一
数日後、俺たちは旅だつことにした。何度も呼び止められ、なんだか出発が遅くなったけど……。クロとルキウスのこともあっらし、仕方が無いよね。
「蒼真、私がいなくても平気?」
「平気じゃないよ!」
「そっか……。でも、通訳出来るのは私たちだけだし、ユーリもここを気に入ってるし、それに、戦える訳じゃないからね」
「そんな! 戦えないなんて関係無いよ!」
「ありがとう!」
やっぱり。気にしていたのかな……。戦えないこと……。でも、それだけじゃないんだよね。同じ転生者だってこと、すっごく嬉しかったんだ……。
「もう、会えない訳じゃ無いんだから、そんな顔しないで!」
「うん」
そうだよな。ここに来れば会えるもんな……」
「そうそう! 早く予定を終わらせて遊びに来てよ!」
「そうする!」
うぅ、名残惜しいな……。でも、ここは心を鬼にして! ルキウスにバイバイと挨拶をする。アーサーも、身分を明かして、王様と色々小難しい話をしてたけど、なんだか終わったみたいだし、出発するか!
こうして、俺たちは、エルフの里を後にした。
「それにしても、ルキウスが残るとは思わなかったな……」
「そうね……。でも、あのイロンの通訳が出来るのって貴方たちしか居ないから仕方が無いんじゃない?」
「イロンじゃなければなぁ。そうしたら、一緒にいられたのに……」
「まっ、仕方ないわよ。この世界の財産法と、蒼真が居た世界の財産法も違うしね」
アナトは俺を慰めてくれてるのかな? まぁ、仕方がないと思っておこう。
「あっ、そういえばアーサーは大丈夫だった? なんか小難しいこと話してたけど?」
「はい、大丈夫です。おかげで、エルフと交流を保つことが出来ました。とは言っても、少しずつですけどね」
「なら、良かった。よし! 気持ちを新たにして先へ進もう!」
「賛成!」
「んで、どのくらい歩くの?」
アナトが考え込む。
「道を外れているから、三日ほどプラスね」
合計六日も歩くのか……。やだな……。だって、俺……元ニートよ? そんなに歩けるわけないよね? でも、アナトもイシュタムも、アーサーさえも文句を言わない……。まぁ、歩くしかないのかな……。せめて一日……。って、あ、そうか! 一日歩いたら、もう歩けないって言えば良いんだ。うん。そうしよう。




