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「アナト……この辺にどこか泊まるところある?」

「まだ、一日も歩いて無いわよ」

「えー、でも……どこか泊まれるところがあるか知って置くのもいいと思わない?」

「もう少し歩くと、街が見えます」

 突然、アーサーが言った。

「本当!?」

「はい」

「じゃあ、はりきってその街まで行こう!」

 俺ははりきって歩き出す。

「でもさ、アナトの上司の人も、自分で来ればいいのにね」

「上司は……忙しいから……こんなことのために来たりしないわよ……」

「そっか……」

 アナトの上司の話で、ちょっとだけペースが落ちる。

「アナトの上司も会ってみたかったな……」

「会えるわよ。ちゃんと旅が終わればね」

「え? そうなの?」

 俺、てっきり書類にサインして終わりだと思ってた。そうじゃなかったのか……。

「そうよ」

「ふーん。じゃあ、やっぱりはりきって次の街へ行こう!」

 なんだか、少し落ちたスピードが戻った。なんでだろう? そんなにアナトんp上司に会うのが嬉しかったのかな? まぁ、いいや。

 しばらく歩くと、小さいけど次の街が見えてきた。

「よし! 今日はあそこに泊まろう!」

「はぁ、なにを言ってるの? まだ日は高いわよ?」

「俺、元ニートだったから、もう歩けない! この体も、元病人だったから歩けない!」

 そう言って立ち止まる。

「もうっ! 仕方がないわね! 元病人とか言われたら休むしかないじゃないの!」

「元ニートはいいの?」

「それは、考慮に入れない!」

「そんな……」

 元ニートには人権は無いんだろうか……。悲しすぎる……。でもまぁ、休みは勝ち取った! 俺の勝利だ! そう考えて俺は歩き出した。そうでも思わないとやってられないよね?

 この小さな町でもアーサーが役に立つ! 良い宿を見つけてくれた。

「いやー、アーサーありがとう! 役に立つよ!」

「いえ。お役に立てたなら嬉しいです」

 アーサーはいつも低姿勢だなぁ。もっとこう、王子様らしく高飛車でもいいのに!

「ついでに、この辺の名物ってなに?」

 食べ物も聞いちゃおう。

「うーん……」

 少し考える。アーサーでも分かんないのかな?

「芋ですか……?」

「芋? 美味しそう!」

 アーサーも顔がホッとする。

「さっそく食べに行こう!」

「えー、せっかく宿に入ったから休みたい」

「私も~」

「じゃあ、アーサーと二人で行ってくる!」

「そう。だいたい蒼真、その身体は元病人じゃなかったの?」

 あ、やべぇ。

「アーサー行こう!」

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