表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

73/147

十五

「あー。旅に出る準備をしようかなって……」

「旅?」

「うん、そう」

 アーサーが何かを考え込む。

「元々、ここに寄ったのって、そのためだしね」

 アーサーがまだ考え込んでいる。俺、そんなに変なこと言ったかな?

「あの……」

 ん? なにかな?

「その旅に私も付いて行って良いでしょうか?」

 へ? 突然、何を言い出すの?

「もちろん、迷惑はかけません」

「え? ちょっと待って? 付いて来るってどういうこと?」

「そのままの意味の通りです」

 これ、俺一人では決められないよな……。俺は、しばし考え込む。

「俺、一人じゃ決められないし……」

「もちろん、分かっています」

「仕事はどうするの?」

 アーサーは少し考え込んだ。

「父上には、武者修行に行かせてくれるように頼むつもりです」

「あーうん……」

 アナトは大喜びだろうな……。いや、待てよ。もしかすると、反対? するかも……。なに公私混同してるんだーって……。上司に会いに行くのに、知らない人を連れてけるかって……。でも、モネータのせいとは言え、ルキウスの動向を認めたし……。まぁ、ルキウスは、異世界転生者ってこともあったけど……。

「仲間に聞いてみないと……」

「もちろんです」

 どうなることやら……。俺は宿へ向かって歩く。


 宿に着くとアナトが居た。もう、元に戻っているよな?

「ただいま。アナト」

「おかえ……り?」

「あーちょっと川に落ちて……」

「そ、そう……」

 アナトの視線が目ざとくアーサーを見つける。

「え? アーサー? どうしたの?」

 俺と同じくずぶ濡れのアーサーを見た。

「一緒に川に落ちたもので……」

「まぁ、うちの蒼真が何かしたんでしょうか?」

「いえ」

 アナトが目の色を変えている。さすがイケメン。

「俺、ちょっと着替えてくる」

 そう言い残し、その場を後にした。部屋へ戻り服を着替える。バスタオル? のようなもので、髪を拭く。なんとか見られるようになった。急いで、元の場所へ戻る。アーサーのことだから、自分から付いて行きたいって話はしないだろうけど、アナトが何をするか心配だ。

「おまたせー」

 アナトのもう戻ってきたってメがつらい……。

「そうそう。アーサーも一緒に旅に行きたいんだって」

 俺は、何でもないように言う。一瞬、アナトがびっくりした顔をした。

「え?」

 まぁ、気持ちは分かるけどね……。

「一緒に旅に付いて来るってこと?」

「はい」

 アナトがこっちを見る。

「蒼真! あんたしゃべったの?」

「いや……」

俺、何も話してない!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ