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宿屋に着くとフードを被ったエルフを寝かせる。そっとフードを取り外し、素顔を見た。

「うぉー! やっぱりきれい!」

 フードの下には、綺麗な金髪と顔がある。

「でも、男? 女? どっちだろう? 声だけ聞いていると女みたいだけど……」

「うーん……。分からないね……」

 ルキウスにも分からないか……。アーサーはどうだろう? 俺はアーサーの方を見る。俺の視線に気がついたのか、アーサーが俺を見た。

「どちらなんでしょう?」

 アーサーにも分からなかったか……。アーサーなら、唯一、身体に触れてるし、分かるかなって……。考えてみたら。アーサーはそんなスケベなこと考えないか……。ジッとフードのエルフを見つめた。すると、突然、彼? 彼女? のまぶたが動く。

「もしかして、目が覚めるとか?」

 ワクワクしながら待つ。やがて、フードのエルフが目を覚ました。

「えっと……大丈夫?」

 うわーっ! 目まで金色だ! やっぱりきれい! と、多少は邪ま? な気持ちでエルフを見る。相手のエルフは怯えているようだ。

「大丈夫だよ! 何もしないよ!」

 俺は、必死で安全を問いいた。やがて、アーサーを見つけると安心したようになる。ちくしょーイケメンめ!

「あの、先程、騎士団に渡りをつけられるとか……」

「えぇ」

「お願いします! 私たちを助けてください」

 ベッドから降り、アーサーの前へ行き、頼みこみように頭を下げる。

「どうしたんですか?」

「……野獣が……」

「野獣?」

 アーサーが尋ねる。

「はい。野獣が私たちの里を襲っているのです」

 へー。魔王が居ないなら、野獣が恐怖の対象になるのか……。

「その数、100はくだらないかと……」

「100?」

 100匹もの野獣……ちょっと大変かも? 俺はアーサーを見る。でも、野獣なんだから、火を炊くとかすれば追い払えるんじゃないの?

「野獣……」

 アーサーが考え込む。

「騎士団は、まず動かないでしょう……」

 エルフの顔が青ざめる。

「なんで? なんで動かないの?」

「基本、騎士団は国の有事に動きます」

 まぁ、それは最もだ。

「野獣は、基本、人の手で追い払えます。そして、人が殆どいない山奥に、部隊を派遣するのは難しいでしょう……」

「えぇー! なんとかならないの?」

「私が出来るのは、騎士団への紹介ぐらいです」

「王子様なのに?」

「王子だからです。勝手に部隊を動かすことは、出来ません。その間に、国にもしものことがあったら……」

「そっか……」

 王子様でも出来ないことがあるんだ……。

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