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 そこへ話が終わったのかアナトがやってきた。

「蒼真? 何してるの?」

「アナト」

 近くに寄ってきたアナトが聞く。

「なんか。異世界転生なんだって」

「えぇーっ! そうなの! なんで、ここに来たの!」

「トラックに跳ねられて! 気が付いたらここに……」

「そうなんだ……。それはお気の毒……」

 ルキアスが、明るい表情をした。

「そりゃー、キャリアとか無駄になったし、やりたいこともあったけど、ま、仕方ないかなって……」

「キャリア? 以前は何をしていたの?」

「リケジョだったんですよ。これでも研究所に努めていたんです」

「へー」

 ちらっとアナトがこっち見た。どうせ、俺はニートだよ……。

「あ、そうそう。女神様って聞いたけど? アナトってもしかして、ウガリット神話?」

 アナトが驚く。

「そう! よく知ってるわね」

「私、神話マニアなんです!」

 二人で神話談義が始まった。俺、どうすればいいの? ふと見ると、同じく退屈そうにしている妹が居た。俺は思わず笑みを作る。妹は、ルキアスの後ろに隠れると、その場から顔をだす。えっと、どうすればいいんだ?

「こんにちは」

 とりあえず無難に挨拶をしてみる。しばらく見つめ合っている。ダメかなこれは……。って、諦めようとした瞬間、妹の口が開いた。

「……こんにちは」

お! 反応あり! やっぱ、幼女は可愛いな……。って、変態だと思われる……。俺は、頭を軽く振った。

「えっと……。お兄ちゃん、今、お話で忙しいね」

 妹が首を縦に振った。

「お名前は?」

 無難な話題だよな……。俺、ニートだったから、よく分からん。

「……ユーリ……」

「ユーリちゃんか。可愛い名前だね」

 ユーリちゃんが兄の後ろに引っ込む。あれ? 俺、間違えた? ニートだったから、よく分からん……。良かった……。照れていただけか。

うーん……。無難な話題……。

「ユーリちゃん、お父さんとお母さんは?」

 よし! 無難な話題! だと思ったけど……。少しした後、ユーリちゃんが首を横に振る。えっ、えぇーっ!

「お父さんも、お母さんも居ない……」

 ど、どうしよう……。聞いてはいけないことを聞いてしまった……。

「えっと……・その……」

 こういうとき、なんて言えばいいんだ? ニートだから分からない……。

「ん? どしたの?」

 突然、ルキアスが言葉を掛けてくる。

「俺……知らなくて……」

「何が?」

「お父さんとお母さんのこと……」

 知らなかったけど……それでも聞いたらだめだよな……。

「あぁ……」

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