六
「ありがとう。助かった」
「えへへ」
おっと、美少女はこんな風に笑わない。
「ところで、この人だれ?」
「ん? あっ……」
やべー忘れていた……。
「えーと……。この人はアーサー。何をしているのか分からない……」
まぁ、王子様らしいけど、なんでこの辺にいるのか分からないし。
「この辺りの平和を見守っています」
「そうなの?」
初めて聞いた。
「はい」
「それで、蒼真が美少女だから、付きまとっているとか?」
うぉ! 直球!
「いえ。女性だけの旅行者みたいで、何かあれば大変だと思っただけです」
「あ、今は俺が居るから大丈夫だけど?」
なんか、ルキウスの言葉が違う?
「そうですね」
「そうそう」
「では、そろそろ失礼します」
アーサーは一礼してその場を去った。
「こんなんでいいの?」
「え?」
「なんか、嫌なのかなーって……」
「うーん。嫌というか、なんだか怪しい人なんだよな……」
消えてしまったアーサーの後ろ姿を追う。
「怪しいって?」
「あの人も異世界転生者なんじゃって思えるんだ」
「どの辺りが?」
「この世界では無い言葉を知っている? とか?」
そうだよな。変だよな……。
「でも、アーサーは王子様だそうだから、中身が違えば分かるかな? とか……」
「えっ? 王子様?」
「うん。マジ王子様。イケメンで王子様……。羨ましい……」
「本音が……」
うぉ、やべぇ……。
「でも、蒼真の美少女も良いと思うよ」
「えへへ、ありがとう」
「お金、いつもよりも集まるし!」
やっぱり俺が美少女だから?
「それにしても、この世界には無い言葉を知っている王子様か……」
「うーん……。謎だ……」
「お兄ちゃん!」
二人で話し込んでいたら、妹のユーリちゃんが話しかけてきた。
「お友達、もういいの?」
「うん!」
「んじゃ、昼飯でも食いにいくか? 蒼真のは奢るよ」
「やったー!」
「その代わり、後数回頑張って!」
「もちろん!」
「お姉ちゃん、頑張って……」
まだ少し、ルキウスの後ろに隠れたユーリちゃんが応援する。よし、頑張るぞ!そんなことを話しながら、昼飯を食いに街中へ行く。
ふぅ、食った食った、ルキウスがあれも美味しいよこれも美味しいよ。って、たくさんすすめるから、食べ過ぎた。
「食べ過ぎたから、ちょっと休憩……」
「あーうん。私もすすめすぎた……」
二人して広場の芝生に寝転がる。ユーリちゃんは、また友達と遊んでいる。
「そういえば、ここは長いの?」
「転生してからもう結構経つな……」
そんなに前に転生したの?




