が最たる例だった、けど、ぼくのそういう部分に君は共感してくれたように感じた。こんな事思い出したからだ。

 手紙は何度も書いた、覚えているだろうか…ある手紙の中で、君が居てくれれば自分は何でも出来るという趣旨の事を書いた、今よりもダメな当時の僕、けど想いは真剣だった。君は言った「じゃあ今度のテストで1番とれる?」幸せそうな笑いとともに君は訊いた。今思うと僕の動揺を引き出すためのジョ-クだったのだろうか?ともかく僕はそれを真剣に受けとってしまって口ごもってしまった、そんな僕のリアクションをみて笑う君、意図したとおりの反応に喜んでいた。真剣に無謀な事をいう僕を愛してくれていた…そんな気がする。君もある意味無謀な賭けを当時していたわけで、それでそんな感じの想いだったのかななんて勝手に推察してしまいます。けど、想いは真剣なわけで、真剣に取り組めばきっと何かしらが得られると思う。現に僕は時間こそかかったもののここにたどり着いた。君に解放と自由が約束されるまで真剣さを失うわけにはいかない。


 君の手紙の件に戻ります。先に述べたとおり手紙は4枚綴り、2枚目の最後でピークを迎える。ここで謎めいた暗号は消え3枚目から解りやすい文面になる。君は何もわかってない事は仕方がないにしろもうちょっと最低これぐらいは何とかしてと僕を諭す。文面がわかりやすい分グサッと来るが前半の謎と重なってより混乱を招く。僕は当時漠然とこう思った、とりあえずこの理解できる部分だけでもなんとかすれば彼女の謎に近づけるのではないか?と。君の文はこう続いていた。


「私、付き合う人には私自身の心を見抜いて欲しいし、わがままも聞いて欲しい。それに私が泣いたときは慰めてくれて、悪いと思ったら素直に謝ってくれる、そういう人であってほしいんです。これって最低条件でしょ」


 …わかりやすい。そして君らしい。当時この言葉理解できる分圧倒され僕の心を支配した。何かを訴えかけてる、前半の謎の中にその動機があり、君はこう思っている。見抜いて欲しい何かとは前半の僕が読解不能の部分なのだろうと感じた。だから、ここから取り組んだ、自分の理解できる範疇からはじめたんだ。すごいゆっくりとした歩みだったけど。心を見抜くに関しては当時の君の心はやっと理解できる様になったと思う。現在の君に関しては会ってみないとわからないけど、たぶん…大丈夫な気がする。確かめる機会をください、可能ならば。わがままの聞き方は解ったと思う、心がわかれば大丈夫。僕は以前君が泣いたとき何も出来なかった、あんなに目の前で泣いていたのに…、その点は本当に悔いています、償わしてください。そして最後、僕は謝れる人間にちゃんとなりました、当時は謝るという概念が未成熟だったと思う、その点では胸を張って大人になったと宣言します。僕がそう簡単にキレないという話を聞き及んでいるだろうか?この能力は君の言葉に従った結果身についたものです。君と出会ってなかったらとっくにキレてたかもしれない。だから何度も書くけど君は僕の恩人でもあるんです。まさに17年の人生の指標でした、君が僕の人生から否定できない存在である由縁です。

 君がここにいない事実を僕はどうとらえたらいいのでしょう…、なんともとらえどころのない感覚が起こります。進む時間の非常さと暖かでやさしい君の記憶が同時並行的に存在する。この2つを入り混ぜてしまったら僕は自分を見失う、だから強い意思を持ってこの2つを分けないといけない。もし君が帰ってきたら、この2つの垣根を取り払う、けど今は出来ない。忘れる事もできない、真実に気づいてだいぶ時間がたつけど慣れるまでにはいたらない。けどふしぎとつらくはない、虚無とは無縁だ。せつなさとあたたかさがあって、時折思い返すと圧倒される。時折り姿見すがたみで自分の姿をみる、やはり変な姿形すがたかたちだ。なのに君は僕の外見に対して何も不平を言わなかった…、いやみ1つ言わなかった、やせたら?の一言もなかった。


 こんな言思い出した、僕の誤解について。時折君はそんな簡単に私を口説き落とせないわよ…といった態度に見える時があった。心が接近したかと思うとするりとかわす。だから、こっちを試しているんだろうと思った。どうしたら彼女の希望どうりの接し方になるのかいつも霧の中を手探り状態だった。

 君は僕が正解にたどり着くまで君なりに誘導してくれていたんだと今の僕は思う、けど当時の僕は自分が何かしらの彼女の意図する方向にに誘導されてることは感じつつもそれがなんなのか感づく事はなかった。そんな僕からみると君の姿はそんな簡単に私を口説き落とせないわよ…と言っている様に映った。なにせめちゃくちゃかわいい女の子だそれくらい言いかねないと考えていた。それが君の導く姿だとは気づきもしないで…。そしてそんな僕の態度がどれほど君を傷付けたか想像するだけでなんともいえない感覚に陥る、君が怒っていた姿、憤っていた姿、そんなになりながらも最終的に優しかった君の姿は忘れないし心に焼き付いている。高校時代もう会わいと決めたと伝える君の電話、まるで連絡事項を伝えるがごとく感じだった(まるで言わされてるみたいだった、事務的で客観的で)。あの時は彼女にとって自分はその程度の存在だったのかと打ちのめされた、でもその後学校で時折見る君はいつもの君だった、さげすんでる様子すらない。あれが君のやさしさだった、僕を傷つけまいと頑張ってくれていた姿だったと気づくまでこんなにかかった。僕は君をあんなに傷つけたのに君はやさしかった。あの時の電話の時の君をあんなふうにしか思えなかった自分を思うと泣きたくなります。連絡事項を伝える様な感覚でなければ言えなかったんだね?やっとわかった。


 僕の気づいてない姿を見て思うところがある人間は君以外にもいた…と思う、こんな事思い出した、考えすぎだろうか…部活のメンバーとカラオケに行った、君は別室で女子といた気がする。男子メンバーで一室占拠し僕も何曲か歌った。流行り歌は知らない、完全に浮く事は知っていたけど松任谷由実の「卒業写真」を歌った、理由も解らずこの曲が好きだった、今思うと無意識のレベルで真実に反応していたんじゃないかと感じてしまう歌の好み。もし何もかも知ってる人間が僕の「卒業写真」を歌う姿をみたらどう思うだろう…、事実歌い終わってあいつにこう言われた「お前が歌うとなあ…」と苦虫を噛み潰すような顔。ヘタとか似合わないとかそういうリアクションではなかった、何か見たくないタブーを見せられたような顔、彼はどっちだったんだろうか…?メンバー中2人はそうに違いないと確信を持ってるがそう態度に示したのはその2人以外の彼だった。最近YouTubeで「卒業写真」を聞いてふと思い出した。


 こんな事思った、以前にも書いた。木曜日神社で待っていると君は言った。

「いないかと思った」

 書いた時点では“本当に僕が約束どうりいるか不安だった”と解釈していたけど、もしかしてあれは、僕が何者かに何かされてしまうことを心配しての発言だったのだろうか?そういえば心配そうに感じたのは僕の記憶ちがいだろうか?あの時の顔と僕が机から落ちそうになって心配してくれたときの顔が同じもののように感じたのを覚えている、仮にそうだとしたら、僕は今も生きています。

 あの東京での信じられないような何千人単位の攻撃…、電車の車両や路線や時間をいくら変えてもいるあの恐怖、朝起きると10年近く住んでて一度も無かった低空でのヘリの来襲、同じく10年近くいて一度も無かったのに急に窓の外の電車が速度を上げうるさくなり、必ず僕の部屋の付近で警笛を鳴らす、今まで一度も無かったのに。

 マスコミ、相撲取り、トラック、騒音、自衛官、警察、街角の看板が僕が通るときだけチカチカフラッシュのように点滅するというのもあった、これは他と違い3年気づかなかったけど、他の人がそれを知らないと聞いて気がついた。ここには書けない様な事も含めてなりふりかまわず攻撃するあの猛攻をもすり抜け、今ここにいます。君が心配していた以上の危険もあったけどすり抜けた。

 普通の感覚だったら、世間の人がそんな事するはずない、おかしいのは自分だとなるはず。僕もそう思った時期がある。けど、そう思うためには君との思い出をなかった事にしないとできない、それはできない、というかありえなかった。君は実在の人物だし、君から貰った思い出や記憶は僕の人格の重要な構成要素だ、切り離すなんてありえない。否定できない以上自分がおかしいという考えは間違っていると思う事ができた。もう一度会いたいです。

 ここまで足を突っ込んだ以上後戻りはできない、推理を働かせればこれら事実から信じられないような結論も導き出せる。君はどうおもう?僕は君が帰ってきてくれたら後の事は正直どーだっていい、世の中には知らなくていいこともたくさんあるならそれでいいと思う。けど、君との再会だけは封じてはいけない真実の一つだと思う。実現しなきゃいけない現実だと思う。近くに部屋でも借りて一緒にいられたら最高です。それ以上の幸せがこの世にあるだろうか?


 こんな事も思い出した…僕の勘違いだろうか?以前入部してすぐ辞めた女子下級生の話を書いた、一度だって笑わなかったあの2人。なのに部を去るときトロンボーンの僕と君とあともう一人分のハンドタオルを2枚づつお別れにとくれた。律儀だなとその時は思った。

 君も2年のとき部を去る3年のあの先輩にトロンボーンパート3人からとして送ったプレゼントとは別に個人的に贈り物をしていた。そちらの世界の女の子の間では別れ際に何か贈るというのは何か絶対にしなければいけないものだったのだろうか…。

 なら、別れ際何度も渡す機会があったのに君はなにも僕にしなかった。何ももらっていない僕はがっかりしたけど、本当はがっかりする必要のなかった事だったのかもしれないと急に思った、勘違いかな。何を僕が言いたいか君は気づいているだろうか?

 「贈り物を渡す=最後の別れ」をしたくなかったから2度目の破局の後何も渡さなかったのか…。その代わりキーホルダーや教則本など僕の持ち物を欲しがっていたのを思い出す。訊きたい、あの時どういう気持ちだったのか。


 正直「僕の誤解につい…」からここまでの記述は僕の感想であり、本当のところどうなのか自信がない部分もいくつか存在する、間違いを指摘できるのはこの世で君だけ。会ったらどう思っていたのか聞きたいから答えを用意しといて的感覚で書かれています。けど次は違う。本当は誰にも話したくなかった大切な記憶。


 ここまで来たらもう書いていいでしょう、プレイボーイの真似をして君を口説いたあの時、普段の僕なら絶対言わないセリフで君を口説いた。君は真っ赤になった、そして僕のまねをして「私もお芝居」っと言って素敵な事をしてくれた。覚えているかな、あれは春、まだ神社で会い始めてそれほど時間がたってない頃だと思う。

 君と僕は60センチくらい間をおいて向かい合っていた、辺りは真っ暗、明かりもなく2人きり。

「私もお芝居」

 と、一呼吸置いて君は僕に駆け寄った。そして、

「大好き!」

 と叫んで僕の口に駆け寄ってキスをした。あまりの出来事に呆然としてしまう僕、君から「好き」なんて言葉言われるとはまったく思ってなかった。君は唇をはなしにっこり微笑んだ。

「私もお芝居だからできるの」そう君は言った。

 ごめん…今だから正直言う、嬉しかったけど実はこう思った。芝居でしか言えないって事は本気じゃないのか?って思った。

 芝居じゃなければっていうのは…芝居なら言える。なぜならそこは現実のしがらみから解放された世界だからだ。しがらみのない世界でなら本音を言えた。そうだったんだね。

 こんなに…なんだろう、言葉が上手く出ない。なんだろう、人から好きって本気で言われたのはあれが初めてだったのにそれに気がつかず、ホントぼくは、君はすてきな人です、表現する言葉が出てこない。

 できすぎてて信じない人がたくさんいる訳がわかる。何故話したくなかったか?誰も信じてくれないから。けど、どこかで書きたかった。だから、今伝えます。


 僕は意外と口が立つ、口達者な部分がある。実益が無いのが残念だけど。そして君は手紙のなかでこう指摘する…

「■■くんって自分の考えが正しいと思ったら変えない所があるでしょ。」

 確かにその通りです、君が当時いくらヒントを出していても全て自分の中で勝手な解釈をして納得して君の訴え、目に見えない静かな訴えに気づきもしなかった。それに、これはあの夏祭りの日の後に貰った手紙だ、これはあの時の君の話してはいけないおにいちゃんの話を聞き流した時の事言ってたんだね。罪深い、自分の業の深さを痛感せざる得ません、今からならまだ引き返せるギリギリのところだと思うんです、本当の本当にギリギリのライン。今なら引き返せる、リセットとまでは行かなくても正しい形に戻せる、譲れないものがあると本当に心から自分が思える時はわがままを通していい時です。随分我慢したはず、そのくらいのわがまま誰がとがめることできるんです?愛はそれくらい重い想いなんです。スイマセンなんかキザな事書いてしまって、でも伝えない訳にはいかないものですから。

 強い口調できみに「来い!」と。「あとの面倒はみるから」と会ったら言いたい。たぶんこれが聞きたい言葉なのではと、もし外れていたらごめん。仮定にもとづいてここまで書くのに戸惑いはある。けど、現状推測をもとに書くしかなく、過去の君ならともかく現在は…、話をしたい、話した上で意思を表明するのが本来の筋だけど、でももうここまで来たら勘違い野郎とか思われてもかまわない、もう2度と会えないなら全てを伝えないと。だから、恥ずかしいのを承知で書きます。笑われてもかまわない。

「後の事は面倒みるから、信頼してこっちに来て欲しい。」


 君の手紙はこう続く…

「時には考えをかえることも大事だと思うし、わがままをきいてあげることも必要だよ。(中略)話をするのが下手だって言ってたよね、私もそうなんだよ。(中略)でもだんだんわかってきたと思うけど、私難しい話されるときかなくなったでしょ。これにもいろいろ意味はあったんだけど…」


 この局面でこれを読むと読む人によっては曲解する。


 この手紙はあの夏祭りの日の僕の態度に憤慨して書かれている、だから、これはあの日の僕の態度にたいする憤激なのだと解釈するのがもっとも正当だと思う。おそらくここにはこう言いたかったんじゃないだろうか。


 頭で考えるのではなく心で感じて、そうすれば私の心の訴えが解るはずだから、


 彼女の心の訴えに対して心でなく頭で考えて返してしまっていた、そんな僕の態度がつらかった、そんな意味だと思う。実際の手紙も「…」が文章の最後につく、この先に語りたかった心内を今なら話してくれるだろうか。


 会いたい…、ものすごく会いたいです。自分がこんなに素直に人を想う日がくるなんて信じられません。何故会えないのかを考えるともたない、ただ純粋に会いたいと思い続けるほうが健康的なんでしょう、たぶん。君のあの笑顔がただただ好きで好きでたまらなかったあの日のように、君の存在にただ圧倒されていたい、そんな今日この頃です。

 こんな事を思い出した。あれは2回目の破局のあと、もう会わなくなった後の事、何度か電話をかけた。今と違いケータイのない時代、こっそり隠れて話を電話でするなんて不可能だったはず。

 あの時チャゲ&飛鳥のフィルムコンサートというのが公会堂でやると聞いてさそった。断られたけど、なんだか、聞き分け訳の無い子供をがさとすような口調だった。嫌悪も侮蔑もなく、けど断られた。そんな事思い出す、あそこでかなり諦める方に傾いた、けど、その後君は再び僕の前に現れた。簡単に諦めるのは軽率だと17年前の記憶が教えてくれる。


 君の手紙はこの後僕が君の心を理解できない様子を語る。一歩的に責めるのではなく、諭すように。恨みぶしはない、1度僕を受け入れてくれていた後だ、たぶん、僕の長所と短所と天秤にかけて推し量っている。いいところもあるのに、こんなところがダメなのよとういう感じで、人が聞いたらなに都合よく解釈してんだと思われてしまうが、君は文章の中にこんな文を混ぜ込んである

「口下手だって言ってたでしょ、私もそうなんだよ」

「長々とぐち書いちゃってごめんなさい」

「この文よんでもあまり気を落とさないでね」

 涙が出るほどうれしいけど、君はまちがっている。

 この僕という人間は気を落とす以上の感情をぶつけられてはじめてその意味を悟るタイプの人間だ。ある意味その辺は君も同じだと思う。本物の感情をぶつけなければ相手には伝わらないんだ。と僕は思う。

 けど、君は口にするタイプではなく行動で示してくれた。それに気づきそうできづけなかった僕。


 21話を読んでください



 君が頑張れるなら、僕も頑張れる。


 何か言われたら、こう言ってください。

「私には命をかけてくれる人がいる、この人は私を邪魔になんか決して思わない人よ」と。


なにか、そちらの世界なりのいい訳があるのだと思う。 

 …でも、そんなもののために、1度しかない人生を犠牲にされるのは間違っている。

「今度はあなたが人の都合を聞く番よ、さんざん他人の都合を無視してきたんだから、文句は言わせないわよ!」と、言って良いと思う。


 君に読んで欲しい本がある、日蓮の現存する正筆御書、一度見てください(周りにもすすめてください)。誰かが邪念に負けた、けど天は見放さなかった…そういう事で全て矛盾しなくなると思うのですがどうなのでしょう。君が「埋没費用サンクコストの呪い」にかからず、冷静な判断が出来る事を心から期待します。


 三界に家を建てるには、君が必要です。遊ぶ金ほしさの連中に負けないで!

「間違いに気づいたの、だから関係ないわ」と言う権利を君は十二分に持っていると思う。


(この物語はフィクションです登場キャラクターは実在の人物・団体等とは一切関係ありません。)

   


〔メンテナンス中でもあきらめずに何度も“更新”を押せば意外とつながります。〕この物語はフィクションです、それはそれはこわい都市伝説風恋愛ストーリーです。けっして現実ではありません。だから訂正も修正も削除も受け付けません。フィクションです。真に受けないでください。とくに年配の方。この物語の登場キャラクターは実在の人物・団体等とは一切関係ありません。リアリティーを追求した描写が売りなだけです。フィクションです。特に既婚女性を意識して書きました、細かい描写も注意してお読みください。著作権法上の権利者である私が原文のままのコピーに関してのみ許可します。1文でも付け足したコピーは違法です。ご注意を お金に興味はありません、心の充足が大事です。同じ物語を彼女側から書いたものも構想中ですが、女性心理がわからず苦戦しています。アクセスができなくなる前にぜひ感想をおよせください


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