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「君は……異世界転生者?」

 はっ? えっ? どういうこと?

「なんで知ってるの……」

 思わず答えた言葉に、兄は嬉しそうな顔をした。

「いやー。魔法なんて言葉はこの世界にないから!」

 え? えぇっー!? 無い? そんな事って……。

「えっと……。知らなかった……」

 マジ知らなかった……。こういう時のために教えておいてくれよ……。

「いやー! 嬉しい! 同じ異世界転生者に会えるなんて! 私どうしたらいいかもう!」

 ん? なんか変だぞ? 話し方が変わってる?

「あの……言葉……?」

「あ、ごめん! 私、転生前は女だったの!」

 俺と逆? しかもイケメン? なんじゃそりゃー!

「イケメン……?」

「あぁ、なんかこの身体になっちゃった」

「いいなぁ、イケメン……。俺も成りたかったよ……」

 しばし何かを考え込む兄。

「もしかして、転生前は男とか? 美少女なのに?」

「あぁ、そうだよ。名前は秋鹿蒼真」

「私は田上莉子(たがみりこ)。今は、ルキアス・デイン」

 ふうん……。なんか、この世界に転生すると性別が逆になるとか? イケメン……。あぁ、イケメン……。羨ましい……。

「あっ、それでなんか魔法について知りたいんだっけ?」

「あぁ、そうそう。あれ、どうやってるの?」

 兄、もとい田上莉子? ルキアス? が考え込む。

「ここの魔法って、化学の式と共通してるってことは?」

「うん」

 化学式で色々な現象を起こすんだよね。

「妹は、少しだけど魔力がある。だから、妹に色々な化学式を教えてやってもらう」

「それだけ?」

「そう。それだけ。ただし、妹は記憶力が無いって言うか……。すぐに忘れてしまうんだけどね……」

「そっか……。それは大変だ……」

 なんか、思っていたよりも単純なんだな。

「おにいちゃん」

 妹が兄の服の裾を引っ張る。

「この人だあれ?」

「あぁ、兄ちゃんの友達」

「ふうん……」

 妹がそのまま黙ってしまった。

「そういえば、えーっと君? は魔法は使えないの?」

「ルキアスでいいよ」

「んじゃ、ルキアス魔法は?」

「私、そっちは全然。たぶん魔力が無いか、あっても少しだけのような気がする」

 あれ? 魔法って誰でも使えるような……。確かアナトはそう言っていた。あっ、でも、魔力? の量は人それぞれのような気が……。

「そういえば、何をしているの?」

「え? 俺?」

「うん。そう」

「あー」

 言ってしまっても大丈夫? かな?

「ちょっと女神たちと旅を……」

「女神!」

 ルキアスがキョロキョロと当たりを見る。

「ねぇ、女神様はどこ?」

「あーえっと……」

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