九
「いえ……それが……我々にも分からず……」
「そっか……分かんないのか……」
見た感じ、あらゆる野獣が居るようだった。大きいのも、小さいのもいた。
「アナト、原因わかる?」
「うーん……。ちょっと分かんないわね……」
「そっか……」
俺はアーサーを見る。何も分からないようだ。イシュタムは論外。
「もしかしたら、繁殖期と違う?」
「繁殖期?」
俺の言葉にルキウスが頷いて答える。
「そうなんですか?」
「それなら、分かるはずだが……」
王様がそう答える。うーん……なんだろう?原因を考えていると、一人の若い? エルフ」がやって来た。
「王様! 南の地区が!」
「えっ?」
王様と原因について考えていると、そんな言葉が耳に入る。
「南の地区だな。分かった」
王様が返事をすると、ちらっとこちらを見ながら若い? エルフが立ち去った。エルフって年が分かんない!
「王様。南の地区は避難終了です」
とか思っていたら、年取ったエルフが現れる。
「そうか。ご苦労……」
「南の地区へ行きます!」
アーサーが、急いで飛び出す。
「俺も!」
慌てて後を追うように、俺も飛び出す。
アーサーがクマのような野獣に立ち向かう。俺もオオカミ? のような野獣に向かう。アナトは今回は真面目に働いている。イシュタムは……うん。どうでもいいや。また、なんか厨二な技名を唱えている……。
俺は火を放ち、アーサーは剣で相手を切っている。アナトは何をしているのか分からない。また、蒼真の世界では解明されていないから。とか言うんだろうな……。気を取り直して大量の水を出した。多くの野獣が窒息死する。
「これ……殺さない方法ってないのかな?」
思わず、口にする。原因も分からないのに、皆殺しなんてないよ……。なんだか、野獣がかわいそうになってきた。
「魔法でどうにかならないんですか?」
魔法ったって、そんなに便利なもんじゃない。ただ化学式を変換しているだけだし……。
「無理……」
アーサーにそう答えながら、風を打つ。
「あら方片付いたかな?」
「そうね」
「アナト、今回は働いてたじゃない」
「私だってたまにはね」
アナトが胸を張って答えた。相変わらず胸は無いけど……。
「私も~働いたよ~」
「うん。イシュタムのお陰で助かった」
なんか段々イシュタムの使い方が分かって来た。
「次は~新しい技をみせるね~」
「うん。期待してるよ」




