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 ルキアスが悲しそうな顔をした、

「父親は、飲んだくれで仕事もしないで何処かへ行った。母親は、そんな父親が嫌で出ていった。兄妹二人っきりだよ」

 あっ、良かった。生きてた。でも、酷いよな……。

「酷い両親だな……」

「んー。まぁ、気にしてたってしょうが無い」

 ルキアスは強いな……。これ以上、両親のことを聞くのは止めておこう。うん、それがいい。

「ということで……」

 ん? ということ? 

「私も付いて行ってらダメ?」

 えっ? えぇっー! どうしよう……。どうすればいいの? 俺はアナトの方を見る。

「あ、もちろん、食費や宿代は出すから!」

 アナトも困っている……。困っているよね? 困っているはず……。

「いいんじゃない!」

「やったー!」

 えっ? ちょっと待って? いいの? 本当に?

「ア、アナト……」

 俺はアナトの腕を引っ張り、少しルキアスが居る場所から離れた。

「いいのかよ? マジで?」

「今、モネータが来てるから、目を反らすのに丁度いいかなーって……」

 アナトの言葉に溜息を吐く。

「アナト!」

 突然、アナトを呼ぶ声が聞こえる。

「何をしているの? 会計監査を始めるわよ!」

「あ! 今、知り合いの子が来てるから後でにして欲しいな……って」

「知り合い?」

 金髪眼鏡の幼女が考え込む。

「じゃあ、夜に」

 そう言うと黙ってしまった。本当に、夜するんだろうか? アナトは胸を撫で下ろしている。

「あ、そういえば……。広場で芸をしていた子よね? 芸の原理は聞いた?」

「うん。思ったよりも単純だった」

「単純って?」

「妹に化学式を教えていた」

「あら、そう……」

 何だかガッカリするアナト。俺もそうだ……。俺もそうだ……。もっとスッゴイことがあるって思っていた。

「話は終わった?」

 ルキアスが尋ねてくる。いつまでも二人で隅によっていたら変か……。

「あ、ごめん! ちょっと二人で話があって……」

「いいよ。気にしない」

 ルキアス……本当に良いやつだ。転生前も良いやつだったに違いない。

「あ、それと宿屋は決まってる? もし、良かったら、私と同じところにしない?」

 マジで! マジでいいの? 宿屋の情報だ!

「いいの?」

「いいよ。安くて、良いところだよ」

 よし! 宿屋は決まった。文句無いよね? そこでいいよね? そっとアナトの方を見る。うん。なんだか乗り気だ。

「じゃあ、取りあえず宿屋へ行きましょう! イシュタムも文句無いわよね?」

「ないよ~」

 あれ? 金髪眼鏡の幼女には聞かなくてもいいの? まぁ、俺には関係ないか……。取りあえず、宿屋へ向かう。

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