街を出たら死にかけた
「やだー!」
俺は否定をする。
「やだって言っても、仕方ないでしょう」
「三日も歩くなんていやだ!」
「しょうがないでしょう! 次元に関すること分からないんだから!」
「でも……」
俺はしょんぼりしてみせる。誰が三日も歩くもんか!
「まぁ、私たちの世界では次元について完璧に知られていないからね……」
ルキウスが、救いの手だかどうだか分からないものを言い出す。
「でも、ちょっとは解明されているんだし、魔法を教えてもいいんじゃない?」
「もう! こればっかりは教えてもどうにもならないのよ!」
どういうこと?
「蒼真が、自分で知っていることしか魔法として使えないの!」
え、そうなの?
「んじゃ。仕方がない」
ルキウス、味方じゃないの?
「三日、歩くしか無いわね」
うわーん! ルキウス、君は味方だと思っていたのに……。
「だって、三日だよ? 疲れても歩くんだよ? 無理でしょ?」
「三日ぐらい余裕だけど?」
「へ?」
三日も歩いたことあるの?
「ここに来るまで、三日以上はかかっていたし、三日ぐらい余裕!」
妹とアーサーも頷いている。えぇーっ! 俺だけ?
「でも、アーサーは王子様なんだし、そんなに歩いたことないよね?」
「野獣狩りに行くときなんかは……」
えぇっー! そんな……。
「ユーリちゃんは、歩きたくないよね?」
首を振って答える。
「お兄ちゃんと一緒なら平気……」
ノー! 誰も俺の味方がいない! 俺、現代人だし、ニートだったし、そんなに歩けない! イシュタムは……。ダメか……。なんかどうでも良いような雰囲気……。
「うぅっ」
「まぁ、次元に関しては諦めよう?」
「ルキウス……」
「と、いうことで、歩いて行こう」
俺は涙にむせる。
結局、三日も歩くことになった。
「あ、そういえばアーサー、いつもの鎧じゃない」
「あれは、騎士団の物なので、着替えて来ました」
「ふーん」
「簡単な鎧ですけど、少しはお役に立てます」
うん。見るからにライトアーマーって感じだ。ルキウスも普段と変わらない。アナトとイシュタムは突っ込むだけ無駄だというぐらい、普段の格好だ。
「はぁ……」
俺は溜息を吐く。三日歩くか……。
「んじゃ、出発しよう……」
「そうね。出発しましょう」
俺は、仕方なくみんなの後を付いて行くことにした。途中でへばっても知らないから!




