一
よく意味が分からないが……。
「まあ、いいわ。3日ほど傍にいて観察するから」
ん? 何を観察するのだろう?
「ねえ。なんなの? あの人?」
俺は小さくアナトに耳打ちをした。
「会計主任よ。あの人の一言で色々と決まるの……」
ふーん。マジで会社みたいだ。ただ、幼女って見た目がそぐわない。幼女はもっとこう……変態って呼ばれるから止めておこう……。
「じゃあ、食料を買おう」
「待って! それよりも宿が先よ!」
へ? 食料を買うんじゃないの?
「それから、秋鹿蒼真の食費は認めるけど、イシュタムの食費は認めないわ!」
「えぇーっ!」
アナトが財布とイシュタムを見比べている。
「あんた! 食べ放題だって言ったわよね!」
「うん~。そう言われて来た~」
すぐに金髪幼女に振り向くアナト。
「えっと……。こう言っていますが?」
アナトがすぐに食いつく。だが金髪眼鏡の幼女の態度は変わらない。
「上司に言われたんだよね?」
「うん~」
イシュタムの返事に金髪眼鏡の幼女はジッと二人を見て何かを考え込んでいるようだった。
「本当に上司に?」
「うん~」
金髪眼鏡の幼女が何かを考える。そして溜息を一つ吐くと声を発した。
「仕方が無いわね……。いいわ、認めましょう」
そのセリフにアナトがやったと言わんばかりにガッツポーズをする。
「ただし、普通の食事までよ! それ以上は、認めないから!」
「あ、あの……。今まで食べた分は?」
んー。まぁ、食べまくっていたからなぁ……。イシュタム……。アナトは必死で金髪眼鏡の幼女と話している。イシュタムは構わず何かを食べ続けていた。俺は溜息を吐いた。長くなりそうだな。なにか他にないかなぁ。ふと周りを見ると先程の兄弟が居る。あれ、どうやってやってたんだろう? 興味を惹かれてつい、兄弟のもとへ向かった。
「こんにちは」
突然、話しかけられて驚いた顔をする兄弟。まぁ、当たり前か……。
「あ、ごめんなさい。ちょっと気になって……」
「何が?」
「えーっと、あれどうやってるの?」
俺の質問に兄の方が考え込む。妹の方は兄の背中に隠れてこっちを見てる。なんだか、可愛い。
「あれって、魔法のこと?」
更にうさん臭い目で見られた。
「うん。そう!」
ジッと兄の方が俺を見ている。
「ええと……魔法だよね?」
「うん……まぁ……」
兄の方が認めた!
「あれってどうやってるの? 他人が魔法を使うなんて!」
「その前に、一つ聞いていい?」
え? なんだろう? なんで魔法を知ってるとか?




