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 普段なら絶対に女の子の身体に触れるなんて出来ない。でも、今は夢の中だし俺はなぜか女の子だし触っても大丈夫だよな? そう自分を納得させて、アナトの身体に手を回す。アナトの背中よりも少し下を目ざして手を動かす。

「ちょっ! どこ触ってんのよ!」

 もぞもぞと身体を動かすアナトの動きに合わせて、俺の手は丸みを帯びた柔らかなところへたどり着いた。ヤベっ……すげー柔らかくて触り心地がいい……。さっきの巨乳美少女の胸とはまた違う、少し弾力のある柔らかさ。

「やめてよ! ヘンタイ!」

「いや、俺は今、女だし」

 女同士って、よく胸を触ったりしてるんだろ? それなら、何も問題は無いじゃないか。それにしても、やけにはっきりとした夢だよな。触感とかもう、本当に触っているみたいだもんな。このまま、夢が覚めなければいいのにって思ってしまう……。そんなことを考えていると、アナトの背中に回した指先に何か別の感触が当たった。ガサって音とこの感触は紙だよね? 指先に触れたものをしっかりと掴み、思いっきり引き上げる。

「あっ!」

 アナトの声と共に、隠されていた紙が俺の前に出てきた。

「やめて! 返して!」

 必死に、アナトが紙に向かって手を伸ばしてくる。俺は、かまわずに紙を見る。ん? なんだこれ? 思わず首をひねる。すぐ側では、うるさいぐらいにアナトが騒いでいる。

「これ、何……?」

 俺は、手にした紙をアナトに向けた。

「え? そ、それは……。いや、だから、不幸な偶然が重なっただけで、私のせいじゃないわよ? 絶対に違うわよ?」

「ん?」

 なんのことだろう? 俺の手にある紙には何も書いていなくて、ただの白紙なんだけど?

「この紙、何も書いてないんだけど? なんでこれにサインするんだ?」

「え?」

 驚いた顔で俺を見るアナト。

「えーっと……それは……ほら! あれよアレ!」

「アレって何?」

「あーその……。あ、そうそう確認よ! 確認! あなたが本当に秋鹿蒼真かどうかの確認」

 なんかあやしい……。視線は泳いでるし、俺から顔を背けて少しずつドアに向かおうとしてる。これって、絶対に嘘だよな。

「なんで、俺の確認が必要なんだ?」

「それはその……ほら、間違ってたら困るし……だから、念のために確認ね」

「間違い?」

「そうそう! 間違い! だからそれ、返して!」

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