一
えーっと。火はCH¬4と2O2が反応してCO2と2H2Oになるっと……。それにしても多いな……強盗……。アナトは乙女モードで戦わないと……。ルキウスとユーリちゃんは仕方がないにしても、お前は働け! もう、これ、人を焼かないようするのは面倒くさいんだよな……。
「いいよー! ついでに、気圧傾度力によって発生する風、いってみようか!」
ルキウスから、応援が入る。ルキウスの言う通り、風を起こした。
「よーし! 次はH2Oだ! ケチケチしないで、どーんと2H2+O2→2H2Oぐらいいってみようかー」
え? それってやばくねぇ? それって、最初に俺が死にかけた魔法……。まぁ。強盗だからいいか。言われた通りの化学式を使う。大量の水が出てきて強盗たちを包む。水の中で暴れている強盗たちのために水蒸気へと変化させた。
「おぼえてろ!」
どこも悪人は同じセリフしか言わない。維持を水蒸気に変えると、すぐに盗賊たちは逃げていった。ふぅ……。これで何人目だ……。それにしても、一体、何人相手にすればいいんだ?
「それにしても強いね」
「ありがとう」
「もう、スカッとした!」
ルキウス褒め過ぎだよ。
「確かに、助かりました」
アーサーも強かったよ。強盗たちをなぎ倒していたもの。
「いや。アーサ―が居てくれて本当に助かった」
それにしても、こいつは働かなさすぎだよな……。俺はアナトの方を見る。なにが、怖―い……だよ。アーサーにくっついて居るだけじゃん!
「いやーん! 怖かった!」
いやいや、全然怖くないだろう? 一応、愛と戦いの女神だろ? 何が怖いものか? アマトは、アーサーにしがみつく。
「女性の方は、怖いですよね」
「そうそう」
なにがそうそうだ。俺は、仕方なく視線を反らす。反らした先にイシュタムの姿が合った。イシュタム」は、なんだか楽しそう。
「ねえ。蒼真。もう終わり?」
「うん」
「なんだ。もっと技を試したかったのに……」
「はははっ」
もう乾いた笑いしか出て来ない。
「疲れたでしょ? 一休みする?」
「あ、うん」
アナトはアーサーにべったりだし、イシュタムは新しい技のことでいっぱいだ。ルキウスが居て良かったよ……。
「でも、すごいね。化学式を言っただけで、あんなに使えるなんて!」
道端の草の上に座りながらそう言った。
「一応、大学では専門だったから……」
「へー」
「ルキウスこそ詳しくて、ビックリした」
「これでも、研究所勤めのリケジョだったからね」




