表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

68/147

アーサーが深々と礼をいた、

「うん。何かあったらよろしく」

 立ち去るアーサーを見送る。夢……か……。例え夢でも、あの世界にいけるのは、ちょっと羨ましい。俺もちょっとでいいから、戻りたいって思うのはダメだのかな……。それにしても、弟の優真に憑依? してるなんて、偶然だろうか? イシュタムは分からないって言うし、どうなんだろう。

「ねぇ~次に行こう~」

 突然、イシュタムが話しかけてきた。

「あ、うん」

 まぁ、もう戻れないし……深く考えるだけ無駄か……。そう思うと、足を踏み出した。


 宿に戻るとアナトが朝と同じく、死んだ魚のような目をしているのに加え、顔も死んだようになっている。

「アナト大丈夫?」

 アナトは何も答えない。もう、答える気力もないのか……。モネータとかいうのは凄いな……。

「アナト! ここだけど!」

 モネータがやって来た。アナトがあんな風になっているのに、モネータすげえ!

「アナト!」

 遠慮なくアナトに詰め寄るモネータ。なんか、アナトが嫌がっていたのが分から気がする……。

「あ……少し休ませて上げて……」

 モネータがこっちを見る。一瞬、ちょっとビビった。

「そうね。今日はこの辺にしておきましょう」

 そういうと、モネータはその場から立ち去る。正直に言うと、モネータの様子に危機を感じていたのはないしょだ。まぁ、立ち去ったみたいだし、これでアナトもゆっくり寝られるだろう。俺は、死んだ魚のような目と、死んだような顔をしたアナトを残し、部屋へと戻った。


 次の日の朝、ちょっとだけ元に戻ったアナトの姿に、ホッとした。

「大丈夫?」

なんか、機械のような動きをして、アナトが俺を見る。

「無理しない方がいいんじゃない?」

「ダイジョブよ……」

 なんかアナトが変だ。今日は一日、アナトに付いていた方がいいんだろうか?

「アナト?」

「ダイジョブ、ダイジョブ」

 心配だな……。そうこうしているうちに、モネータがやって来る。

「おはようございます」

 俺は軽くモネータに頭を下げた。

「おはようございます」

 同じく、モネータも頭を下げる。

「秋鹿蒼真さん。今日は、アナトと一緒に居るの?」

「え、えーと……」

 モネータの言葉に一瞬、言葉が詰まる。

「俺、出かけます!」

 ごめん! アナト! 不甲斐ない俺を恨んでくれ! 俺は、アナトを置いて、街へ繰り出すことにした。


 アナトは、大丈夫かな? うーん。きっと大丈夫なはず。俺はそう言い聞かせて街へ出る。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ