五
翌朝、ルキアスとユーリちゃんと一緒に出かけている。アナトは、今、忙しいのよ! と言ったきり、金髪眼鏡の幼女、名前はモニータだったっけ? モネータだっけ? と一緒に居ることになった。そして、暇な俺はルキアスとユーリちゃんと一緒に出かけることにした。
「あ、ちょっと稼いでも良い?」
「いいよ」
「ありがとー!」
さっそく広場へと向かう。単純な手だけど、それでもワクワクする。広場へたどり着くとルキアスは場所を探す。うん。なかなかいい場所を見つけたみたいだ。さっそく準備をする二人。また暇になった。
「蒼真。頼みがあるんだけど?」
「なに?」
「せっかく美少女なんだから、お金を集めて? お願い!」
「うん、いいよ」
暇だと思っていたら、暇じゃなくなった。
「やったー! ありがとう!」
ルキアスは、またユーリちゃんのところへ戻った。さて、お金を集めるって、どうすればいいんだ? 終わったら、この籠を持って回ればいいのか? まぁ、終わったら何か指示があるだろう。準備が終わり、兄弟が魔法を披露し始める。
「うわー」
きれいだな。タネが分かっているけど、それでもやっぱりきれい。しばし、眺めていると、見に覚えのある奴が居た。
「こんにちは」
無難に挨拶をしておくべきか?
「こんにちは」
アーサー……このイケメンめ……。うぉー! 嫌味の一つでも言ってやろうか! って、イケメンに恨みがあるみたいだから止めておこう。
「今日は何をしているんですか?」
「友達の手伝い」
アーサーが何かを考え込む。
「友達って言うと、あそこの魔法を使っている人ですか?」
「うん、そう」
って、あれ? 魔法って言葉はこの世界には無いって言ってなかったっけ? 怪しい……。やっぱりこいつ、異世界転生者なんじゃないの? 聞いてみた方がいいかも? でも、異世界転生者だとしたら、イケメンで、強くて王子様ってチート過ぎるだろ……。俺もそんな転生したかったわ……。いや、あの家族は気に入っているけど……。
「あの……」
「なにか?」
「えっと、その……」
いざとなると、なかなか聞きにくいな……。
「蒼真! お金たのむね!」
「あ、うん!」
ルキアスが近寄ってきた。
「知り合い?」
「うん。後で!」
俺は、籠を持って見学者の中に突っ込んでいった。
ふぅ……。たくさん集まったぞ。これって、やっぱり俺が美少女だから? って、そんなことないか……。ルキアスたちの魔法がきれいだからだよな。
「おまたせ! ルキアス! いっぱい集まったよ!」




