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 いや、それは違うだろ? それにしても、白紙の紙になんでそんなに必死になるんだろう? もしかして、この紙にはもの凄い秘密があって、コレを手にしたら何かすっごい力が手に入るとか、お宝の地図になるとか、そんな感じか? でも、それだと別に俺のサインはいらないよな? あ、あれか? アナトは実は俺のファンで、それでサインが欲しかったとか? そっか、そうだよな。断られて恥ずかしくなったとかさ。……って、そんなことあるわけないだろ……。いくら夢だからって……。

「ん?」

 考え込んでいると、手にしている紙が引っ張られた。すぐに視線を向けると、アナトが同じく紙を掴んでいる。オレの視線に気が付いたのか、アナトは一気に力を入れて紙を引っ張る。反射的に、俺も力を入れて引っ張り返した。ピリッという何か不吉な音がする。ヤバイ! 破ける! そう思った瞬間、俺とアナトに引っ張られている紙が燃えだした。って、燃えてるでいいんだよな? いきなりのことで固まってしまったけど、熱とかは感じない。派手に燃えているけど、熱くはないし肉が焼けるような匂いもしない。ってこれ、夢なんだから別に変でもないか。

「あ……」

 燃える紙を見ながら、アナトはこの世の終わりみたいな顔をしている。なんだろう? この白紙、そんなに重要なものなのか?

「そんな……」

 燃えて灰になるわけでもなく、手の中にある紙はなぜか細かい光の粒子? みたいなものになっていく。変わった燃え方だな。そして光の粒がキラキラと舞いはじめた。なんか、凄くきれいだ。

「ど、どうしよう……」

 なにかオタオタするアナト。俺にしてみたら、ただの白紙だったけど……やっぱり何かのキーアイテムだったのか?

「これ……私、署名してたのに……」

 ん? 俺のサインが欲しかったんじゃないのか? それとも、それ以外に何かアナトがサインする必要があったとか? なんだか、ますます分からないアイテムだ。

「そういえば、あなたって秋鹿蒼真よね?」

「うん」

「じゃあ、なんで……」

「俺がどうかしたのか?」

「だって、あのとき何も書いてないって……」

「あの紙なら、ただの白紙だったけど?」

 アナトのサイン? も無かったし、他に何も書いていなかった。本当にただの白紙だった。

「なんで? ちゃんとあなたの名前を書いて指定したのに……」

「あ、俺、今はミーナって名前」

 そう言うと、アナトはあっ! って顔をした。




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