十二
「うん」
ルキウスがなんだか納得しないような顔をした。
「さてと、今日も手伝いかな」
「手伝いは、私たちがやっておくから、蒼真たちは休んでて」
「え? ダメだよ! そんなこと!」
俺は、ルキウスの提案に断りを入れる。
「私なんて、知識があっても、魔力が無いから戦えないし……」
「そんなこと無いって!」
そう言うと、ルキウスが嬉しそうな顔をする。
「いいから! 休んでて!」
ルキウスは、そう言い残して部屋を出ていった。やっぱり、戦えないこと気にしてるのかな……。俺はルキウスの出ていった後を見る。まだ、皆、寝ている。戦ったりして、疲れてるんだろうな……。仕方がなく外の見えるバルコニーへ移動することにした。
バルコニーには先客がおり、俺は挨拶をする。
「おはよう」
「おはようございます」
エルンは、少し嬉しそうな感じで挨拶をした。
「こんな朝早くにどうしたの?」
「なんだか眠れなくて……」
「そっか……」
まぁ、訳も分からない事象に巻き込まれていると思えば、それは頷ける。
「ソーマこそ、どうしたの?」
「うーん。同じ……。なんだか目が冷めちゃった」
「野獣のせい?」
「まぁ……ね……」
「……」
エルンが黙ってしまった。そりゃ、意味不明のこんな現象、嫌だよね……。なんか、話題を変えた方がいいのかな?
「そういえば、エルフってなんで人間から隠れてるの?」
「あぁそれは、数が少ないのと、長寿のせいだね」
「うぉ。やっぱり長寿なんだ……」
「長寿のおかげで、一部の人間は良い思いをしないからね……」
「やっぱり、そうなのか……」
自分たちよりも遥かに生きるのが長いなんて、確かに羨ましい……。
「大変だね……」
まぁ。俺には長寿とかどうでも良いけど……。将来、この魔法で家族を楽に暮らさせることが出来たら……。
「うん。でも、人それぞれなんだなぁって思ったよ」
「そう?」
「ソーマみたいな人もいるしね」
そっか……。まぁ、アーサーとかだいぶ人が出来ているし……。女神二柱は置いといて、ルキウスも人が出来ている。ユーリちゃんは、まだ良く分からない……。
「そうそう! その意気!」
エルンの応援が入る。俺も、せめてアーサーぐらいになれるように頑張ろう……。いや、アーサーだとレベル高すぎか? じゃあルキウス? でどうだろう? まぁ、頑張るしかないか……。




