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十二

宿へ戻ると、アナトが居ない。どこへ行ったんだろう? 探してみると、自分の部屋で寝ていた。そうとうつらかったんだろうな……。寝かせて置いてやるか。とても良い寝顔のアナト。うんうん。それにしても、モネータはどこへ行ったんだろう。もう帰ったとか? まぁ、いいか。とりあえず、平和になった。

「ちょっと、いい?」

「へ?」

 俺は、呼ばれて振り返る。そこには、モネータの姿があった。

「あ、うん……」

 なんだろう……。どきどきするな……。俺は、黙ってモネータの後を付いて行く。なんかヤバい話だったらどうしよう……。アナトがああなってるし……。モネータの後を付いて行き食堂ね辿り着く。

「座って」

 モネータが椅子をすすめてくる。

「うん……」

 俺は、大人しく座ることにした。席に付いた途端、注文が入りコーヒーのようなものを二つ注文する。あうぐに、注文の品が届く。その間に、モネータは色々な神を取り出した。

「それでは、聞くわね」

「はい……」

 なんか緊張している……。ヤベーこと聞かれたらどうしよう? って、ヤベーことってなんかあったけ?

「まず、アナトは適切に貴方のことを扱っているかしら?」

「はい……」

「そう。ちゃんと食事は与えられてる?」

「はい……」

俺の食費は経費だって聞いてから、ちゃんとしている。

「そう。なら何も問題は無いわね」

「はい……」

 はいしか言えない。なんつっか、物凄い迫力がある。

「これで終わりよ」

「はい……」

 モネータが立ち上がる。

「貴方、バアル様と合う予定なのよね?」

「はい……」

「では、そのときにお会いしましょう」

 そう言い残し、モネータは姿を消す。俺は残ったコーヒー? のようなものに口を付ける。味がしない……。あまりの恐怖に、舌が麻痺したか? それにしても、物凄い迫力だったな……。もう、はいしか言えないし、何を聞いていたのかも分からない。まぁ、なんとかなるだろう。

 俺はもう一口、コーヒー? のようなものを口に含む。

「あ、美味しい」

 なんか、やっぱり恐怖に口が麻痺していただけか。俺は一気にコップの中の液体を飲み干す。さて、明日の準備があるし、俺も部屋へ行くかな。旅支度もしないとだよな。でも俺、何にも持っていないけど……。まぁ、なんとかなるか……。俺も食堂から姿を消す。



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