十六
「いえ、私から……」
ナイス! アナトはイケメンに弱いみたい? だから、そのままいけー!
「え?」
「私が夢に見る世界の話をしました」
アナトが首を傾げている。分かるよ。俺もそうだったから……。それにしてもなんでアーサーが弟の夢をみるのか……。アナトなら分かるのだろうか。俺は黙ってアーサーも説明を聞く。二度目だけど、やっぱり不思議だ。
「ということは、バレていたわけ?」
「そうみたい……」
俺は気になる。どうして弟の夢をみるのか……。
「アナト……。どうして、アーサーが元の俺の世界を夢見ていたか分かる?」
「私も、気になります」
アナトが考え込む。
「前にも言ったけど……ここは、科学と魔法がまだ分離していない世界」
「うん」
「もしかすると、アーサーには夢で何かを知る能力があるのかもしれない」
「それって、分からないってこと?」
アナトが俺を見る。
「そういうことになるわね……」
「そっか……」
アナトにも分からないか……。
「まぁ、分からないものはしょうがない」
いつまでも、考えていたって仕方がない。問題は、アーサーを連れて行って良いか出し……。
「それで、アーサーは連れて行っても良いの?」
「そうね……。まぁ、同じ転生者とはいえ、リキウスも行くし、いいんじゃない?」
アーサーが頭を下げる。
「ありがとうございます」
「いやー。こっちの方が大助かりよ。強盗とか、野獣の心配をしなくてすむもの!」
あんなこと言ってるけど、強盗も野獣も自分で倒しちゃうくせに……。
「ん? 蒼真なにか言いたそうね?」
「いや、なんにも!」
俺は慌てて首を横に振る。
「それでは、私は支度と説得がありますので、これで」
「はーい!」
態度が俺のときとは違う……。いいなイケメン……。
「一緒に行くことが出来て良かったな」
「はい」
アーサーはもう一度、頭を下げてその場から去った。
「それにしても夢ね……」
「なぁ、不思議だよな」
「んー。まぁ、夢で他の世界へ行くことはあるけど……」
「あるの?」
俺は、驚き尋ねる。
「でも、殆ど覚えていないのよね……」
「そっか……」
「まぁ、でも、イケメンとこれからずーっと一緒にいられる!」
嬉しそうにはしゃぐアナト。こうして見るとそこら辺の女の子と変わらないな……。
「どうしたの?」
ルキウスが妹とイシュタムと共に現れた。仕方がない。もう一人旅の仲間が増えたことを伝えか……。




