八
よく分からないが、イシュタムの中では俺は出かけることになっているらしい。
「俺、出かけるなんて、一言も言ってないけど?」
「え~違うの~?」
「……違いません」
素直に認めておこう……。
「なんかさ。テレビもゲームも無いから、部屋にいてもすることないし……」
イシュタムは、俺の言う事を聞いているのかどうか分からないが、話を続けた。
「アナトがあんな風」だから、一休みしてるけど、はっきり言って暇」
本来なら、とっくに旅? に出ていたんだよな。俺、ニートだから外に出たくない。でもそれは、テレビやゲームがあってこその生活だった……。ゲーメ懐かしいぜ……。
「んで、どこいく?」
「え~決めてないの~?」
「うん。決めてない」
はっきり言って、ここが大きな街しか分からない。どこになにがあるのか、イシュタムの方が詳しいはず。
「しょうがないから、街をブラブラしようかな……って……」
「うん~いいよ~」
「よし、そうと決まれば出発だ!」
俺とイシュタムは、とりあえず街をブラつくことにした。ついでに、この街のことも聞いてみよう。アナトは、死んだ魚のような目をして寝ていた。
二人で街をブラウラしている。手には、なんの肉だか分からない串焼きが握られている。
「美味しいね~」
「うん」
二人で肉を食べながら歩いていた。
「そういえば、ここってかなり大きいけどなんて街?」
「帝都だよ~」
「え? 帝都? ってことは、首都?」
「うん~」
「ほえ……」
王子様が居るから、それなりの街だとは思ったけど、首都だったのか……。手にしていた肉の串が無くなった。次は甘い飲み物を手にする。
「甘いね~」
「うん」
二人でほんわかしてしまった。
「そうだ!」
前に聞いたけど、やっぱりなんか納得できないんだよな……。
「アーサーって異世界転生者じゃないの?」
「え~違うよ~」
「違うって根拠は?」
「魂が~こっちの人だもの~」
えっ? そんなこと分かるの? でもそっか……。魂がこっちの人なのか……。
「じゃあ、なんで向うの世界の言葉を知っているんだろう?」
「う~ん。分かんない~」
「そっか……」
やっぱり、直接聞いてみた方がいいのかな? でも、俺の勘違いだったりしたら……。それとも、向うの世界に付いて何か知ってるのかな?
「あ~」
「ん?」
「噂をすれば~なんとかだよ~」
向うからアーサーが歩いてくるのが見えた。
「おはよ~」
「おはようぐざいます」
軽くアーサーは頭を下げた。




