二
そっか。そうだよな。俺よりも詳しい? かもしれないんだよな。
「魔法って凄いですね」
アーサーが突然、訪ねてくる。アナトは変わらずベッタリとくっついている。
「あーうん。凄いだろう?」
俺は、俺の手柄のように凄さを誇る。
「ああいうことが出来るなんて、初めて知りました」
「まぁ、化学式とこの娘の魔力? によるものだけど……」
同じく、アーサーが隣へ座る。アナトも一緒に座る。イシュタムは、まだ新しい技? の開発に余念が無い。
「化学式は、詳しいことは分からないですが……」
「まぁ、俺の世界でもよく分かん無いやつが多かったな……」
一瞬、アーサーが困った顔をする。
「どうも、見た目とも違いが……」
「あ、ごめんなさい!」
うーん。なかなか難しい。俺、今は美少女だからな……。
「それより、休憩するなら食事にしませんか?」
「賛成! もう、お腹ペコペコだよ」
「じゃあ、ちょっと待っててね」
アナトがそう言うと、異次元から食料を取り出す。
「イシュタム! ご飯にするよ!」
声をかけると、イシュタムが喜んでこっちに来た。
「あ、私は干し肉を持っていますので」
「いいのよ。三日とはいえ、旅に必要なものは、持ってきているから、アーサーも食べて! もちろん、ルキウスたちもね!」
「ありがとうございます!」
「ありがとうございます」
アーサーとルキウスたちは、礼を述べる。アナト……イケメンには弱いからな……。
「うん。美味しいね」
確かに美味しい。温かいものはそのまま温かいし、冷たいものは冷たいし……。これ、どうなっているんだろう?
「ねえ、温かいものが温かいのはなんで?」
「それは、異次元では時間が止まっているからよ」
「え? マジ?」
「蒼真が次元に付いて分かっていれば、使えたんだけどね……」
アナトが溜め息を吐く。
「じゃあ、教えてよ!」
「無理無理!」
「えー。無理かどうかはやってみないと分からないじゃん!」
「あ、私も知りたい!」
ルキウスが手を挙げる。
「仕方ないわね……」
やっぱりアナトはイケメンに弱い……。ルキウスが言うと聞いてしまう。そして、アナトは次元について話し始める。聞いていると、確かに今の科学では解明されていないことが出てくる。でも、分からないってほどじゃ無い。特にルキアスは目を輝かせて話を聞いている。
「へー」
アナトの説明を二人して聞く。アーサーとユーリちゃんは、さっぱり分からないみたいだ。まぁ、俺もちょっとしか分からないからな……。




