十三
「そっかー頑張らないと! せめてアーサーぐらいにはなれるといいな……」
「なれるよ!」
「うん」
俺は、アーサーみたいになった自分を想像してみる。ないない……。無理だわ……。
「ところで、野獣のことだけど、なんとなく統率が取れている感じがするんだよね……。なにか情報って無い?」
「うーん……」
エルンが考え込む。
「あっ! そういえば、すっごく賢いのが生まれたっていってたな……。でも、関係ないか……」
「すっごく賢い? 何が?」
「んーと、人間世界にいるかどうか分かんないけど、家畜を集めたりするのを手伝ってくれるイロンっていう動物がいるの」
ん? 犬見たいなものかな?
「なんか、びっくりするぐらい賢くて、こっちの言葉が分かってるんじゃないかって話題になってた」
やっぱり犬?
「でも、今の野獣騒ぎのときに、どうなったのかは分かんない」
「うーん……。そっか……」
「まぁ、でも、関係ないけどね」
でも……なんか気になるなぁ……。
「じゃあ、私行くね!」
「あっ、うん。またね」
お互いに手を触り合って分かれる。それにしても気になるな……。犬? でいいや。なんだかよく分かんないし……。夢のせいかな? なんか犬とか猫とかたくさん出てきたし……。うん、きっとそうだ。夢にたくさんの犬や猫が出てきたからだ。俺は、バルコニーを後にして皆の寝ている部屋へ向かう。
「なんかウサギみたいのでいいから、一匹捕まえられないかな……」
「ウサギって?」
「あっ……」
アーサーには分かんなかったかな?
「草食の耳が長い小さい動物」
「あぁ、ミーロンのことですか?」
「ん? そう言うの? こっちでは?」
「そうだね」
ルキウスナイス!
「ウサギがダメなら、リスとかでもいいや……」
「難しいかも? 今、家畜も攻撃的になってるんでしょう?」
「そうなんだよね。せめて、範囲とか知りたかったな……」
「範囲?」
アーサーが不思議そうに尋ねる。
「うん。野獣になるのは、どの辺りからなんだろうって……」
「そうですね。あまり広い範囲ではないかと」
「アーサー分かるの?」
「おそらくですが、野獣に襲われるようになってから、すぐにここに辿り着きましたし、そんなに範囲は広くないかと」
「アーサー! 凄い!」
お陰で範囲は絞れた。後は、原因だけど……。これが分からない……。
「原因……原因か……」




