七
「なので、私一人で助けに行きます」
「えっ?」
「自分から付いて行くと言ったのに、申し訳ありません」
アーサーが、突然、我々から離れると言い出した。
「ちょっとアーサー!」
申し訳ない顔をしながらアーサーが言う。
「困っている人を見捨てられません。私一人でも、なにかの役にたてればと思います」
真面目だな……アーサー……。アーサーが頭を下げている。どうにかならないかなぁ……。そうだ! 俺も、なにかの役にたつかもしれない。
「ね、アナト! 俺たちもついて行っちゃダメ?」
アナトが何かを考える。
「何を!」
「んーどうせ、10年はかかるはずだし、旅の扉のようなもので短くなっているし、数日ぐらい良いわよ」
「やった!」
「ですが危険です!」
「えー、俺たち女神と転生して無敵? になった者たちだよ?」
アーサーがあっという顔をする。
「ということで、エルフのところへ行くのは決定!」
アーサーは頭を下げる。
「ありがとうございます!」
エルフも頭を下げる。うんうん。可愛いなぁ。
「あ、私は役にたたないよ?」
ルキウスが言う。
「えー! 物凄い癒やしだよ? ユーリちゃんと一緒に?」
「それなら良かった……」
「うん。一緒に行こう」
ルキウス色々と考えてるんだな。役にたたないなんてこと無いのになぁ。
「んじゃ。エルフ……さん? の体調が戻り次第、出発!」
「あ、名前はエルンです」
「エルン? 分かった」
エルフの名前が分かったし出発! 性別が分からないけど……聞いたら失礼かな……。まぁ、親しくなったら分かるよね?
「あの……私は大丈夫ですので、今すぐに里へ向かいたいのですが……」
「本当に大丈夫?」
「はい」
しばらく考える。急ぎたい気持ちも分かるし……行っちゃう? 様子は移動中でも確認できるし……。
「じゃあ、行っちゃう?」
「はい!」
エルンの返事に出発を試みる。
「本当にありがとうございます」
改めてアーサーが頭を下げる。
「いいって! 困っているときにはお互い様!」
「はい」
アーサーは少しホッとしたような顔をした。アナトは変わらず乙女モード……。うーんイシュタムは分かんないや。
「よし! そうと決まれば出発だ!」
俺は出発の宣言をする。
「あ、アーサーは、エルンのこと見てて! まだ本調子じゃないと思うから!」
「分かりました」
「あの、私は大丈夫です。一刻も早く里へ!」
「うん。分かってる。念のためにアーサーに頼んだだめだから」
そうこうしているうちに、出発することになる。野獣100匹ってどれぐらいなんだろう? アナトたちは大丈夫として、俺、ルキウスとユーリちゃんを守れるんだろうか? 不安だらけだけど、とにかく急ごう。




