エルフの里を出たら死にかける
次に日の昼、クロをどうするか決めていた。話は半分ほど決まっていたので楽ではあったが、それでも少しでも良いようになるように、俺も一生懸命に説得をする。
「もしかして、勘違いかも知れないけど、そのイロンって……話題になっていたイロン?」
「話題?」
「うんそう。ものすごく賢いイロンが居るって話したよね?」
「あっ、そういえば!」
聞いた聞いた! 確かに聞いた!
「ねっ! クロそうだよね?」
『分からない』
えーそれだと話が通しやすかったんだけでな……。まぁ、仕方がない……。
「クロは、分かんないって……」
「そっか……。クロって名前からしてそうだと思ったんだけだ……」
ん? エルンなんか名前が関係してるの?
「名前?」
「そう、名前……。いなくなった、賢いイロンも名前はクロだった」
「クロ……。そうだよ! 絶対そうだよ!」
「うん」
「クロは、俺じゃない私のことも助けてくれたし、悪いやつじゃないよ? 本当に!」
一生懸命、みんなに訴えるけど、今ひとつなんだよな……。王様、ここは一つお願いします……。なにかガツンと一つ言ってやってください……。俺は、そう思い王様を見る。
「あのー。一ついいですか?」
突然、ルキウスが話始めた。
「俺、そのイロンが話していることが分かるし、ここに残って、通訳をしようかと……」
へ? 今なんて言った?
「ルキウス?」
「あ、蒼真には一緒に行くって言ったのに、悪いけど……」
「いや、それならそのイロンも一緒に来ればいい!」
「でも、このイロン……誰かの財産なんだろ? それなら、ここにいないと……」
「うっ……」
「本当にごめん……」
通訳出来るのが、俺とルキウスのみだものなぁ……。あ、女神二人は除く……。仕方が無いのかな……。
「二人しか通訳出来なきから仕方がないけど……」
寂しくなるな……。
「それなら、良いでしょう? 通訳がいるから、何を考えているか分かるし……」
「まぁ、それなら、少し様子を見てもいいかもしれないなぁ……」
王様が、認めた? 少しだけでも、クロの首が繋がった!
「そう! クロはいると便利! 絶対に便利!」
「とういうことで、この話は終わりだ。そのイロンは、私たちみなで様子を見る」
「クロ! 良かったな! めちゃくちゃ良かったな!」
『あぁ』
俺は思わずクロに抱きついた。クロも少し嬉しそうだった。




