十四
俺は、歩いて買い物を続ける。近くには川が流れていれ奇麗だな。とよそ見をした瞬間、ドンッと誰かにぶつかり対戦を崩す。
「あ、ごめんなさい」
相手の謝る声が聞こえた。と同時に。天地が引っくり返る。声も出ない。そのまま川へ転落した。
「うわっ!」
必死にもがく。俺、泳げないんだよ……。水……そうだ水だ。俺は溺れながら水を水蒸気に返る。これで助かった。と思った瞬間、また大量の水が……。ここ、川だった……。
「だれ……か……」
俺の意識が途切れる瞬間、アーサーの姿が、見えた気がした。
「大丈夫ですか?」
ん? あっ? 俺はキョロキョロと周りを見る。アーサーが傍に居た。
「ここ、足が付きますよ」
俺は周囲を確認する。確かに水は胸までだ。
「え、えぇっー!」
「まぁ、初めてだと分からないですよね」
「いやー。俺、泳げないから……」
俺の言葉に、アーサーがなんだかちょっと考え込む。
「分かっていても、男の言葉は……」
「え? あ、ごめんなさい」
俺、今は美少女だった……。アーサーは、なんでだか分からないけど。夢で俺の世界を知っている。俺が男だってことも知っている。
つい、油断したか……。
「いえ」
それにしても、本当にこの辺の平和を守ってるんだな……。と感心する。
「なにか?」
「あーうん。本当にこの辺を守ってるんだ。と関心してたところ」
「この辺は、トラブルが多いですからね」
「王子様も楽じゃない」
「分かってくれますか?」
俺たちは、船着き場から陸へ上がる。
「うん」
うわ、ビショビショだ。髪も服もビショビショ……。陸に上がると、すぐに男の人が飛び出してきた。
「ごめんなさい……」
「ううん。私がよそ見していたから」
笑って返す。
「でも……」
「気にしないで。無事だったんだから」
俺がそう言うと、男の人はなんども頭を下げて去って行った。ふぅ。大変だ。
「すみません……」
俺が落とした人の対応を終えると同時に、アーサーが話しかけてきた。
「なに?」
「前を……隠してくれませんか?」
「え? うおっ!」
服がビショビショのせいで、前が透けて見える。
「ご、ごめん!」
俺は慌てて両手で前を隠す。
「気をつけてください……」
「えへへ……」
俺は曖昧な笑顔をアーサーに向けた。
「送っていきます。それでは、目的を果たせないでしょう?」
「うん……」
アーサーの案内で屋へ向かう。
「ところで、何をしていたんですか?」




