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十四

「それでは、いきましょうか」

 そう言ったとたん、アーサーは俺の手を取った。はぁ? なに手なんか繋いじゃってるわけ? 俺、男と手を繋ぐ趣味なんてないわ! って叫んでアーサーの手に空手チョップをしたくなるのを、グッとこらえる。だって、女の子はそんなことしないだろ? しないよな? しないと思うんだけど、どうだろ? 相手はイケメンだから、まずしないで正解な気がする。

「蒼真! どこに行ってたのよ!」

 少し怒った感じでアナトが近づいてきたが、俺のすぐ側にアーサーが居ることが分かると、急におとなしくなった。

「あら、騎士様、どうしたんですか?」

「こちらのレディが一人でいるのを見かけ、声をかけさせていただきました。連れの方とはぐれたというので、合流するまでお供させていただきました」

「まぁ、うちの蒼真がご迷惑をおかけしました」

 なんか、優しそうな表情を作って、アナトが答える。

「いや、別に迷惑なんてかけてない」

 と言っても、アナトはまったく聞く気が無いみたいだ。まぁ、もういいや。楽しそうにイケメンと話してるし、しばらくはあのままだろうな。時間を潰すのに、他の大道芸でも見てるかなと辺りを確認すると、先ほど大道芸をしていたチャライ兄ちゃんと小さい女の子がこっちを見てる。女の子は、俺に向かって指さしてるが、なんだろう? もしかしなくてもアレか? 俺があまりにも美少女だから、気になって仕方がないってことか? まぁ、そんなことはないんだろうけど、なんか気になるな……。特に、あの女の子の方が気になるんだけど、なんでだろう?

「そ~ま~なにしてるの~」

 突然、後ろから声をかけられびびる。そういや、イシュタムもいたんだっけ……。ちらりとアナトの方を見てみるけど、まだアーサーと話をしている。

「そ~ま~?」

「ん? あ、さっきの大道芸、凄かったなって。こっちにも、あんな手品あるんだって感動したよ」

「あれ~手品とか言うやつじゃないよ~」

「え? 違うの?」

「うん~魔法だよ~」

「魔法? マジで?」

「うん~」

「じゃあ、俺もああいうの出来るって事か?」

「そ~まなら~一人で出来るよ~」

「一人? ってことは、あれは二人でやってたってことか?」

「そうだよ~」

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