五
「あ、ごめん」
俺は、謝罪と共に横へどいた。フードを家具ったエルフは、そのまま通り過ぎようとしている。
「あっ、待って!」
ビクッと反応しながら、エルフが止まる。
「君、なんでここにいるの?」
アーサーが言うには、ものすごく少数民族で、交流を絶っているらしい。
「……」
「あっ、言いたく無ければ良いんだけど……。なんでかな? って……」
「……」
すぐに、踵を踏み出し、俺たちの前から消えた。
「あぁ……。エルフ……」
Pレは、立ち去ってしまったエルフに向かって手を伸ばす。
「まぁ、しょうがない……」
ルキウスも同じように、残念そうだ。
「それにしても、エルフが居るなんて、どうしたんでしょう?」
アーサーが不思議そうにそう言った。
「そういえば、めったに会えないって言ってたね」
俺の疑問にアーサーが頷く。
「そうなんです。一般的にその辺を出歩くことなんて無いはずなんですが……」
「うーん……。なんでなんだろう……」
しばらく考えたけど、分からないから仕方が無く歩き出す。
「それにしても、エルフってやっぱり耳が尖ってるんだ……」
「いいな……。ちゃんと見られて……。私なんて、ちょっとしか見られ無かった……」
「また、会えるといいんだけど……」
まぁ、無理かな。王子様でも、数回しか会ったこと無いって言うし……。あぁ、エルフ……。エルフエルフ煩い俺を無視するかのように、アナトが歩みをすすめていく。そんな俺たちの前に、追い出されるように建物から出される人物がいた。その人物は、建物から出されると転んでしまった。
「あっ!」
俺は思わず走り出す。あのときのエルフだ!
「大丈夫?」
俺は、慌ててエルフを助け起こす。
「はい。大丈夫です」
起き上がるとエルフは服に付いたホコリを払う。
「ここで、何をしていたんですか?」
「……」
アーサーが訪ねてもだんまりを決めている。
「この騎士団に用があるなら、私が取次ましょうか?」
フードを被っていても分かる。ものすごく驚いた顔をしている。
「本当ですか?」
エルフはくってかかるようにアーサーに問いかける。
「えぇ」
エルフは泣きそうな顔? をしている。フードを深く被っているから分からないけど、そんな感じだ。
「……良かった……」
そう言うとエルフは倒れれしまう。アーサーがそれを支える。羨ましいぞ! イケメン! とりあえず、どうしようも無いので、アーサーおすすめの宿屋へ行くことにした。




