十八
「まぁ、転生者に関しては、神様でないと分からないし……」
「そうだね……。記憶がないだけで、皆、転生者じゃないかって思えるよ……」
ルキウス……その発想は無かったわ……。ルキウスと話していると、クロが起きてきた。
『おはよう』
「おはよう。クロ」
「おはよー」
俺たちは挨拶を交わす。
『そういえば、思い出したことがある』
「本当?」
『あぁ。夢で見たから、本当かどうかは分かたないが……』
「それでも良いよ!」
俺たちは、ワクテカしながらクロに向かう。
『私は、人間だった。吾郎と呼ばれていた。犬や猫にものすごく懐かれていた』
ん? 犬や猫に懐かれる吾郎? なんか記憶にあるな……。
「吾郎って……橋本吾郎?」
『確かそんな名前だった気が……』
「吾郎? 高校のときに仲の良かった吾郎? 犬や猫に懐かれまくってた吾郎?」
「知ってるの?」
知ってるも何も、高校のとき、仲の良かった相手だ。
「うん……」
クロも不思議そうに見ている。
「俺、蒼真だよ! 秋鹿蒼真!」
『そう……ま?』
「うん! 覚えてない?」
クロがしばらく考え込む。
『あぁ。なんとなくだが思いだした……』
「良かった……。覚えていた……」
「友達?」
「うん!」
あぁ。こんなところで友達に会えるなんて!
「懐かしいな……」
『すまないが……、まだ、全部を思い出した訳では……』
でも、嬉しい! 思い出していなくても嬉しい! あっ、でもここに居るってことは……向うの世界で……。俺は、クロを見る。クロも俺を見返していた。
「前の世界で、やたらめったら犬とか猫とかに好かれていたよな? 今度のこともそのせい?」
『おそらくは……』
「そっか……。まぁ、体質だとしょうがないよな……」
うん。このまま、うやむやにしよう……。
「ルキウス……このまま、うやむやでもいいかな?」
「まぁ、言ったって信じてもらえないからね……」
「よし! 全部、忘れた!」
「うん! 忘れた!」
うんうん! これで決着が付いた。良かった。後は、クロをどうするか……だよな……。
「クロ、クロはこの先どうしたい?」
『と言われても……』
「まぁ、急すぎるか……。考えて置いて?」
『分かった』
後は、エルフを説得すればいいかな? 半分は説得出来ているし……、後、もうひと押し? ってな感じで、クロの将来のことを考える。




